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第94話
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「キャラクターの性格付けは、今は細かい所まで決める必要はないと思うんです。結局、今どんなにこうしようって決めても、ストーリーの進行を考えた時に台詞回しなんかで、性格ってのはイヤでも決まってしまうと思うので…」
「実のところ、俺は自分で恋愛シミュレーションっていうのをプレイした事が無いから、ハッキリ言って今のところは五里霧中って言うか…。過去にリリースされている物を、昨日ショーゴ……松原営業チーフに頼んで今揃えてもらっているところなんだけど…」
「あら、東雲チーフは恋愛シミュレーションに興味なかったんですか? ああ、でもあったら既に作ってますね…スミマセン、愚問でした」
「興味がなかった…って言われちゃうと身も蓋も無いケド…。確かにロールプレイングもシミュレーションも決まったストーリーを進行する…って意味では、同じだと思うんだけど。恋愛シミュレーションの方がより強く、ストーリーを強制進行させられてるってイメージなんだよね」
「つまり…遊び度が少ない…って意味ですか?」
「うん。最近リリースされてる大作のロープレの中には、強制進行のアニメーションが頻発する物が増えているけど、ウチのゲームの基本コンセプトはシンプルなストーリーとバランスの取れた余談…だからね。キャラクターのアニメーションを作り込みはするけど、強制進行のアニメーションは出来るだけ避ける…って言うか…、出来ればオープニングとエンディングだけに留めるようにしている。 本筋をガツガツ進行させられても置いてきぼり感が強くなるし、遊びの幅が広すぎて本筋にあんまり無関係な部分が大きくなるとマニアックになってしまうから。そのさじ加減が難しいよね」
「なら、シミュレーションもそういうカラーは無くさない方が良いかと思いますよ。この場合は本筋が恋愛シミュレーションですけど、ファッションやグルメなんかも女の子は好きですから。友達キャラと遊びに行って、学園生活を趣味で充実させるのもアリですもの」
「つまり、恋愛抜きの学園生活を送って、友達と爽やかエンディング?」
「そうですね」
「それって、脱線しすぎじゃねぇの?」
「いくつかの選択肢のウチに、そういうギャグチックなオチを付けておくのも面白いじゃないですか。選ぶキャラクターによってエンディングが変わる…つまりは自分の好みでストーリーを選択していける所が、恋愛シミュレーションの面白さでしょう。それなら彼氏の出来なかったバージョン、もしくはちょっとアブノーマルな感じで同級生の彼女と仲良くなっちゃうバージョンとか、そういう裏っぽいオチも付けておくと面白いと思いますよ」
「……………………」
「タクミちゃん、あんまりウチのチーフ脅かさないでよ~? そー見えてプリンみたいに繊細なんだから」
市ヶ谷の発想に絶句している柊一に気付き、青山が茶々を入れるようなそぶりでフォローをする。
「ええ? 私、またしてもチーフを驚かしてしまいました? そんなつもりは全然無いんですけど。じゃあ、そーいうのはナシでシナリオ書きますね」
「……いや、その方がウケるっていうなら、そういうシナリオでも構わないよ。…俺は別に、プログラム作るだけだし…」
「チーフ、表情凍り付いてるナ~」
「実は免疫無いからね、シノさん」
「タケシ、フミアキ! 聞こえよがしに陰口たたくなっ」
「あっれ~、聞こえちゃいました?」
「そんだけでっかい声で喋っていたら、狭い部屋なんだから聞こえて当たり前だろうっ!」
「は~いはい、ちゃんと私語を慎んで仕事に勤しみますよ~」
青山はペロッと舌を出してみせた。
「どっちにしても、自分の好み通りのエンディングを向かえるには、ある程度の努力…というか、クリアしなきゃならないステータスなりイベントなりをこなさなくちゃならないワケですから。まぁ、根本的な部分ではウチのメインであるロールプレイングの延長というか、別アレンジ風で構わないと思いますけど?」
「…解ったよ。………それじゃあ、基本プログラムを先行しておくから、市ヶ谷君は脚本の方を頼むよ」
「解りました。よろしくお願いします」
本当のところ「解った」ワケではない。
単に、これ以上市ヶ谷の「ストーリー展開」を聞いていたら神経がショートしそうになっていたので、とにかくミーティングを終わらせたかったのだ。
「チーフ、俺達も余力があったら応援に行きますからね」
「それまでは、タクミちゃんのイキオイに負けないように、踏ん張って下さいよ~」
「バッカ、オマエらに助けて貰わなきゃならないほど、切羽詰まってねぇよ」
「そー言ってる割りに、顔赤いよね~」
「無理してるって、感じだなぁ」
思わず赤面しそうになりながら、柊一は2人を睨みつけた。
「実のところ、俺は自分で恋愛シミュレーションっていうのをプレイした事が無いから、ハッキリ言って今のところは五里霧中って言うか…。過去にリリースされている物を、昨日ショーゴ……松原営業チーフに頼んで今揃えてもらっているところなんだけど…」
「あら、東雲チーフは恋愛シミュレーションに興味なかったんですか? ああ、でもあったら既に作ってますね…スミマセン、愚問でした」
「興味がなかった…って言われちゃうと身も蓋も無いケド…。確かにロールプレイングもシミュレーションも決まったストーリーを進行する…って意味では、同じだと思うんだけど。恋愛シミュレーションの方がより強く、ストーリーを強制進行させられてるってイメージなんだよね」
「つまり…遊び度が少ない…って意味ですか?」
「うん。最近リリースされてる大作のロープレの中には、強制進行のアニメーションが頻発する物が増えているけど、ウチのゲームの基本コンセプトはシンプルなストーリーとバランスの取れた余談…だからね。キャラクターのアニメーションを作り込みはするけど、強制進行のアニメーションは出来るだけ避ける…って言うか…、出来ればオープニングとエンディングだけに留めるようにしている。 本筋をガツガツ進行させられても置いてきぼり感が強くなるし、遊びの幅が広すぎて本筋にあんまり無関係な部分が大きくなるとマニアックになってしまうから。そのさじ加減が難しいよね」
「なら、シミュレーションもそういうカラーは無くさない方が良いかと思いますよ。この場合は本筋が恋愛シミュレーションですけど、ファッションやグルメなんかも女の子は好きですから。友達キャラと遊びに行って、学園生活を趣味で充実させるのもアリですもの」
「つまり、恋愛抜きの学園生活を送って、友達と爽やかエンディング?」
「そうですね」
「それって、脱線しすぎじゃねぇの?」
「いくつかの選択肢のウチに、そういうギャグチックなオチを付けておくのも面白いじゃないですか。選ぶキャラクターによってエンディングが変わる…つまりは自分の好みでストーリーを選択していける所が、恋愛シミュレーションの面白さでしょう。それなら彼氏の出来なかったバージョン、もしくはちょっとアブノーマルな感じで同級生の彼女と仲良くなっちゃうバージョンとか、そういう裏っぽいオチも付けておくと面白いと思いますよ」
「……………………」
「タクミちゃん、あんまりウチのチーフ脅かさないでよ~? そー見えてプリンみたいに繊細なんだから」
市ヶ谷の発想に絶句している柊一に気付き、青山が茶々を入れるようなそぶりでフォローをする。
「ええ? 私、またしてもチーフを驚かしてしまいました? そんなつもりは全然無いんですけど。じゃあ、そーいうのはナシでシナリオ書きますね」
「……いや、その方がウケるっていうなら、そういうシナリオでも構わないよ。…俺は別に、プログラム作るだけだし…」
「チーフ、表情凍り付いてるナ~」
「実は免疫無いからね、シノさん」
「タケシ、フミアキ! 聞こえよがしに陰口たたくなっ」
「あっれ~、聞こえちゃいました?」
「そんだけでっかい声で喋っていたら、狭い部屋なんだから聞こえて当たり前だろうっ!」
「は~いはい、ちゃんと私語を慎んで仕事に勤しみますよ~」
青山はペロッと舌を出してみせた。
「どっちにしても、自分の好み通りのエンディングを向かえるには、ある程度の努力…というか、クリアしなきゃならないステータスなりイベントなりをこなさなくちゃならないワケですから。まぁ、根本的な部分ではウチのメインであるロールプレイングの延長というか、別アレンジ風で構わないと思いますけど?」
「…解ったよ。………それじゃあ、基本プログラムを先行しておくから、市ヶ谷君は脚本の方を頼むよ」
「解りました。よろしくお願いします」
本当のところ「解った」ワケではない。
単に、これ以上市ヶ谷の「ストーリー展開」を聞いていたら神経がショートしそうになっていたので、とにかくミーティングを終わらせたかったのだ。
「チーフ、俺達も余力があったら応援に行きますからね」
「それまでは、タクミちゃんのイキオイに負けないように、踏ん張って下さいよ~」
「バッカ、オマエらに助けて貰わなきゃならないほど、切羽詰まってねぇよ」
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