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ダンプカー犬と幽霊とオーブと龍踊りの会話

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 浮島を守護するフェンリルの二頭は、最近漸くこの世界を管理してくれる神を迎えた。
 この世界が造られ、自分達神獣等が造られた時は創造神が管理していた。
 その創造神はいつも気だるそうで、いつも別の世界の創造神のことを愚痴っていた。

 ふと気付けばこの世界の創造神が姿を消し、管理者が居なくなったこの世界の中心にある世界樹が徐々に枯れていくという事態に陥ってしまった。
 直ぐにどうこうなるわけではないが、この世界に生きている全てのものにとっては由々しき事態であった。
 神獣であるフェンリルや龍達にもどうすることも出来ず、精霊も力が衰えていった。
 その中でも光龍と呼ばれる白い龍は浄化のスキル持ちだったので、少しずつこの世界を取り巻いていく瘴気を浄化し続けたが、それも焼け石に水だった。

 ある時他の世界の創造神ローマンザックが現れ、この世界の創造神カルキントスが夫持ちの何処かの女神と駆け落ちしたことを説明され、フェンリル達は呆然した。
 そんなフェンリル達に、ローマンザックは新たな管理者である神を連れてくるからそれまで我慢して欲しいと告げる。
 何でもその人物は、ローマンザックが『チキュウ』という世界に遊びに出掛けた時に命を助けてくれた心優しい人らしいのだ。
「彼はね、本当に本当に優しくて、遊んでくれて、ずっと傍に居たいぐらいだった人なんだ」と頬を染めながら話すローマンザックの姿を見て、フェンリル達は心をときめかせた。
 今度の神様なら自分達と遊んでくれるかもしれないと。

 それから暫くしてフェンリル達が守護する浮島に二階建ての家が出現した。
 木で造られたその家から何やら優しい波動を感じた。

 来た!神様が来た!
 フェンリル達は嬉しくて堪らない。
 ローマンザックからは新たに神が来ても驚かさないであげてね、と言われいたが、早く自分達の主に会いたいフェンリルは、家の扉を開けようする主の雰囲気を感じ、扉に張り付いた。

 が、開いた扉は直ぐに閉められた。

 主を驚かせてしまったフェンリル達は慌てて扉から離れ、今度は主から接触してくるまでじっくりと待つことにした。

 庭で待っていると水と土の精霊王と、多くの精霊たちがやって来ていた。
 皆、神様がやって来るのを待ち望んでいたからだ。

「いやぁ~フェンリルさん達もニッコニコですなぁ」

「そういう貴方方精霊王もソワソワしてるじゃないですか」

「そらもう、あんだけ待った神さんですよ?世界樹ユグドラシルのユグさんも早く瘴気消して~♪ゆ~てテンションMAXになってはりましたわ」

「「「「なってたなってたで~♪」」」」

 精霊王の周りを飛び回る精霊達も楽しそうだ。

 そこへフラフラと上空から浮島に降りてくる者が居た。

「光龍殿、久方ぶりですね」

「いやぁ、参った参った」

 光龍は白い身体を庭に横たわらせた。

「光龍さんも久しぶりですなぁ。ゆ~ても1年ぶり?」

「実は水龍にもっと海を浄化しろと文句言われてな。断ったらワシの美しい鬣の手が届かん部分を三つ編みして行きおったんよ。そんなかっこ悪い姿嫌じゃろ?なもんで山に擦り付けたりしたんじゃけど中々解けんで、周りにちょ~と咆哮したら人間達の街を壊したみたいでの。何やら結界?みたいなので眠らされとったわ」

「何やってんですか、貴方は」

「いやぁ面目ない。しかし昨日目が覚めての。もしかして新しい主が来とるんじゃと思うて浮島に来てみたんじゃよ」

 光龍は少し疲れが見えるが、背を反らしたり尻尾をグルグル回したりとストレッチをしている。

「ほぉ~人間も結界が作れるようになったんやなぁ。光龍さんとこやったらライソン帝国かいなぁ?眠らされたんゆ~のにえらいのほほんとしてますなぁ」

 木の精霊王が訝しげに光龍を見詰める。
 ここ十数年、精霊の力が衰えて人間に強制支配されていた精霊達が、少しずつ解放され、精霊王にもその分力が蘇って来た為、精霊王達は人間に罰を与えようか会議で話し合っているらしい。

「ワシは鬣が元に戻ればどうでもええんじゃ。それに結界で眠らされたのもワシが暴れたからじゃしの。ライソン帝国の港街ではワシを崇める祭を開催してくれとったし、代替わりしてから頑張っとるようじゃしの」

 崇める祭の部分で光龍は照れたように頬を染めたが、精霊王やフェンリル達はスルーした。

「ワシもこっそり人化して祭でたんまり酒を飲んで楽しんどるんじゃ」

「酒!?なんつ~羨ましいことを!ウチらも飲みたいわ!昔は精霊を大事にする人間もおってテーブルの隅に酒の一杯でも置きよったんに、強制支配スキルを持った人間が現れてから扱いが酷いもんや!」

「ほんま、むかっ腹立つわ!」

「「「「ほんまや、ほんまや~」」」」

 水と木の精霊王はプンスカプン状態である。

「え?人化して鬣の三つ編みを解けばいいんじゃ…」

「え?」

 フェンリルの内の一頭がボソッと呟きに、光龍は人化して三つ編みを解き、又元の龍の姿に戻り、まるで何もなかったかのような態度をとった。

「まぁまぁ、このまま主の浄化が進めば、その強制支配も徐々に使えなくなるだろう。あのスキルは瘴気が濃くなってから生まれたものだしな」

「そやな、ほな、ウチら又会議室に戻るわ。もしかしたら風のやら火のやら光のやら闇の達が庭に来るかもしれへんから、もし来たらよぅしたってな」

 二人の精霊王はスーッと消えていき、精霊達も竹林へ消えて行った。
 竹林の奥には花畑があり、精霊達はその花畑で自分達を癒すのだ。
 強制支配を抜けて、庭に現れた時の精霊はボロボロでグッタリしていたが、花畑で少しずつ回復していった。主と家が現れてからは回復するスピードが早くなったのか、庭に集まって来る様にもなった。

「ワシもちょっと疲れとるんで、庭で休ませてもらう」

 そう言って光龍は身体を完全に横たわらせて目を閉じた。



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