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三波新の孤軍奮闘編
ダンジョン入り口での奮闘 その3
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魔力が込められている物体、生き物、あらゆる物全てからその魔力を吸い取って補充できる機能を持つ防具。
所有している魔球すべてから魔力を吸い取り、現象から発生する魔物の足止めのために使い果たした。
その直前にヨウミがやってきて、足止めの効果がある魔法を俺の後を継いで放出。
しかしヨウミの防具の魔力も、いずれは尽きる。
店のストックにある大量のおにぎりから魔力を補充する提案を受けたが、それで、まだ地下三十階くらい下にいる魔物共にとどめをさせるとは思えない。
今回の現象を終息させる決め手がない。
魔力が十分だとしても、攻撃手段があっても身体そのものの防御力は、防具があっても高まることはない。
強烈な一撃を食らえば、防具があっても堪えられない体重に変化はないから。
故に吹っ飛ぶ。
壁にぶつかる衝撃を止めるために防具で堪えても、防具で守られてない太ももや肩、胸腹腰背中その他諸々に衝撃が走る。
ヒーローに憧れてヒーローになるには、そのための努力をするには少々肉体的につらいお年頃だ。
「アラタっ! 何ぼんやりしてるのよ! だったら他の手を考えなさいよ!」
気楽に言ってくれる。
考えたさ。
考えた。
考えに考えた。
出た結論は、手詰まり。
迷路の中で、袋小路に囲まれた気分。
ゴールがどこにもない。
あるのは延命という誤魔化しくらい。
魔力の補充。
しかしその補充できる物は、ヨウミのおかげで思い出した。
魔力や魔力らしき物を内包している生き物、物体。
その一つに、俺が採集した米で作られたおにぎりがある。
具体的な物が出てきたのも、ヨウミのおかげ。
だがそれも却下。
しかし……。
「魔力が籠った米、ねぇ」
今から採集場所まで行って、手あたり次第米をこの防具にぶち込んで……。
時間がかかりすぎる。
一粒一粒から魔力を補充する時間は短いだろう。
だが、防具一杯に魔力を蓄積させるには……。
「米粒を魔球代わりに、というのも無理か」
「無理無理ばっかり言って、じゃあ代わりになる方法があるの? なきゃそれをするしかないでしょう!」
その理論には賛同できる。
が、現象から生ずる魔物に有効かどうか。
ほとんど意味がないだろう。
けど、ススキモドキの米には、差はあるものの、何で魔力が込められているのか。
待てよ?
そんなススキモドキが育つ土地には……いや、地面? ……違う。この土地……世界に魔力があるから?
「ということは……?」
魔力が空の左手防具を外す。
肘側の防具の凹みを下にして、地面に叩きつける勢いをつけて突き刺してみる。
「え? アラタ……何やってんのよ。って……えぇ?!」
赤一色になった発光部に、赤以外の色の光彩が混ざる。
「……まさか、だよ……」
当たってほしい俺の仮定。
けど、それが大当たりするなんて予想はしてなかった。
「砂とか土だったら……どこでも魔力の補給ができる……ってことだよな、これ」
「魔球なんか……必要ないってこと、だよね……」
ただし、地面に突き刺した時に防具が壊れない限り、だが。
ぼんやり考えているうちに、紫、青もグラデーションに加わる。
急いで他の防具も外し、地面に突き刺した。
時間のロスはない方がいい。
「……とんでもない補給源、見つけちまった……」
シアン、このことまで予測できたんかな……?
※※※※※ ※※※※※
魔力の枯渇問題は解消できた。
おそらく三桁に至るダンジョンの階層すべてを水没させることもできるだろう。
が、魔物まで水没させた後、従来通りこのダンジョンを活用できるかというと……難しい。
現在地下二階から地下三十階までの壁、天井、床すべてを氷結させている。
これらを一気に融解させても、流れ落ちる水は同数の階数を水没させられる量にはならない。
そして、どんな熟練の冒険者でも、最下僧までたどり着くことはないはずだ。
ダンジョン潜入の目的は、主に三つ。
アイテム採集と、冒険者としての鍛錬の、集団戦と魔物討伐の二通り。
いずれも、最下層までたどり着く必要はない。
だから今現在において、最低限氷結させている階層数の維持さえできればいい。
その範囲を広げるか、氷で階層ごと蓋をできれば御の字か。
しかし階層を氷で埋め尽くすと、さらに下への階層へとその範囲を広げるのはまず無理だ。
まぁどのみち、魔物が地表まで上がってこられるのはまず無理だ。
実際、奴らが地表に上がるために最初に足を踏み入れた氷漬けの階層で足止めを食らってる。
「でも……これで一安心なのはいいけど……」
またヨウミの奴が不安を煽る。
この作戦のどこに問題がある?
「アラタ……。あんた、いつからこれやってたの?」
「え?」
「……睡魔という魔物がやってきたらどうするつもり? まさか覚醒の魔法とか使うんじゃないでしょうね? ずっと置き続けていると、精神に異常を来たすって聞いたよ?」
あ……。
言われてみれば……。
魔力放出は、意識がある間のみ。
いろんな魔法を出せるが、それはそのような魔法を出す、という装備者の意識によるものって説明してたし……。
……睡魔、とはつくづくよく言ったものだ……。
心の隙を付け入る、まさに邪魔者だ。
……健康維持には必要な生理現象ではあるが……。
所有している魔球すべてから魔力を吸い取り、現象から発生する魔物の足止めのために使い果たした。
その直前にヨウミがやってきて、足止めの効果がある魔法を俺の後を継いで放出。
しかしヨウミの防具の魔力も、いずれは尽きる。
店のストックにある大量のおにぎりから魔力を補充する提案を受けたが、それで、まだ地下三十階くらい下にいる魔物共にとどめをさせるとは思えない。
今回の現象を終息させる決め手がない。
魔力が十分だとしても、攻撃手段があっても身体そのものの防御力は、防具があっても高まることはない。
強烈な一撃を食らえば、防具があっても堪えられない体重に変化はないから。
故に吹っ飛ぶ。
壁にぶつかる衝撃を止めるために防具で堪えても、防具で守られてない太ももや肩、胸腹腰背中その他諸々に衝撃が走る。
ヒーローに憧れてヒーローになるには、そのための努力をするには少々肉体的につらいお年頃だ。
「アラタっ! 何ぼんやりしてるのよ! だったら他の手を考えなさいよ!」
気楽に言ってくれる。
考えたさ。
考えた。
考えに考えた。
出た結論は、手詰まり。
迷路の中で、袋小路に囲まれた気分。
ゴールがどこにもない。
あるのは延命という誤魔化しくらい。
魔力の補充。
しかしその補充できる物は、ヨウミのおかげで思い出した。
魔力や魔力らしき物を内包している生き物、物体。
その一つに、俺が採集した米で作られたおにぎりがある。
具体的な物が出てきたのも、ヨウミのおかげ。
だがそれも却下。
しかし……。
「魔力が籠った米、ねぇ」
今から採集場所まで行って、手あたり次第米をこの防具にぶち込んで……。
時間がかかりすぎる。
一粒一粒から魔力を補充する時間は短いだろう。
だが、防具一杯に魔力を蓄積させるには……。
「米粒を魔球代わりに、というのも無理か」
「無理無理ばっかり言って、じゃあ代わりになる方法があるの? なきゃそれをするしかないでしょう!」
その理論には賛同できる。
が、現象から生ずる魔物に有効かどうか。
ほとんど意味がないだろう。
けど、ススキモドキの米には、差はあるものの、何で魔力が込められているのか。
待てよ?
そんなススキモドキが育つ土地には……いや、地面? ……違う。この土地……世界に魔力があるから?
「ということは……?」
魔力が空の左手防具を外す。
肘側の防具の凹みを下にして、地面に叩きつける勢いをつけて突き刺してみる。
「え? アラタ……何やってんのよ。って……えぇ?!」
赤一色になった発光部に、赤以外の色の光彩が混ざる。
「……まさか、だよ……」
当たってほしい俺の仮定。
けど、それが大当たりするなんて予想はしてなかった。
「砂とか土だったら……どこでも魔力の補給ができる……ってことだよな、これ」
「魔球なんか……必要ないってこと、だよね……」
ただし、地面に突き刺した時に防具が壊れない限り、だが。
ぼんやり考えているうちに、紫、青もグラデーションに加わる。
急いで他の防具も外し、地面に突き刺した。
時間のロスはない方がいい。
「……とんでもない補給源、見つけちまった……」
シアン、このことまで予測できたんかな……?
※※※※※ ※※※※※
魔力の枯渇問題は解消できた。
おそらく三桁に至るダンジョンの階層すべてを水没させることもできるだろう。
が、魔物まで水没させた後、従来通りこのダンジョンを活用できるかというと……難しい。
現在地下二階から地下三十階までの壁、天井、床すべてを氷結させている。
これらを一気に融解させても、流れ落ちる水は同数の階数を水没させられる量にはならない。
そして、どんな熟練の冒険者でも、最下僧までたどり着くことはないはずだ。
ダンジョン潜入の目的は、主に三つ。
アイテム採集と、冒険者としての鍛錬の、集団戦と魔物討伐の二通り。
いずれも、最下層までたどり着く必要はない。
だから今現在において、最低限氷結させている階層数の維持さえできればいい。
その範囲を広げるか、氷で階層ごと蓋をできれば御の字か。
しかし階層を氷で埋め尽くすと、さらに下への階層へとその範囲を広げるのはまず無理だ。
まぁどのみち、魔物が地表まで上がってこられるのはまず無理だ。
実際、奴らが地表に上がるために最初に足を踏み入れた氷漬けの階層で足止めを食らってる。
「でも……これで一安心なのはいいけど……」
またヨウミの奴が不安を煽る。
この作戦のどこに問題がある?
「アラタ……。あんた、いつからこれやってたの?」
「え?」
「……睡魔という魔物がやってきたらどうするつもり? まさか覚醒の魔法とか使うんじゃないでしょうね? ずっと置き続けていると、精神に異常を来たすって聞いたよ?」
あ……。
言われてみれば……。
魔力放出は、意識がある間のみ。
いろんな魔法を出せるが、それはそのような魔法を出す、という装備者の意識によるものって説明してたし……。
……睡魔、とはつくづくよく言ったものだ……。
心の隙を付け入る、まさに邪魔者だ。
……健康維持には必要な生理現象ではあるが……。
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