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第59話
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「それも、そうですね。……じゃあ、話をヤマの方に移しましょう。買収されてるエライ人の目処も付いて、買収している組織のコトもだいたい解ってきたんですけど、やっぱりそう簡単に証拠は掴めない……ってのが現状なんです」
「それが、白王華やシノさんに何の関係が?」
「白王華という男は、恐喝を生業にしているチンピラ…なんですが。この男は、企業の要になっている人物ばかりをターゲットに選ぶクセがありましてね。まずその本人から金を強請り、その人物を企業に売るコトで報酬を得て、最後に重要人物を引き抜かれたコトによって傾いた企業の情報を、あまり素行のヨロシクナイ組織に売却するコトで利益を得ている…と言う、ダニみたいなヤツなんですよ」
「でも、ウチなんて中小どころか本物の零細企業だよ? そりゃ確かに、シノを引き抜かれたら内情がガッタガタになるケド……。お恥ずかしい話だが資本金からして、ドコゾの組織から見たら小遣いにもならない程度しか金なんて出てこないぜ?」
「う~ん、白王華がどうしてそちらの企業をターゲッティングしたのかは、僕にはちょっと解りかねます」
思わず身を乗り出して訊ねた松原に、片岡は少し困ったような顔で笑みを返す。
「まぁ、ウチの話はともかくとして。その白王華が片岡の追いかけている特ダネと、どう繋がるんだよ?」
「白王華は、先程も言ったようにただのチンピラに過ぎない…つまり、組織にちゃんと属した人間じゃないんです。だから今までは、全くのノーマークで誰も白王華のコトなんて気にも掛けてなかった。逆の言い方をすれば、組織にとってこれ以上都合の良い人物はいないんですよ」
「それならそっちの警視サンにパクって貰えばいいんじゃ?」
「いえ、真っ向からこの一件の参考人として呼び出しても、白王華は口を割らないでしょう。組織は遠回しに腕のイイ弁護士を雇うでしょうし、一方では自分の組織の人間ではないからと言って、関与を認めません。それに贈賄に関与している人物は弥勒寺サンよりもずっとエライ人なんですよ。だから弥勒寺サンが本腰を入れて捜査を始めると、あっちに筒抜けというか……バレちゃうんです」
「じゃあ、手も足も出ない……の?」
「まぁ、ぶっちゃけそんな状態でして。だからちょっと反則ワザなんですけど、別件で引っ張ってそっちを手繰りよせようか……って話になってるんですけどね。さすがに組織がそうした用途に使っている男だけあって、表面上はクリーンなんです。こちらとしては、半端な理由で引っ張る訳にはいきません。犯罪のレベル的には出来るだけ些末な物の方が理想的なんです。駐車違反とか立ち小便とか、とにかく組織側が白王華の逮捕に対して警戒しないような内容で、なおかつはっきりと軽犯罪として立件出来るモノ。そうじゃないと今までの苦労も水の泡で逃げられてしまう」
片岡の説明を聞いて、2人は顔を見合わせた。
あまりにも別世界の話ではあるが、どうやら嘘でも冗談でもないらしい。
「今日、白王華と接触していた多聞サンのお知り合いの方が、本当に恐喝をされているとしたら。僕としては是非ご協力を仰いで、白王華の検挙の為に一肌脱いで頂きたいんですけど? お願い出来ませんかね?」
「そりゃ……ちょっとムズカシイかもな。……シノがもし恐喝されているとしたら、アイツのコトだからどうせ恐喝のネタを隠す為に、意固地になって認めない可能性の方が高いし……」
「そう……だね。シノさんの性格的に、それはちょっと無理な話だよね」
「やっぱり、そうですか。……ずっとアイツの後を追ってるんですけど、白王華に恐喝されているとおぼしき人は今までにも数人居たんですが、皆一様に白王華との接触は仕事上の打ち合わせだと言い張って、決して恐喝されているコトを認めてはくれないんですよ……。今回も空振りかぁ……」
答えて肩を落とす片岡は、しかしそれ以上食い下がってくる気配もない。
逆にそれで、多聞は狼狽えた。
「それが、白王華やシノさんに何の関係が?」
「白王華という男は、恐喝を生業にしているチンピラ…なんですが。この男は、企業の要になっている人物ばかりをターゲットに選ぶクセがありましてね。まずその本人から金を強請り、その人物を企業に売るコトで報酬を得て、最後に重要人物を引き抜かれたコトによって傾いた企業の情報を、あまり素行のヨロシクナイ組織に売却するコトで利益を得ている…と言う、ダニみたいなヤツなんですよ」
「でも、ウチなんて中小どころか本物の零細企業だよ? そりゃ確かに、シノを引き抜かれたら内情がガッタガタになるケド……。お恥ずかしい話だが資本金からして、ドコゾの組織から見たら小遣いにもならない程度しか金なんて出てこないぜ?」
「う~ん、白王華がどうしてそちらの企業をターゲッティングしたのかは、僕にはちょっと解りかねます」
思わず身を乗り出して訊ねた松原に、片岡は少し困ったような顔で笑みを返す。
「まぁ、ウチの話はともかくとして。その白王華が片岡の追いかけている特ダネと、どう繋がるんだよ?」
「白王華は、先程も言ったようにただのチンピラに過ぎない…つまり、組織にちゃんと属した人間じゃないんです。だから今までは、全くのノーマークで誰も白王華のコトなんて気にも掛けてなかった。逆の言い方をすれば、組織にとってこれ以上都合の良い人物はいないんですよ」
「それならそっちの警視サンにパクって貰えばいいんじゃ?」
「いえ、真っ向からこの一件の参考人として呼び出しても、白王華は口を割らないでしょう。組織は遠回しに腕のイイ弁護士を雇うでしょうし、一方では自分の組織の人間ではないからと言って、関与を認めません。それに贈賄に関与している人物は弥勒寺サンよりもずっとエライ人なんですよ。だから弥勒寺サンが本腰を入れて捜査を始めると、あっちに筒抜けというか……バレちゃうんです」
「じゃあ、手も足も出ない……の?」
「まぁ、ぶっちゃけそんな状態でして。だからちょっと反則ワザなんですけど、別件で引っ張ってそっちを手繰りよせようか……って話になってるんですけどね。さすがに組織がそうした用途に使っている男だけあって、表面上はクリーンなんです。こちらとしては、半端な理由で引っ張る訳にはいきません。犯罪のレベル的には出来るだけ些末な物の方が理想的なんです。駐車違反とか立ち小便とか、とにかく組織側が白王華の逮捕に対して警戒しないような内容で、なおかつはっきりと軽犯罪として立件出来るモノ。そうじゃないと今までの苦労も水の泡で逃げられてしまう」
片岡の説明を聞いて、2人は顔を見合わせた。
あまりにも別世界の話ではあるが、どうやら嘘でも冗談でもないらしい。
「今日、白王華と接触していた多聞サンのお知り合いの方が、本当に恐喝をされているとしたら。僕としては是非ご協力を仰いで、白王華の検挙の為に一肌脱いで頂きたいんですけど? お願い出来ませんかね?」
「そりゃ……ちょっとムズカシイかもな。……シノがもし恐喝されているとしたら、アイツのコトだからどうせ恐喝のネタを隠す為に、意固地になって認めない可能性の方が高いし……」
「そう……だね。シノさんの性格的に、それはちょっと無理な話だよね」
「やっぱり、そうですか。……ずっとアイツの後を追ってるんですけど、白王華に恐喝されているとおぼしき人は今までにも数人居たんですが、皆一様に白王華との接触は仕事上の打ち合わせだと言い張って、決して恐喝されているコトを認めてはくれないんですよ……。今回も空振りかぁ……」
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