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マエストロのお月見
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こちらの短編は、アンダルシュ編集部様の主催する「第1回《うちの子》推し会! 光る星」に参加するための書き下ろし短編です。
詳細:
https://andarche.alphapolis.co.jp/uchioshi
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その日は祝日で、俺は昼メシを食うために、ペントハウスに戻ったところだった。
カフェは通常営業で、白砂サンは当然、厨房に入っている。
故に学校が休みの小学生コンビの昼メシを、シノさんが面倒見ていた。
「おお、レン。オマエも焼きそばでオッケー?」
「ありがと」
シノさんは皿に焼きそばを盛ると、それと一緒に牛乳を出してきた。
「焼きそばって言ったら、牛乳だよなっ!」
「なにそれ、変なのっ!」
同じように牛乳を出されたスバルが、率直な意見を言ったが、シノさんは当然、自分の意見を曲げたりはしない。
「いいから、文句言わずに食ってみろ! そして牛乳を飲め」
「うう~、なんか合わなそう~」
ブツブツ言いながら、焼きそばと牛乳を試したスバルは、しばらくもちゃもちゃと咀嚼をしてから、目を瞬かせた。
「なにこれ! 美味しい!」
「俺が選んだベストマッチじゃ。美味いに決まっとる」
大人しいミナトは、黙って食べていたが、こころなし輝いているので、気に入ったのだろう。
輝く…というのも、妙な表現なのだが…。
しかしミナトは、微妙に口が肥えていて、しかもかなりの和食党なのだが、好みの美味いものを食べると、全身から嬉しさがにじみ出るのだ。
敬一クンのように、明らかに顔に出る『美味しい顔』では無く、まるで自分が美味いと感じた事を隠すように、無表情を装っているのだが、そこかしこに態度が丸出し…みたいな感じだ。
思うに、あんまりあからさまに美味しいと口に出す事を、下品であると教育されてきたんじゃないのかな…と、俺は想像している。
「ミナトも気に入ったか? たっぷり作ってあるから、おかわりオッケーだぞよ」
そこでシノさんは、焼きそばは少し焦げている方が美味いのだ! などと、焼きそばに対する持論の展開を始めた。
「多聞さん、ちゃーしゅーのめいげつって、なに?」
そこでスバルとシノさんの焼きそば談義を聞きながら、飯を食っていた俺に向かって、ミナトが訊ねてきた。
脳裏に、ラーメンに浮かぶチャーシューが過ぎったが、文章の流れと質問者がスバルではなくミナトだったので、これは真面目に返事をすべきだろうと考える。
「チャーシューじゃなくて、中秋じゃない? 八月の十五夜のコトだよ」
「それ、なにするの?」
何と聞かれても、俺だって月見の風習は知ってても、なぜ月見をするのか? なんてのは知らない。
「十五夜つったら、だんご食って、俳句を詠むに決まってんじゃろ」
スバルと話していたはずのシノさんが、こちらの話に割り込んできた。
「そうなの?」
「そうだ! 十五夜と十三夜つって、八月と九月はだんごと俳句の日があるのだ! タモンレンタロウ君、今年はいつじゃ?」
「えっ? ええっと…」
俺はモタモタとスマホを取り出すと、月見で検索を掛けた。
「今夜…?」
「ベストタイミング! よっしゃ! 今晩、月見の会をやっちゃおうぜ!」
「えっ? 今日? だって、フツーに店やってるし……」
「だーいじょぶ、だーいじょぶ。準備は俺がやって、セイちゃんにはメーワク掛けねェし。オマエらも手伝うよな?」
「うんっ!」
「やるっ!」
ノリの良いスバルはお祭り騒ぎに、ミナトはたぶん『だんご』のキーワードに釣られた感じで、同意をした。
結局俺は、昼メシを済ませて階下に降りたところで、厨房の白砂サンに、シノさん発案の『月見の会』が進行している事を伝えておいた。
そして夕方、店を閉めてからペントハウスに戻ると、そこではエビセンが忙しげに動き回っていた。
「あれ…? 海老坂君だけ?」
「だけと言うか、月見は屋上っすよ」
そう答えながら、エビセンは串に野菜と肉をブスブスと刺している。
「月見…なんだよね?」
「ついでに、バーベキューもしちゃうそうですよ」
言い出しっぺのシノさんか、スバル辺りの意見でそっちに流れたのかもしれないな…などと思いながら、俺は作業を手伝った。
本当は、エビセンと二人で作業するのは怖かったのだが、この「串に刺す」って作業は、結構手間が掛かる。
大人用のは、割とテキトーに野菜も肉も刺してしまえば良いのだが、野菜嫌いの子供向けに肉巻きにした串を作らなければならないからだ。
野菜が生焼けだと、苦味や辛味が残るので、パプリカや玉ねぎは蒸し器で予め火を通しておき、エビセンの作った『特製タレ』を塗ってから、薄いバラ肉を巻いて串に刺す。
聞き分けも行儀も良いミナトは、大人と同じ串を渡されても、大人しく野菜も食べるが、好き嫌いを丸出しにするスバルは、野菜を食べ残す。
そこで白砂サンが、焼き肉の時にスバルが好んでいる『エビセンの特製タレ』で味付けをし、避けにくくするために肉で巻いたのだ。
これを手伝わずにスルーなど、一緒に作業をするより怖い。
「でも、なんかこれ、量が多くない?」
子供用の串を仕上げたところで、ふとエビセンの手元を見ると、予想以上に大量の串が置いてある。
「中師がフロアに居る時、丁度巡査の松原氏と、郵便屋の新田氏が来て、声掛けたンすよ。あと、お兄さんが二階の二人にも、声掛けて。だから白砂サンが、仕込みを少し多めにしたんす」
新田サンとショーゴさんが来るって事は、新田サンはカミサンと娘さんも連れてくるだろう。
そこに、タダとなったら馬鹿げて食うハルカとミツルが加わったとなれば、この量は仕方がないのかもしれない。
「そうなんだ。でも、白砂サンが串までやらないって、珍しいね」
「いえ、白砂サンは、全部の下ごしらえを一人でやろうとしてて。だから、俺が後はやりますって引き受けたんす。上のセッティングもあるからって」
「今日、天宮クンはどうしたの?」
「や、俺も良くは知りませんケド。なんか実家関係の用事つって、朝から出掛けましたよ」
なるほど、それでエビセンは下ごしらえを引き受けたのだな…と、俺は納得した。
ホクトが留守では、どんなに豪語したところで、シノさんとミナトとスバルで準備の全てが出来るはずもない。
セッティングをするために、敬一クンと白砂サンを、早めに上に行かせるべき…と判断して、エビセンは下ごしらえを引き受けたのだろう。
もしかすると、俺がココで手伝う事まで計算済みだったのかもしれない。
俺とエビセンは、支度を整えたバットを持って、二人で屋上に上がった。
屋上はなんだか良く解らない飾り付けがされていた。
一番イミフなのは、昭和のビアガーデンみたいな、チョウチンが下がっていた事だが、他にもクリスマスツリーと七夕飾りが入り混じったような植木とか、花瓶にすすきとヒイラギが差してあったりとか、落とし所が全く判らないディスプレイが並んでいる。
「こっち、子供串のバットです」
「ありがとう、多聞君」
いつも、メゾンのメンバーでバーベキューをする時は、屋上の一角にバーベキュー用のコンロを設置している。
だが、今日はメンツが多いからか、コンロが二箇所設置されていた。
「よっ! 元気にしてたかっ?」
「なんだよ、新田サン。もう出来上がってるの?」
俺の背中をバンバン叩いてきた新田サンは、既に顔が赤い。
缶ではなくコップを持っているところを見ると、白砂サンは大サービスで生ビールを出したのだろう。
「ごめんなさいね、多聞さん」
隣で娘さんの面倒を見ている奥さんに謝られてしまったが、新田サンとは付き合いも長いし、バンド活動をしていた頃はライブの後の打ち上げなどで、もっとへべれけ状態も見知っている。
「楽しんでいってください」
俺は奥さんに挨拶をして、そこから離れた。
なぜなら、新田サンの娘さんは保育園に通い始めるような年頃の子なので、俺の顔を見て泣き出されても困るからだ。
「別に、オマエの顔見ても、あすこンちのコは泣かないって」
俺のココロを読んだようなコメントに振り返ると、やっぱりビールの入ったコップを持ったショーゴさんがいた。
「いや、そんなんじゃなくて…」
「なに言ってんだ、顔に全部出てるぞ」
シノさんがトラブルを起こしてないからか、ショーゴさんはご機嫌な様子だ。
俺はなんとなくそこで、ショーゴさんと飲み始めた。
わっと声が上がったので、なんだろうとそっちを見ると、二つ目のコンロから、もうもうと煙が上がっている。
コンロで焼きを担当していると、結構忙しないので食っているヒマはほぼ無い。
だから以前は、なんとなく代わりばんこにホスト役をやっていたのだけど、厨房馴れしている白砂サンが登場してからは、もっぱら白砂サンが仕切っている。
だが今日は、コンロが二箇所に設置されていたので、白砂サンはもっぱら、子供達用の串を焼いているコンロに掛かりっきりだったらしい。
二つ目のコンロの傍には、ハルカとミツルが立っていた。
「だいじょーぶっす! ちょっと肉に火が付いただけっす」
視線が集まった事に気付いたハルカが、こちらに向かって言った。
「おいおい、火事騒ぎとか、カンベンしてくれよ」
苦笑いのショーゴさんに、ハルカはペコペコとアタマを下げる。
「シノさん、ホストやってやりなよ」
「だいじょぶじゃろ」
グダグダとベンチに座って、肉をかじっているシノさんは、動く気が全く無さそうに答えた。
「オマエは全く、ホントーに面倒見がワルイなぁ!」
やれやれと言った調子で、ショーゴさんがシノさんに言った。
「そんなら、ショーゴが見てやりゃいいじゃん」
「俺は客だよっ!」
「まあ、まあ、まあ! ショーゴもシノさんも、今日はお月見なんだろ? 月見ろ、月!」
アルコールが入っているショーゴさんと、どこまでも不精なシノさんが、ココでモメたら面倒だと思ったのだが、俺が二人の間に割って入る必要もなく、そこに新田サンが割り込んできた。
バンド時代と違って、奥さんが傍に居ると正体がなくなるほど呑むワケにはいかないのだろうか?
とにかく、俺の胃がキリキリ言い出す前に、ショーゴさんは「けっ!」と言い、シノさんは次の肉を貰いに、白砂サンのところへ行った。
やれやれと一息ついて、そういえばこれが月見の催しだった事を思い出し、俺は空を見上げる。
しかし、月は見えなかった。
「曇天……だな」
同じように空を見上げたらしいショーゴさんが、ぼそっと呟く。
「コレ、雨降るんじゃないの?」
なんだか遠くでサイレンの音もしていて、あんまりお月見ムードって感じがしない。
「月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」
またシノさんがイミフな事を言い出した…と思ったら、すっと短冊と筆ペンを差し出される。
なんだと思ってそちらを見たら、配っているのは白砂サンだった。
「なんすか、これ?」
同じく短冊と筆ペンを手渡されたショーゴさんが、白砂サンに問う。
「うむ。今日は月見をしつつ、俳句を詠む…と柊一が言ったので、短冊を用意させてもらった」
「ええっ、俳句作らなきゃダメなの?」
「いや、強制では無いので、参加はそれぞれの自由意志で決めて構わない。子供は全員、参加するようだ」
言われてみると、新田サンの娘さんも、スバルとミナトも、短冊に向かって何かを書き込んでいる。
「俳句なんて、詠めんのアイツら……」
「季節の遊び事なので、五七五の体裁さえ整っていれば、川柳でも構わないよ」
白砂サンは、ハルカ達にも短冊を渡しに離れて行ってしまい、ショーゴさんはそこで「へえ~」とか言いながら、短冊に「あのよろし」などと書いている。
俺も大分酔っていたので、川柳でもイイならハードル低いな~…なんて思いつつ、短冊に『満月が 雲で見えない』と書き込んだ。
最後のシメをどうしよう…? と考えていると、不意に短冊の上に大きな水滴がつく。
「うわっ! 降ってきやがった!」
なんだ? と思うまもなく、大粒の雨がバラバラと落ちてくる。
即座にエビセンと白砂サンが、コンロに取り付くと、ハルカとミツルに手伝わせてそれらを屋根の下に運び、平素から置きっぱなしのベンチはともかく、月見の会のために持ち出したパイプ椅子と折りたたみテーブルなどを片付けた。
酔っ払っていたところに、こんな運動会の障害物競走みたいな事をさせられて、ペントハウスに戻ったところで俺はヘタリ込んだ。
「あの、風呂を沸かしたんで、体が冷えてしまわないように自由に使ってください」
敬一クンは、ショーゴさんと新田さんにバスタオルを渡し、新田さんの奥さんと娘さんに風呂を勧めた。
レディ・ファーストをしっかりと教育されている敬一クンらしいと思ったけど、びしょ濡れになったのは全員だ。
だが、気付けばメゾンの住人はそれぞれの部屋に戻って着替えるなり、風呂に入るなりするために居なくなっている。
体が冷えて夏風邪を心配しなきゃならないのはもっぱら子供だけど、ペントハウスに住んでいるスバルは、白砂サンがミナトと一緒に自分の部屋に連れていってしまったらしい。
「むう、これでは月見が続行出来んなぁ」
ベランダの窓から外を覗い見たシノさんが、不満そうにブツブツ言っている。
「みんな部屋に戻ったし、お開きにしたら? 俺も着替えに、部屋に戻るよ」
「ま、仕方ねぇか…」
シノさんが諦めたのを確認して、俺はショーゴさんと新田さんに挨拶をしてから、まぁまぁの催しになったなぁ…なんて思いながら、部屋に戻ろうとしたのだが。
いきなり扉がばーーんっ! と開いて、ホクトが部屋に飛び込んできた。
「ケイっ! 無事かっ?」
「どしたん、アマホク?」
血相を変えたホクトに対して、まったり解散ムードだった俺達は、ひたすら「なんなんだ?」って感じだったんだけど。
ホクトの後ろから、ドヤドヤっと防火服とヘルメットを被った消防隊員が数人続いて入ってきて、俺達は仰天した。
「なんじゃ?」
「火事は? 火元はどこですかっ!」
グイグイ詰め寄るホクトは、最初の勢いのままだけど、後ろの消防隊員は俺達のまったりムードに、ちょっと緊張感が抜けた様子になった。
「火元? 火事? ウチは燃えておらんぞよ」
「でも、すごい煙が……」
「そりゃ、屋上でバーベキューやってたからじゃろ」
「ええっ? でもいつもはそんなに煙なんて…」
「ハルカが持ち込んだ肉が、なんかめっちゃ煙出るやつで。ちょっとコンロの上で燃え上がっただけだぞよ」
シノさんの説明に、消防隊員達は顔を見合わせると、「以後、気をつけて下さい」と言って帰っていった。
「アマホク、そこ掃除しといてな」
消防隊員は当然のコト、ホクトも土足で上がり込んでいた。
雨の中を走ってきたのだろう、足元は跳ねた水でグチャグチャで、床はドロドロになっている。
「す…すみません……」
ホクトは、シオシオと雑巾を取りに行ったのだった。
*マエストロのお月見:おわり*
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*初心者のための『MAESTRO-K!』簡単紹介*
○赤ビル
正式名称 ”KING of Rock 'n' Roll KAGURAZAKAビル”。
オーナーは柊一。地上五階・地下一階の赤レンガで出来た老朽ビル。
一階は、柊一の趣味のアナログレコードコレクションを兼ねた中古レコード買取販売店 “MAESTRO神楽坂” に、奥の窯で焼いたキッシュとピザを販売するカフェスペース “マエストロ神楽坂” を併設している。
○赤ビルの屋上
エレベーターの駆動機構・ソーラーパネル・家庭菜園・洗濯物干しスペースなどがあるが、そもそもの敷地面積が馬鹿げて広いので、ビアガーデンみたいなバーベキューをする余裕もある。
ただし、エレベーターで上がる事は不可能なため、五階~屋上間は階段での移動となる。
○多聞蓮太郎
身長194cm・2月1日生まれ・28歳。
一部の話を除いて、本編の狂言回し。
長身痩躯、かなりの変顔で黙って睨めば子供を泣かす事が可能だが、中身は安定のヘタレな小心者。
メゾンの良心。
柊一は恋人と認めてくれないが、誰から見ても完全に糟糠の夫夫状態。
MAESTRO神楽坂の雇われ店長兼、マエストロ神楽坂のフロアチーフ。
○東雲柊一
身長169cm(自称172cm)・10月7日生まれ・28歳。
最強運を持つ赤ビルの専制君主。
物語を代表する義兄弟の一人であり〝ヤンキー〟担当の次兄。
外見は冴えた美形だが、性格はトラブルと三面記事が大好きな野次馬であり、ややナルシスト。
多聞の事を〝恋人〟認定しないのは、単に柊一がツンデレだからである。
○中師敬一
身長184cm・4月20日生まれ・18歳。
物語を代表する義兄弟の一人であり〝天然〟担当の末弟。
眉目秀麗・才色兼備だが、一部の常識(主に下ネタ)が欠落しており、最大のトラブルメーカーとして、着々と成長中。
○白砂聖一
身長170cm・6月11日生まれ・31歳。
物語を代表する義兄弟の一人であり〝オタク〟担当の長兄。
帰化した元・英国人で、実父からの虐待サバイバー。
神経質とオタクが融合した拘る性格、なぜかイメトレだけでなんでも習得出来る謎のチート能力、酔っ払うと誰彼構わず魔性のキスをバラまく性癖など、敬一とはちょっと方向性が違うが、こちらもなかなかのトラブルメーカー。
マエストロ神楽坂のパティシエ兼雇われ店長。
○海老坂千里
身長178cm・9月4日生まれ・18歳。
敬一の幼馴染であり、同級生。
容貌は華麗な美少女顔だが、性格は俺様攻属性な鉄火の男。
イロイロあって、現在は天宮と紳士協定を結んで、敬一とオツキアイをしている。
○天宮北斗
身長184cm・7月15日生まれ・18歳。
敬一の幼馴染であり、同級生。
実家は名古屋で、親族経営のかなり大きな複合企業の総領息子。
スマートな気遣いの出来るイケメン王子だが、敬一の事となると周りが見えなくなり、言動が変になる。
イロイロあって、現在はエビセンと紳士協定を結んで、敬一とオツキアイをしている。
○白砂南斗
5月5日生まれ・小学校4年生。
ホクトのイトコの息子だったが、育児放棄の末に現在は聖一の愛息子。
過干渉と育児放棄により、30歳の大人よりオトナの精神を持つ。
○天宮昴
3月3日生まれ・小学校4年生。
ホクトの姉の息子。ミナトとはハトコ。
やんちゃが過ぎて持て余され、イロイロあってホクトが姉からおっつけられた。
敬一大好き!
○神巫悠
身長175cm・6月19日生まれ・25歳前後。
ヨガ講師のミツルと共同経営で、赤ビルの二階のテナント〝フライングV〟を営んでいる。
3-Aをミツルとシェア。
○小仏満
身長182cm・6月15日生まれ・25歳前後。
ハルカ曰く〝イケメン〟ヨガコーチ。
存在感は希薄。
○松原章吾
身長170cm・9月8日生まれ・28歳。
近所の真面目なおまわりさん。
柊一と多聞の幼馴染で、昔一緒にバンドを組んでいた。
○新田聡史
身長170cm・1月6日生まれ・38歳。
真面目な勤めぶりと、手渡しの郵便物では必ずトラブルになるブラックリスト物件〝赤ビル〟に、スムーズに郵便物を配達出来るという理由により、バイトから正規雇用になった郵便局員。
柊一・多聞・章吾のバンドに参加していた、元はドラマー。
美人の奥さんと、幼い娘がいる。
詳細:
https://andarche.alphapolis.co.jp/uchioshi
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その日は祝日で、俺は昼メシを食うために、ペントハウスに戻ったところだった。
カフェは通常営業で、白砂サンは当然、厨房に入っている。
故に学校が休みの小学生コンビの昼メシを、シノさんが面倒見ていた。
「おお、レン。オマエも焼きそばでオッケー?」
「ありがと」
シノさんは皿に焼きそばを盛ると、それと一緒に牛乳を出してきた。
「焼きそばって言ったら、牛乳だよなっ!」
「なにそれ、変なのっ!」
同じように牛乳を出されたスバルが、率直な意見を言ったが、シノさんは当然、自分の意見を曲げたりはしない。
「いいから、文句言わずに食ってみろ! そして牛乳を飲め」
「うう~、なんか合わなそう~」
ブツブツ言いながら、焼きそばと牛乳を試したスバルは、しばらくもちゃもちゃと咀嚼をしてから、目を瞬かせた。
「なにこれ! 美味しい!」
「俺が選んだベストマッチじゃ。美味いに決まっとる」
大人しいミナトは、黙って食べていたが、こころなし輝いているので、気に入ったのだろう。
輝く…というのも、妙な表現なのだが…。
しかしミナトは、微妙に口が肥えていて、しかもかなりの和食党なのだが、好みの美味いものを食べると、全身から嬉しさがにじみ出るのだ。
敬一クンのように、明らかに顔に出る『美味しい顔』では無く、まるで自分が美味いと感じた事を隠すように、無表情を装っているのだが、そこかしこに態度が丸出し…みたいな感じだ。
思うに、あんまりあからさまに美味しいと口に出す事を、下品であると教育されてきたんじゃないのかな…と、俺は想像している。
「ミナトも気に入ったか? たっぷり作ってあるから、おかわりオッケーだぞよ」
そこでシノさんは、焼きそばは少し焦げている方が美味いのだ! などと、焼きそばに対する持論の展開を始めた。
「多聞さん、ちゃーしゅーのめいげつって、なに?」
そこでスバルとシノさんの焼きそば談義を聞きながら、飯を食っていた俺に向かって、ミナトが訊ねてきた。
脳裏に、ラーメンに浮かぶチャーシューが過ぎったが、文章の流れと質問者がスバルではなくミナトだったので、これは真面目に返事をすべきだろうと考える。
「チャーシューじゃなくて、中秋じゃない? 八月の十五夜のコトだよ」
「それ、なにするの?」
何と聞かれても、俺だって月見の風習は知ってても、なぜ月見をするのか? なんてのは知らない。
「十五夜つったら、だんご食って、俳句を詠むに決まってんじゃろ」
スバルと話していたはずのシノさんが、こちらの話に割り込んできた。
「そうなの?」
「そうだ! 十五夜と十三夜つって、八月と九月はだんごと俳句の日があるのだ! タモンレンタロウ君、今年はいつじゃ?」
「えっ? ええっと…」
俺はモタモタとスマホを取り出すと、月見で検索を掛けた。
「今夜…?」
「ベストタイミング! よっしゃ! 今晩、月見の会をやっちゃおうぜ!」
「えっ? 今日? だって、フツーに店やってるし……」
「だーいじょぶ、だーいじょぶ。準備は俺がやって、セイちゃんにはメーワク掛けねェし。オマエらも手伝うよな?」
「うんっ!」
「やるっ!」
ノリの良いスバルはお祭り騒ぎに、ミナトはたぶん『だんご』のキーワードに釣られた感じで、同意をした。
結局俺は、昼メシを済ませて階下に降りたところで、厨房の白砂サンに、シノさん発案の『月見の会』が進行している事を伝えておいた。
そして夕方、店を閉めてからペントハウスに戻ると、そこではエビセンが忙しげに動き回っていた。
「あれ…? 海老坂君だけ?」
「だけと言うか、月見は屋上っすよ」
そう答えながら、エビセンは串に野菜と肉をブスブスと刺している。
「月見…なんだよね?」
「ついでに、バーベキューもしちゃうそうですよ」
言い出しっぺのシノさんか、スバル辺りの意見でそっちに流れたのかもしれないな…などと思いながら、俺は作業を手伝った。
本当は、エビセンと二人で作業するのは怖かったのだが、この「串に刺す」って作業は、結構手間が掛かる。
大人用のは、割とテキトーに野菜も肉も刺してしまえば良いのだが、野菜嫌いの子供向けに肉巻きにした串を作らなければならないからだ。
野菜が生焼けだと、苦味や辛味が残るので、パプリカや玉ねぎは蒸し器で予め火を通しておき、エビセンの作った『特製タレ』を塗ってから、薄いバラ肉を巻いて串に刺す。
聞き分けも行儀も良いミナトは、大人と同じ串を渡されても、大人しく野菜も食べるが、好き嫌いを丸出しにするスバルは、野菜を食べ残す。
そこで白砂サンが、焼き肉の時にスバルが好んでいる『エビセンの特製タレ』で味付けをし、避けにくくするために肉で巻いたのだ。
これを手伝わずにスルーなど、一緒に作業をするより怖い。
「でも、なんかこれ、量が多くない?」
子供用の串を仕上げたところで、ふとエビセンの手元を見ると、予想以上に大量の串が置いてある。
「中師がフロアに居る時、丁度巡査の松原氏と、郵便屋の新田氏が来て、声掛けたンすよ。あと、お兄さんが二階の二人にも、声掛けて。だから白砂サンが、仕込みを少し多めにしたんす」
新田サンとショーゴさんが来るって事は、新田サンはカミサンと娘さんも連れてくるだろう。
そこに、タダとなったら馬鹿げて食うハルカとミツルが加わったとなれば、この量は仕方がないのかもしれない。
「そうなんだ。でも、白砂サンが串までやらないって、珍しいね」
「いえ、白砂サンは、全部の下ごしらえを一人でやろうとしてて。だから、俺が後はやりますって引き受けたんす。上のセッティングもあるからって」
「今日、天宮クンはどうしたの?」
「や、俺も良くは知りませんケド。なんか実家関係の用事つって、朝から出掛けましたよ」
なるほど、それでエビセンは下ごしらえを引き受けたのだな…と、俺は納得した。
ホクトが留守では、どんなに豪語したところで、シノさんとミナトとスバルで準備の全てが出来るはずもない。
セッティングをするために、敬一クンと白砂サンを、早めに上に行かせるべき…と判断して、エビセンは下ごしらえを引き受けたのだろう。
もしかすると、俺がココで手伝う事まで計算済みだったのかもしれない。
俺とエビセンは、支度を整えたバットを持って、二人で屋上に上がった。
屋上はなんだか良く解らない飾り付けがされていた。
一番イミフなのは、昭和のビアガーデンみたいな、チョウチンが下がっていた事だが、他にもクリスマスツリーと七夕飾りが入り混じったような植木とか、花瓶にすすきとヒイラギが差してあったりとか、落とし所が全く判らないディスプレイが並んでいる。
「こっち、子供串のバットです」
「ありがとう、多聞君」
いつも、メゾンのメンバーでバーベキューをする時は、屋上の一角にバーベキュー用のコンロを設置している。
だが、今日はメンツが多いからか、コンロが二箇所設置されていた。
「よっ! 元気にしてたかっ?」
「なんだよ、新田サン。もう出来上がってるの?」
俺の背中をバンバン叩いてきた新田サンは、既に顔が赤い。
缶ではなくコップを持っているところを見ると、白砂サンは大サービスで生ビールを出したのだろう。
「ごめんなさいね、多聞さん」
隣で娘さんの面倒を見ている奥さんに謝られてしまったが、新田サンとは付き合いも長いし、バンド活動をしていた頃はライブの後の打ち上げなどで、もっとへべれけ状態も見知っている。
「楽しんでいってください」
俺は奥さんに挨拶をして、そこから離れた。
なぜなら、新田サンの娘さんは保育園に通い始めるような年頃の子なので、俺の顔を見て泣き出されても困るからだ。
「別に、オマエの顔見ても、あすこンちのコは泣かないって」
俺のココロを読んだようなコメントに振り返ると、やっぱりビールの入ったコップを持ったショーゴさんがいた。
「いや、そんなんじゃなくて…」
「なに言ってんだ、顔に全部出てるぞ」
シノさんがトラブルを起こしてないからか、ショーゴさんはご機嫌な様子だ。
俺はなんとなくそこで、ショーゴさんと飲み始めた。
わっと声が上がったので、なんだろうとそっちを見ると、二つ目のコンロから、もうもうと煙が上がっている。
コンロで焼きを担当していると、結構忙しないので食っているヒマはほぼ無い。
だから以前は、なんとなく代わりばんこにホスト役をやっていたのだけど、厨房馴れしている白砂サンが登場してからは、もっぱら白砂サンが仕切っている。
だが今日は、コンロが二箇所に設置されていたので、白砂サンはもっぱら、子供達用の串を焼いているコンロに掛かりっきりだったらしい。
二つ目のコンロの傍には、ハルカとミツルが立っていた。
「だいじょーぶっす! ちょっと肉に火が付いただけっす」
視線が集まった事に気付いたハルカが、こちらに向かって言った。
「おいおい、火事騒ぎとか、カンベンしてくれよ」
苦笑いのショーゴさんに、ハルカはペコペコとアタマを下げる。
「シノさん、ホストやってやりなよ」
「だいじょぶじゃろ」
グダグダとベンチに座って、肉をかじっているシノさんは、動く気が全く無さそうに答えた。
「オマエは全く、ホントーに面倒見がワルイなぁ!」
やれやれと言った調子で、ショーゴさんがシノさんに言った。
「そんなら、ショーゴが見てやりゃいいじゃん」
「俺は客だよっ!」
「まあ、まあ、まあ! ショーゴもシノさんも、今日はお月見なんだろ? 月見ろ、月!」
アルコールが入っているショーゴさんと、どこまでも不精なシノさんが、ココでモメたら面倒だと思ったのだが、俺が二人の間に割って入る必要もなく、そこに新田サンが割り込んできた。
バンド時代と違って、奥さんが傍に居ると正体がなくなるほど呑むワケにはいかないのだろうか?
とにかく、俺の胃がキリキリ言い出す前に、ショーゴさんは「けっ!」と言い、シノさんは次の肉を貰いに、白砂サンのところへ行った。
やれやれと一息ついて、そういえばこれが月見の催しだった事を思い出し、俺は空を見上げる。
しかし、月は見えなかった。
「曇天……だな」
同じように空を見上げたらしいショーゴさんが、ぼそっと呟く。
「コレ、雨降るんじゃないの?」
なんだか遠くでサイレンの音もしていて、あんまりお月見ムードって感じがしない。
「月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」
またシノさんがイミフな事を言い出した…と思ったら、すっと短冊と筆ペンを差し出される。
なんだと思ってそちらを見たら、配っているのは白砂サンだった。
「なんすか、これ?」
同じく短冊と筆ペンを手渡されたショーゴさんが、白砂サンに問う。
「うむ。今日は月見をしつつ、俳句を詠む…と柊一が言ったので、短冊を用意させてもらった」
「ええっ、俳句作らなきゃダメなの?」
「いや、強制では無いので、参加はそれぞれの自由意志で決めて構わない。子供は全員、参加するようだ」
言われてみると、新田サンの娘さんも、スバルとミナトも、短冊に向かって何かを書き込んでいる。
「俳句なんて、詠めんのアイツら……」
「季節の遊び事なので、五七五の体裁さえ整っていれば、川柳でも構わないよ」
白砂サンは、ハルカ達にも短冊を渡しに離れて行ってしまい、ショーゴさんはそこで「へえ~」とか言いながら、短冊に「あのよろし」などと書いている。
俺も大分酔っていたので、川柳でもイイならハードル低いな~…なんて思いつつ、短冊に『満月が 雲で見えない』と書き込んだ。
最後のシメをどうしよう…? と考えていると、不意に短冊の上に大きな水滴がつく。
「うわっ! 降ってきやがった!」
なんだ? と思うまもなく、大粒の雨がバラバラと落ちてくる。
即座にエビセンと白砂サンが、コンロに取り付くと、ハルカとミツルに手伝わせてそれらを屋根の下に運び、平素から置きっぱなしのベンチはともかく、月見の会のために持ち出したパイプ椅子と折りたたみテーブルなどを片付けた。
酔っ払っていたところに、こんな運動会の障害物競走みたいな事をさせられて、ペントハウスに戻ったところで俺はヘタリ込んだ。
「あの、風呂を沸かしたんで、体が冷えてしまわないように自由に使ってください」
敬一クンは、ショーゴさんと新田さんにバスタオルを渡し、新田さんの奥さんと娘さんに風呂を勧めた。
レディ・ファーストをしっかりと教育されている敬一クンらしいと思ったけど、びしょ濡れになったのは全員だ。
だが、気付けばメゾンの住人はそれぞれの部屋に戻って着替えるなり、風呂に入るなりするために居なくなっている。
体が冷えて夏風邪を心配しなきゃならないのはもっぱら子供だけど、ペントハウスに住んでいるスバルは、白砂サンがミナトと一緒に自分の部屋に連れていってしまったらしい。
「むう、これでは月見が続行出来んなぁ」
ベランダの窓から外を覗い見たシノさんが、不満そうにブツブツ言っている。
「みんな部屋に戻ったし、お開きにしたら? 俺も着替えに、部屋に戻るよ」
「ま、仕方ねぇか…」
シノさんが諦めたのを確認して、俺はショーゴさんと新田さんに挨拶をしてから、まぁまぁの催しになったなぁ…なんて思いながら、部屋に戻ろうとしたのだが。
いきなり扉がばーーんっ! と開いて、ホクトが部屋に飛び込んできた。
「ケイっ! 無事かっ?」
「どしたん、アマホク?」
血相を変えたホクトに対して、まったり解散ムードだった俺達は、ひたすら「なんなんだ?」って感じだったんだけど。
ホクトの後ろから、ドヤドヤっと防火服とヘルメットを被った消防隊員が数人続いて入ってきて、俺達は仰天した。
「なんじゃ?」
「火事は? 火元はどこですかっ!」
グイグイ詰め寄るホクトは、最初の勢いのままだけど、後ろの消防隊員は俺達のまったりムードに、ちょっと緊張感が抜けた様子になった。
「火元? 火事? ウチは燃えておらんぞよ」
「でも、すごい煙が……」
「そりゃ、屋上でバーベキューやってたからじゃろ」
「ええっ? でもいつもはそんなに煙なんて…」
「ハルカが持ち込んだ肉が、なんかめっちゃ煙出るやつで。ちょっとコンロの上で燃え上がっただけだぞよ」
シノさんの説明に、消防隊員達は顔を見合わせると、「以後、気をつけて下さい」と言って帰っていった。
「アマホク、そこ掃除しといてな」
消防隊員は当然のコト、ホクトも土足で上がり込んでいた。
雨の中を走ってきたのだろう、足元は跳ねた水でグチャグチャで、床はドロドロになっている。
「す…すみません……」
ホクトは、シオシオと雑巾を取りに行ったのだった。
*マエストロのお月見:おわり*
ーーーーーーーーーーーーーーーー
*初心者のための『MAESTRO-K!』簡単紹介*
○赤ビル
正式名称 ”KING of Rock 'n' Roll KAGURAZAKAビル”。
オーナーは柊一。地上五階・地下一階の赤レンガで出来た老朽ビル。
一階は、柊一の趣味のアナログレコードコレクションを兼ねた中古レコード買取販売店 “MAESTRO神楽坂” に、奥の窯で焼いたキッシュとピザを販売するカフェスペース “マエストロ神楽坂” を併設している。
○赤ビルの屋上
エレベーターの駆動機構・ソーラーパネル・家庭菜園・洗濯物干しスペースなどがあるが、そもそもの敷地面積が馬鹿げて広いので、ビアガーデンみたいなバーベキューをする余裕もある。
ただし、エレベーターで上がる事は不可能なため、五階~屋上間は階段での移動となる。
○多聞蓮太郎
身長194cm・2月1日生まれ・28歳。
一部の話を除いて、本編の狂言回し。
長身痩躯、かなりの変顔で黙って睨めば子供を泣かす事が可能だが、中身は安定のヘタレな小心者。
メゾンの良心。
柊一は恋人と認めてくれないが、誰から見ても完全に糟糠の夫夫状態。
MAESTRO神楽坂の雇われ店長兼、マエストロ神楽坂のフロアチーフ。
○東雲柊一
身長169cm(自称172cm)・10月7日生まれ・28歳。
最強運を持つ赤ビルの専制君主。
物語を代表する義兄弟の一人であり〝ヤンキー〟担当の次兄。
外見は冴えた美形だが、性格はトラブルと三面記事が大好きな野次馬であり、ややナルシスト。
多聞の事を〝恋人〟認定しないのは、単に柊一がツンデレだからである。
○中師敬一
身長184cm・4月20日生まれ・18歳。
物語を代表する義兄弟の一人であり〝天然〟担当の末弟。
眉目秀麗・才色兼備だが、一部の常識(主に下ネタ)が欠落しており、最大のトラブルメーカーとして、着々と成長中。
○白砂聖一
身長170cm・6月11日生まれ・31歳。
物語を代表する義兄弟の一人であり〝オタク〟担当の長兄。
帰化した元・英国人で、実父からの虐待サバイバー。
神経質とオタクが融合した拘る性格、なぜかイメトレだけでなんでも習得出来る謎のチート能力、酔っ払うと誰彼構わず魔性のキスをバラまく性癖など、敬一とはちょっと方向性が違うが、こちらもなかなかのトラブルメーカー。
マエストロ神楽坂のパティシエ兼雇われ店長。
○海老坂千里
身長178cm・9月4日生まれ・18歳。
敬一の幼馴染であり、同級生。
容貌は華麗な美少女顔だが、性格は俺様攻属性な鉄火の男。
イロイロあって、現在は天宮と紳士協定を結んで、敬一とオツキアイをしている。
○天宮北斗
身長184cm・7月15日生まれ・18歳。
敬一の幼馴染であり、同級生。
実家は名古屋で、親族経営のかなり大きな複合企業の総領息子。
スマートな気遣いの出来るイケメン王子だが、敬一の事となると周りが見えなくなり、言動が変になる。
イロイロあって、現在はエビセンと紳士協定を結んで、敬一とオツキアイをしている。
○白砂南斗
5月5日生まれ・小学校4年生。
ホクトのイトコの息子だったが、育児放棄の末に現在は聖一の愛息子。
過干渉と育児放棄により、30歳の大人よりオトナの精神を持つ。
○天宮昴
3月3日生まれ・小学校4年生。
ホクトの姉の息子。ミナトとはハトコ。
やんちゃが過ぎて持て余され、イロイロあってホクトが姉からおっつけられた。
敬一大好き!
○神巫悠
身長175cm・6月19日生まれ・25歳前後。
ヨガ講師のミツルと共同経営で、赤ビルの二階のテナント〝フライングV〟を営んでいる。
3-Aをミツルとシェア。
○小仏満
身長182cm・6月15日生まれ・25歳前後。
ハルカ曰く〝イケメン〟ヨガコーチ。
存在感は希薄。
○松原章吾
身長170cm・9月8日生まれ・28歳。
近所の真面目なおまわりさん。
柊一と多聞の幼馴染で、昔一緒にバンドを組んでいた。
○新田聡史
身長170cm・1月6日生まれ・38歳。
真面目な勤めぶりと、手渡しの郵便物では必ずトラブルになるブラックリスト物件〝赤ビル〟に、スムーズに郵便物を配達出来るという理由により、バイトから正規雇用になった郵便局員。
柊一・多聞・章吾のバンドに参加していた、元はドラマー。
美人の奥さんと、幼い娘がいる。
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工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
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