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巨塊討伐編 第二章:異世界と縁を切りたい店主が、異世界に絡み始める
休業開店 5
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店主が作ったスウォード用の防具は、彼が持っているものと瓜二つ。
それを前に、店主の講釈が始まる。
「さて、力ってのは誰にでもあるもんなんだが、物にも当然存在する。俺の得意分野の石に限らず、な」
そう言いながら全員を見渡す店主は、この世界での種族で人間に当てはまる。それに似た体形のエンビーを引き合いに出して話を続ける。
「エンビーは俺と違って、筋肉の付き方は全く違う。俺よりはるかに上回っている。けどこうして座っている限りは、俺もエンビーも全く変わらない」
「座ってるだけならテンシュどころか、人間の赤ん坊だって俺と変わらねぇな」
同意するエンビーに店主はさらに問いかける。
「じゃあ俺とどう違う? こうしている限りは変わらねぇってのに」
「そりゃ……動いたとき……だろ。体が大きい分素早さに欠けるところはあるだろうがな」
エンビーから期待通りの答えが出た店主は説明に気分が乗って来る。
「正解。もっと細かく言や、何かをしようとしたときだ。何もしなけりゃ、人のためになろうが害になろうが、全く変わらん」
セレナは表情を少し暗く落とす。憧れの人を失ってようやく十二時間を越えたところ。そう簡単に忘れるわけがない。
その原因となった巨塊も、ただ存在していただけだったらば暗い影を国に落とさず、討伐隊が討伐に出向くこともなく、何もない日常を過ごすことが出来ただろう。そうであれば彼との悲しい別れもせずに済んだはず。
しかし彼女のそんな思いも現実の前では塵芥に等しい。
「そしてこいつだ。スウォードの持っていた物も俺が作った物も、同じ形、同じ大きさ、肌触りや重さまでおんなじときたもんだ。どうよ俺の腕」
スウォードは彼の作った物に手にしようとしない。見た目で区別がつかない以上、触ったあとにどっちがどっちか分からなくなったら間違いなく今後の活動に響く。
「さて、お茶らけるのはこれくらいにしてだ。ただ身に付けるだけならおそらく同じ……ちょっと違うかもしれねぇが、まぁほとんど違いはねぇと思う」
「それだけなら作った意味はない。テンシュが作った物と違いは目に見えて存在する……ってことよね」
店主の作った物に釘付けのままのリメリアが意見を述べる。
「そういうこと。しかも同じ力を持たせた。じゃあどこに違いが現れるかって言うと」
「話の流れからすると、何かしようとするときに違いが現れる、ということですよね」
「ブレイドの言う通り。でも俺らは意思があって、その意思通りに動ける。じゃあこいつはどうなんだ? 生命体じゃない、ただの物体は。石はあるが意思はない。どうすりゃ何かをしてくれるんだ?」
「俺はライヤーですよ。わざと間違えて、俺達の名前覚える気はないですよアピールはもういいですから」
真面目に話を始めたはずの店主に、時々店主節が顔を出す。
店主は上手いことを言ったつもりのシャレには、うんざりした全員相手にしない。せっかくさりげなく混ぜたのにと、店主は軽く舌打ちをするが、それすらも無視される。
「道具が持つ力を何とかしようとする意思が必要ってこと?」
「キューリアは惜しかった。意思だけじゃない。実行力や行動力も必要になる。だってこの防具、お前らの誰かが装備したって、ひょっとしたら効果が出るかもしれん。だが装備しても間違いなく効果が現れない者が一人ここにいる」
今度は名前を間違えない。すると説明を受ける者達はその話に夢中になっていく。
「テンシュってことでいいの? 力の判別は出来るけど、力を発揮させることは出来ない」
「その通り。ひょっとしたら俺も魔力持ってるかもよ? けど発動させられない。力はあっても発動させる力がない。要するに魔術ってことだ。俺の世界での魔術となると、マジックかもしくは本当に効力があるかどうか怪しい呪(まじな)いの類になる。そして実はそれらは、物にも当てはまる」
「俺の……この防具にも当てはまるって話だよな?」
「あぁ。力は確かに持っている。そして持ち主のスウォードは、力を発揮するための術は持っているんだろう。だが残念なことに、役に立つであろう力の持ち主が物の場合は、さらにもう一つ条件が必要になる。多分みんな分かんないだろうから答えを言う。それは物体の個性、性質だ。スウォードの防具は残念ながら、使われている材料に力のみならず、すべての性質まで残したままになってる。と、言うことは」
店主は言葉を切り、その防具を手にして素材一つ一つを確認するように指を当てていく。
「その性質が、活用したい力の出現を邪魔している。だからその防具がその力を放出するまでもなく役に立っていた頃は、力がただ存在するだけでも頼りになってたほどスウォードが弱かった昔の話。ところが」
「防具が持っている力を越えた今のスウォードにはおもちゃ、ガラクタって言いたかったのね」
ヒューラーが後に続く。その言葉に店主はバツが悪そうな顔をする。
「正直大切な思い出が込められている物をガラクタ呼ばわりは済まないと思ってる。悪かった。だが長持ちさせるには、危険な戦場に持ち込むよりも、今まで十分活躍したんだからもう休めって言いながら、自室のどこかに飾っておく方がいいんじゃねぇかって思った。言葉不足なのは分かってたが、ついな。すまん」
「謝罪は受けよう。だがそれよりテンシュの説明の方が興味深い。話進めてくれないか? その個性や性質ってどういうことだ? 個性があるからいろんな力が出せたりするんじゃないのか?」
珍しく店主が素直になる。スウォードに頭を下げた態度が、セレナや『ホットライン』の面々を驚かせるが、スウォードは話の続きを促す。
「例えば凍らせてダメージを与えるのと熱してダメージを与えるのを同一の場所で同時に出来るか?」
傍にいる者同士で顔を見合わす。
二人同時に相反する魔法を放つことはあったようだが、相反する効果の魔法を同時に発生させたことはないようだ。
「交互には出来るだろうが……中和されちまうんじゃないか?」
「逆の見方もある。相容れぬ性質なら、どっちの力も無効になる。それでもその持ち主はいろんな修羅場を潜り抜けて来た。なんでだ?」
「それは本人に力があるから……あ」
問いかけに答えたブレイドは、店主とスウォードの一触即発の時の店主の言葉を思い出した。
それを前に、店主の講釈が始まる。
「さて、力ってのは誰にでもあるもんなんだが、物にも当然存在する。俺の得意分野の石に限らず、な」
そう言いながら全員を見渡す店主は、この世界での種族で人間に当てはまる。それに似た体形のエンビーを引き合いに出して話を続ける。
「エンビーは俺と違って、筋肉の付き方は全く違う。俺よりはるかに上回っている。けどこうして座っている限りは、俺もエンビーも全く変わらない」
「座ってるだけならテンシュどころか、人間の赤ん坊だって俺と変わらねぇな」
同意するエンビーに店主はさらに問いかける。
「じゃあ俺とどう違う? こうしている限りは変わらねぇってのに」
「そりゃ……動いたとき……だろ。体が大きい分素早さに欠けるところはあるだろうがな」
エンビーから期待通りの答えが出た店主は説明に気分が乗って来る。
「正解。もっと細かく言や、何かをしようとしたときだ。何もしなけりゃ、人のためになろうが害になろうが、全く変わらん」
セレナは表情を少し暗く落とす。憧れの人を失ってようやく十二時間を越えたところ。そう簡単に忘れるわけがない。
その原因となった巨塊も、ただ存在していただけだったらば暗い影を国に落とさず、討伐隊が討伐に出向くこともなく、何もない日常を過ごすことが出来ただろう。そうであれば彼との悲しい別れもせずに済んだはず。
しかし彼女のそんな思いも現実の前では塵芥に等しい。
「そしてこいつだ。スウォードの持っていた物も俺が作った物も、同じ形、同じ大きさ、肌触りや重さまでおんなじときたもんだ。どうよ俺の腕」
スウォードは彼の作った物に手にしようとしない。見た目で区別がつかない以上、触ったあとにどっちがどっちか分からなくなったら間違いなく今後の活動に響く。
「さて、お茶らけるのはこれくらいにしてだ。ただ身に付けるだけならおそらく同じ……ちょっと違うかもしれねぇが、まぁほとんど違いはねぇと思う」
「それだけなら作った意味はない。テンシュが作った物と違いは目に見えて存在する……ってことよね」
店主の作った物に釘付けのままのリメリアが意見を述べる。
「そういうこと。しかも同じ力を持たせた。じゃあどこに違いが現れるかって言うと」
「話の流れからすると、何かしようとするときに違いが現れる、ということですよね」
「ブレイドの言う通り。でも俺らは意思があって、その意思通りに動ける。じゃあこいつはどうなんだ? 生命体じゃない、ただの物体は。石はあるが意思はない。どうすりゃ何かをしてくれるんだ?」
「俺はライヤーですよ。わざと間違えて、俺達の名前覚える気はないですよアピールはもういいですから」
真面目に話を始めたはずの店主に、時々店主節が顔を出す。
店主は上手いことを言ったつもりのシャレには、うんざりした全員相手にしない。せっかくさりげなく混ぜたのにと、店主は軽く舌打ちをするが、それすらも無視される。
「道具が持つ力を何とかしようとする意思が必要ってこと?」
「キューリアは惜しかった。意思だけじゃない。実行力や行動力も必要になる。だってこの防具、お前らの誰かが装備したって、ひょっとしたら効果が出るかもしれん。だが装備しても間違いなく効果が現れない者が一人ここにいる」
今度は名前を間違えない。すると説明を受ける者達はその話に夢中になっていく。
「テンシュってことでいいの? 力の判別は出来るけど、力を発揮させることは出来ない」
「その通り。ひょっとしたら俺も魔力持ってるかもよ? けど発動させられない。力はあっても発動させる力がない。要するに魔術ってことだ。俺の世界での魔術となると、マジックかもしくは本当に効力があるかどうか怪しい呪(まじな)いの類になる。そして実はそれらは、物にも当てはまる」
「俺の……この防具にも当てはまるって話だよな?」
「あぁ。力は確かに持っている。そして持ち主のスウォードは、力を発揮するための術は持っているんだろう。だが残念なことに、役に立つであろう力の持ち主が物の場合は、さらにもう一つ条件が必要になる。多分みんな分かんないだろうから答えを言う。それは物体の個性、性質だ。スウォードの防具は残念ながら、使われている材料に力のみならず、すべての性質まで残したままになってる。と、言うことは」
店主は言葉を切り、その防具を手にして素材一つ一つを確認するように指を当てていく。
「その性質が、活用したい力の出現を邪魔している。だからその防具がその力を放出するまでもなく役に立っていた頃は、力がただ存在するだけでも頼りになってたほどスウォードが弱かった昔の話。ところが」
「防具が持っている力を越えた今のスウォードにはおもちゃ、ガラクタって言いたかったのね」
ヒューラーが後に続く。その言葉に店主はバツが悪そうな顔をする。
「正直大切な思い出が込められている物をガラクタ呼ばわりは済まないと思ってる。悪かった。だが長持ちさせるには、危険な戦場に持ち込むよりも、今まで十分活躍したんだからもう休めって言いながら、自室のどこかに飾っておく方がいいんじゃねぇかって思った。言葉不足なのは分かってたが、ついな。すまん」
「謝罪は受けよう。だがそれよりテンシュの説明の方が興味深い。話進めてくれないか? その個性や性質ってどういうことだ? 個性があるからいろんな力が出せたりするんじゃないのか?」
珍しく店主が素直になる。スウォードに頭を下げた態度が、セレナや『ホットライン』の面々を驚かせるが、スウォードは話の続きを促す。
「例えば凍らせてダメージを与えるのと熱してダメージを与えるのを同一の場所で同時に出来るか?」
傍にいる者同士で顔を見合わす。
二人同時に相反する魔法を放つことはあったようだが、相反する効果の魔法を同時に発生させたことはないようだ。
「交互には出来るだろうが……中和されちまうんじゃないか?」
「逆の見方もある。相容れぬ性質なら、どっちの力も無効になる。それでもその持ち主はいろんな修羅場を潜り抜けて来た。なんでだ?」
「それは本人に力があるから……あ」
問いかけに答えたブレイドは、店主とスウォードの一触即発の時の店主の言葉を思い出した。
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