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巨塊討伐編 第三章:セレナの役目、店主の役目
バイトにて、ウィーナの災難 3
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「ちょっとテンシュ! 何やってんのよ!」
「待て待て。この子の手当てが先だ」
「お姉ちゃん、大丈夫?!」
『法具店アマミ』の入り口で騒ぎを起こした張本人は、普段とは全く違う態度をとる。
「……すまん」
「テンシュ、謝るのはもう分かったから中に入れたげないと!」
『クロムハード』のアローがウィーナを中に連れていくことを促し、カウンターの傍に座らせて騒動は落ち着く。
「全くもう、テンシュったら! もうお迎え来たから私行くね! それと、今日の調査は昼に一旦戻るから! じゃ任せたわよ!」
ウィーナのことが気がかりだが、国から派遣された調査員の迎を待たせるわけにはいかない。
店主へ怒りを向けながら自分の仕事を果たしに行くセレナ。
「……私、そこまでひどい怪我じゃないから気にしなくていいですよ、行ってらっしゃい……」
ウィーナから見送りの声を受けてセレナは出発した。
「で、テンシュさん。どういうことなの?」
「えっと、実はね……って、まだ自己紹介してないよねっ? あたし、ウィーナの双子の妹でミールって言いますっ。よろしくお願いします!」
ここで軽い自己紹介が始まった。
そして店主がそのような行為に至った前日の出来事の話題になる。
「そりゃ災難だったな。純粋な種族なんか珍しくなったんじゃないかと思うが」
「アックスが言うと意味深に感じるよな」
体形が人間の樹木の種族で、魔法も使えるため樹妖族と呼ばれる種族のアックスの言葉に亀の甲羅が人を象ったような獣人種のクラブが茶々を入れる。
しかしスウォードはその事態を冷静に受け止めた。
「だが固定概念に拘る者も少なくねぇな。特に魔物退治ではそれに拘る者はむしろ多い」
「襲撃する前に攻撃手段を絞る必要からあるから、ね」
その理由はニードルの言う通り。冒険者達の先人の知恵というものらしい。
「その通り。特に魔物相手なら、意外性のある特徴を持つ奴はほとんどいねぇ。普段の生息で生活しづらい性質になっちまうからっぽいな。だから、この種族はこういうタイプと言う決まった理論はアテになる。そして俺もどっちかっつーと肯定派だ」
双子は最後の一言で少し後ずさる。
「だが見下す行為はどんな相手でも厳禁だ。相手が魔物の場合は命を奪われる原因の一つになるし、冒険者の場合はこの仕事に就いた理由の一つは能力の中にあるからな。誰かと比べたって見つかりゃしねぇ。いわば個性ってやつだ。もちろん一目見て、優れている部分はどこかなどと言う判断はできんがな。それこそテンシュさんの得意分野だろ」
その双子を表情を緩めながら見つめるスウォードの眼差しは温かみがあった。
「さて、らしくねぇ話をしちまったところで、みんなの道具受け取りに来たんだが」
「あ、あぁ。カウンターの上に出してある。まずは……」
店主が一人ずつ装備品を説明しながら手渡しする。
使用者専用の物ではあるが、あくまでも体の寸法のみ。その効果はスウォードに作った物と同様、使用者の能力の拡張や変化の効果を持つ。だから特に詳しい説明はなく、模擬戦で確認すれば十分用は足る。
「私達もスウォードみたいに見違えるくらいの強さになるのかな」
「その前に、まず作ってもらった謝礼出さなきゃ。宝石で良かったんだよな?」
模擬戦や実戦に出るのが待ちきれないという期待感一杯な感情を表すスリング。
そんな彼女を抑えながら、スウォードは報酬の宝石をいくつかカウンターに置く。
「こいつも洞窟の入り口あたりの道端に落ちてた石だったんだが、眼鏡に叶ってくれりゃいいが」
「十分だ。効果のほどを確認して、期待以上ならさらに報酬をもらいてぇところだが……」
スウォードが宝石を見る店主の様子が気になっている。
その店主は腕組みをして首をかしげながら宝石を見ている。
ふと我に返った店主はスウォードたちを見回す。
「あ、あぁ、すまん。今は特にお前らに用件はないな。模擬戦行くんだろ? ウィーナの件でも足止めさせて悪かった」
『クロムハード』のメンバー全員は互いに顔を見合わす。店主について何やら言葉を交わしているが、店主の言葉に甘えて店を出た。
彼らの姿が見えなくなり、賑やかだった店内には静けさが訪れる。
双子の姉妹もようやく落ち着いたようだった。
「待て待て。この子の手当てが先だ」
「お姉ちゃん、大丈夫?!」
『法具店アマミ』の入り口で騒ぎを起こした張本人は、普段とは全く違う態度をとる。
「……すまん」
「テンシュ、謝るのはもう分かったから中に入れたげないと!」
『クロムハード』のアローがウィーナを中に連れていくことを促し、カウンターの傍に座らせて騒動は落ち着く。
「全くもう、テンシュったら! もうお迎え来たから私行くね! それと、今日の調査は昼に一旦戻るから! じゃ任せたわよ!」
ウィーナのことが気がかりだが、国から派遣された調査員の迎を待たせるわけにはいかない。
店主へ怒りを向けながら自分の仕事を果たしに行くセレナ。
「……私、そこまでひどい怪我じゃないから気にしなくていいですよ、行ってらっしゃい……」
ウィーナから見送りの声を受けてセレナは出発した。
「で、テンシュさん。どういうことなの?」
「えっと、実はね……って、まだ自己紹介してないよねっ? あたし、ウィーナの双子の妹でミールって言いますっ。よろしくお願いします!」
ここで軽い自己紹介が始まった。
そして店主がそのような行為に至った前日の出来事の話題になる。
「そりゃ災難だったな。純粋な種族なんか珍しくなったんじゃないかと思うが」
「アックスが言うと意味深に感じるよな」
体形が人間の樹木の種族で、魔法も使えるため樹妖族と呼ばれる種族のアックスの言葉に亀の甲羅が人を象ったような獣人種のクラブが茶々を入れる。
しかしスウォードはその事態を冷静に受け止めた。
「だが固定概念に拘る者も少なくねぇな。特に魔物退治ではそれに拘る者はむしろ多い」
「襲撃する前に攻撃手段を絞る必要からあるから、ね」
その理由はニードルの言う通り。冒険者達の先人の知恵というものらしい。
「その通り。特に魔物相手なら、意外性のある特徴を持つ奴はほとんどいねぇ。普段の生息で生活しづらい性質になっちまうからっぽいな。だから、この種族はこういうタイプと言う決まった理論はアテになる。そして俺もどっちかっつーと肯定派だ」
双子は最後の一言で少し後ずさる。
「だが見下す行為はどんな相手でも厳禁だ。相手が魔物の場合は命を奪われる原因の一つになるし、冒険者の場合はこの仕事に就いた理由の一つは能力の中にあるからな。誰かと比べたって見つかりゃしねぇ。いわば個性ってやつだ。もちろん一目見て、優れている部分はどこかなどと言う判断はできんがな。それこそテンシュさんの得意分野だろ」
その双子を表情を緩めながら見つめるスウォードの眼差しは温かみがあった。
「さて、らしくねぇ話をしちまったところで、みんなの道具受け取りに来たんだが」
「あ、あぁ。カウンターの上に出してある。まずは……」
店主が一人ずつ装備品を説明しながら手渡しする。
使用者専用の物ではあるが、あくまでも体の寸法のみ。その効果はスウォードに作った物と同様、使用者の能力の拡張や変化の効果を持つ。だから特に詳しい説明はなく、模擬戦で確認すれば十分用は足る。
「私達もスウォードみたいに見違えるくらいの強さになるのかな」
「その前に、まず作ってもらった謝礼出さなきゃ。宝石で良かったんだよな?」
模擬戦や実戦に出るのが待ちきれないという期待感一杯な感情を表すスリング。
そんな彼女を抑えながら、スウォードは報酬の宝石をいくつかカウンターに置く。
「こいつも洞窟の入り口あたりの道端に落ちてた石だったんだが、眼鏡に叶ってくれりゃいいが」
「十分だ。効果のほどを確認して、期待以上ならさらに報酬をもらいてぇところだが……」
スウォードが宝石を見る店主の様子が気になっている。
その店主は腕組みをして首をかしげながら宝石を見ている。
ふと我に返った店主はスウォードたちを見回す。
「あ、あぁ、すまん。今は特にお前らに用件はないな。模擬戦行くんだろ? ウィーナの件でも足止めさせて悪かった」
『クロムハード』のメンバー全員は互いに顔を見合わす。店主について何やら言葉を交わしているが、店主の言葉に甘えて店を出た。
彼らの姿が見えなくなり、賑やかだった店内には静けさが訪れる。
双子の姉妹もようやく落ち着いたようだった。
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