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出発・別離・帰宅・番(つがい)編 帰宅
そして日常へ
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それからしばらくは、キューリアのように店主に向かって激怒する者もいたり、立ち上がれないくらい号泣する者がいたりと、『法具店アマミ』は混沌としたものであった。
それでもこの世界では、天流教の教えが根付いている下地があったおかげか、セレナはいつも店主のそばにいる話を聞くと、誰もが若干安心した顔になる。
(私の声はキューリア達に聞こえるようなことは滅多にないし、私のことを誰も見ることは出来ないんだけどさ)
そんな者達をセレナは見送りながら、店主に話しかける。
(私はみんなの話聞こえたりするからさ。それにみんなの話の裏って言うのかな、言いたいことはあるけどうまく伝わらないってことあるじゃない)
「仕事の注文なんか、そういうことが多いな。それが?」
(相手のそんな伝えたいことも分かるようになってきたって言うかさ。だからお仕事の手伝いも少しは出来るかもって)
「俺の作業の邪魔にならなきゃ構わねぇよ。それにしても俺に限って言えば、今までとあまり変わんねぇな。見えない連中には無神経と思われるかもしれねぇが、ま、気にする必要もなし」
セレナの姿が見えない者達には、相棒を失っても平然としているように見える。
店主の言う通り、そう決めつけられ、それで腹を立てられることもあった。
店主とセレナが親しく感じる者達へは事情を説明するが、一方的に親しげにしてくる、二人はよく知らない客にはそこまで説明する必要はないと店主は感じる。
「天流教とやらの宗教は国教どころかこの世界の宗教らしいし根付いてるってのは分からないでもないが……」
誰もが信仰深いなら、店主に腹を立てることなどなさそうなもの。
(みんながみんなそうとは限らないわよ。知らなくても自然の流れに身を任せることは出来るし、自然の流れを変えたり曲解する教えじゃないもの)
「そこら辺の宗教の在り方って、こっちとはちと違うな。こっちにはいろいろあるからなぁ」
(いろいろあるってのは私たちにとっては不思議ねぇ)
傍から見ると、店主の独り言にしか見えない。
しかしシエラには慣れたもの。
「え? セレナさんと何かお話ししてたんですか? どんなことです?」
「俺の住んでた世界とこことの宗教観の違いについて、かな」
シエラには見えないセレナはうんうんと頷いている。
セレナの姿を見ることが出来ない者からセレナとの会話について聞かれたときは店主は絶対に茶化して返事することはしない。
そのような質問をする者達もまた、セレナを親しく思い、そこにセレナがいるものと受け止めてくれているから。
そして店主のそんな姿勢と対応は、そんな者達からはさらに快く思われるようになる。
「別に点数稼ぎするつもりはねぇんだがな」
(いちいちそんな風にひねくれないのっ。まぁいつもと変わらない態度って、ある意味安心感あるわよね)
「……ひねくれてるわけじゃねぇよ。安心感を与えたいつもりもねぇ。そうとしか言えねぇからそう返事するんであってな。それにお前のこと心配してる連中がいるから、余計な心配すんなってことでもあるしな」
セレナと会話するときは、言葉を返す時はセレナの言葉の一部を引き継ぐことを心掛ける。
それで、彼女の声が聞こえなくてもどんな会話がされているか予想もできる。
返してくる言葉の中には店主の意に反することや、店主が口にすることは絶対にない言葉もあるから、それがセレナが傍にいることの証明にもなっていった。
それでもこの世界では、天流教の教えが根付いている下地があったおかげか、セレナはいつも店主のそばにいる話を聞くと、誰もが若干安心した顔になる。
(私の声はキューリア達に聞こえるようなことは滅多にないし、私のことを誰も見ることは出来ないんだけどさ)
そんな者達をセレナは見送りながら、店主に話しかける。
(私はみんなの話聞こえたりするからさ。それにみんなの話の裏って言うのかな、言いたいことはあるけどうまく伝わらないってことあるじゃない)
「仕事の注文なんか、そういうことが多いな。それが?」
(相手のそんな伝えたいことも分かるようになってきたって言うかさ。だからお仕事の手伝いも少しは出来るかもって)
「俺の作業の邪魔にならなきゃ構わねぇよ。それにしても俺に限って言えば、今までとあまり変わんねぇな。見えない連中には無神経と思われるかもしれねぇが、ま、気にする必要もなし」
セレナの姿が見えない者達には、相棒を失っても平然としているように見える。
店主の言う通り、そう決めつけられ、それで腹を立てられることもあった。
店主とセレナが親しく感じる者達へは事情を説明するが、一方的に親しげにしてくる、二人はよく知らない客にはそこまで説明する必要はないと店主は感じる。
「天流教とやらの宗教は国教どころかこの世界の宗教らしいし根付いてるってのは分からないでもないが……」
誰もが信仰深いなら、店主に腹を立てることなどなさそうなもの。
(みんながみんなそうとは限らないわよ。知らなくても自然の流れに身を任せることは出来るし、自然の流れを変えたり曲解する教えじゃないもの)
「そこら辺の宗教の在り方って、こっちとはちと違うな。こっちにはいろいろあるからなぁ」
(いろいろあるってのは私たちにとっては不思議ねぇ)
傍から見ると、店主の独り言にしか見えない。
しかしシエラには慣れたもの。
「え? セレナさんと何かお話ししてたんですか? どんなことです?」
「俺の住んでた世界とこことの宗教観の違いについて、かな」
シエラには見えないセレナはうんうんと頷いている。
セレナの姿を見ることが出来ない者からセレナとの会話について聞かれたときは店主は絶対に茶化して返事することはしない。
そのような質問をする者達もまた、セレナを親しく思い、そこにセレナがいるものと受け止めてくれているから。
そして店主のそんな姿勢と対応は、そんな者達からはさらに快く思われるようになる。
「別に点数稼ぎするつもりはねぇんだがな」
(いちいちそんな風にひねくれないのっ。まぁいつもと変わらない態度って、ある意味安心感あるわよね)
「……ひねくれてるわけじゃねぇよ。安心感を与えたいつもりもねぇ。そうとしか言えねぇからそう返事するんであってな。それにお前のこと心配してる連中がいるから、余計な心配すんなってことでもあるしな」
セレナと会話するときは、言葉を返す時はセレナの言葉の一部を引き継ぐことを心掛ける。
それで、彼女の声が聞こえなくてもどんな会話がされているか予想もできる。
返してくる言葉の中には店主の意に反することや、店主が口にすることは絶対にない言葉もあるから、それがセレナが傍にいることの証明にもなっていった。
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