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店の日常編
仲間達の新たな活動 2
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その日の晩飯時。
晩飯に加わった冒険者達は、俺に相談を持ち掛けた奴とその仲間、全員で五人。
そいつらが連れて来た新人冒険者達は四人の合計九人。
「え、えっと、先程はすいませんでした……。は、初めまして……」
と自己紹介が始まる前の惨劇と言ったら……。
そりゃこいつらの経験が浅いってのは分かる。
けどな。
フィールドでの晩飯に招かれて来て、ンーゴの姿を見た途端取り乱してな。
晩飯投げるわ踏むわでもうね。
コーティの電撃でそいつらを拘束。
コーティの魔法は電撃に特化してて、最大出力は相当なモノらしいが、そればかりじゃなく、微調節もいとも簡単にできるとか何とか。
魔法やら魔物討伐やらに疎い俺には、その価値はよく理解できんのだが、誰もが一目置くらしい。
で、引率冒険者達からの「すまん」の意の言葉を聞きながら料理が再び運び込んで、ようやく落ち着いて自己紹介というわけだ。
「ペイド、と言います。剣技中心の戦士です。刃物全般を扱える……のを目指してます」
ソードじゃねぇのか。
まぁ……初心者がいきなり何でもござれの技術者なわけねぇよな。晩飯の時間が大幅に遅れることになっちまった。
「イーヤです。私も……剣士ってところでしょうか」
女の子が剣士。
肌を刃物で傷をつけたがる女性はいないと思うんだが……。
まぁ好き好きだからな。
「ランブです。補助魔術担当してます」
こいつは男。
まぁ、男の子、かな。
にしても……担当、ね。
得意でもすごいでもないのな。
物は言いよう。
「ハッツです。私は攻撃魔法を担当してます」
不得意じゃない、というレベルなのか何なのか。
まぁ俺がどうこう言う筋合いじゃねぇな。
「そ、それで……その……」
「ナァニカナ? ペイドクン」
「うわあっ!」
ライムがペイドに気配を消しつつすり寄って、不意に話しかけた。
ライムの奴、絶対からかってるよな。
「ほらほら、また料理に手ぇ出しちゃいそうだよ?」
「うわっ! あ、は……はい、すいません……」
今度は反対側からコーティが。
全くこいつらは……。
面白がってんなぁ。
他の三人も、サミーですら怖がってるし、宥めようと近づいたモーナーにもビビってる。
にしてもなぁ……。
驚かせようしてる奴らは……悪乗りしすぎだぞ?
「そういえば、エージたちもそうだったが、四人組が多いな」
「ん? あぁ、そりゃそうだろ。養成所出身の奴らは、成り立ては誰もが能力は似たり寄ったりだ。リーダーシップだって、ほんの少し他の奴より高けりゃできる。けど大人数を仕切るのはまず無理だ。せいぜい四人がいいところ」
引率の冒険者の一人からこんな回答。
なるほどなぁ。
そういう事情もあるのか。
冒険者稼業とは縁遠い俺には新鮮な情報だ。
「ねぇ、アラタ」
「ん? どした? ヨウミ」
「こっちの自己紹介もしないと、この子達怯えてばかりで話が進まないと思うんだけど。それにみんなの特徴も伝えないと、と思うんだけど」
「あー……、それもそうだな」
言われてみれば、まったくだ。
「能力の紹介までするのか? その事まで知ったら練習の時は用心できるし、実戦だと能力不明の相手ばかりだろうから、ここでの練習が実戦で役に立つとも思えんのだが」
なんて言う先輩冒険者の言うことも一理あるが。
「内緒にしたって、何度も……一回手を合わせただけでもうバレバレだろ。それに知ったとしてもすぐに対応できるたぁ思えん。実際こいつにおにぎりの作り方教えても、一発ではまともなおにぎりを作れなかったしな。なぁ? ヨウミ」
「そこであたしを引き合いに出さないでよ!」
「まぁ……ヨウミちゃんのことはともかく、確かにそういうこともある、かな」
けど、紹介する相手にこんなにビビりまくられてたら自己紹介もなにもねぇんじゃねぇかなぁ……。
晩飯に加わった冒険者達は、俺に相談を持ち掛けた奴とその仲間、全員で五人。
そいつらが連れて来た新人冒険者達は四人の合計九人。
「え、えっと、先程はすいませんでした……。は、初めまして……」
と自己紹介が始まる前の惨劇と言ったら……。
そりゃこいつらの経験が浅いってのは分かる。
けどな。
フィールドでの晩飯に招かれて来て、ンーゴの姿を見た途端取り乱してな。
晩飯投げるわ踏むわでもうね。
コーティの電撃でそいつらを拘束。
コーティの魔法は電撃に特化してて、最大出力は相当なモノらしいが、そればかりじゃなく、微調節もいとも簡単にできるとか何とか。
魔法やら魔物討伐やらに疎い俺には、その価値はよく理解できんのだが、誰もが一目置くらしい。
で、引率冒険者達からの「すまん」の意の言葉を聞きながら料理が再び運び込んで、ようやく落ち着いて自己紹介というわけだ。
「ペイド、と言います。剣技中心の戦士です。刃物全般を扱える……のを目指してます」
ソードじゃねぇのか。
まぁ……初心者がいきなり何でもござれの技術者なわけねぇよな。晩飯の時間が大幅に遅れることになっちまった。
「イーヤです。私も……剣士ってところでしょうか」
女の子が剣士。
肌を刃物で傷をつけたがる女性はいないと思うんだが……。
まぁ好き好きだからな。
「ランブです。補助魔術担当してます」
こいつは男。
まぁ、男の子、かな。
にしても……担当、ね。
得意でもすごいでもないのな。
物は言いよう。
「ハッツです。私は攻撃魔法を担当してます」
不得意じゃない、というレベルなのか何なのか。
まぁ俺がどうこう言う筋合いじゃねぇな。
「そ、それで……その……」
「ナァニカナ? ペイドクン」
「うわあっ!」
ライムがペイドに気配を消しつつすり寄って、不意に話しかけた。
ライムの奴、絶対からかってるよな。
「ほらほら、また料理に手ぇ出しちゃいそうだよ?」
「うわっ! あ、は……はい、すいません……」
今度は反対側からコーティが。
全くこいつらは……。
面白がってんなぁ。
他の三人も、サミーですら怖がってるし、宥めようと近づいたモーナーにもビビってる。
にしてもなぁ……。
驚かせようしてる奴らは……悪乗りしすぎだぞ?
「そういえば、エージたちもそうだったが、四人組が多いな」
「ん? あぁ、そりゃそうだろ。養成所出身の奴らは、成り立ては誰もが能力は似たり寄ったりだ。リーダーシップだって、ほんの少し他の奴より高けりゃできる。けど大人数を仕切るのはまず無理だ。せいぜい四人がいいところ」
引率の冒険者の一人からこんな回答。
なるほどなぁ。
そういう事情もあるのか。
冒険者稼業とは縁遠い俺には新鮮な情報だ。
「ねぇ、アラタ」
「ん? どした? ヨウミ」
「こっちの自己紹介もしないと、この子達怯えてばかりで話が進まないと思うんだけど。それにみんなの特徴も伝えないと、と思うんだけど」
「あー……、それもそうだな」
言われてみれば、まったくだ。
「能力の紹介までするのか? その事まで知ったら練習の時は用心できるし、実戦だと能力不明の相手ばかりだろうから、ここでの練習が実戦で役に立つとも思えんのだが」
なんて言う先輩冒険者の言うことも一理あるが。
「内緒にしたって、何度も……一回手を合わせただけでもうバレバレだろ。それに知ったとしてもすぐに対応できるたぁ思えん。実際こいつにおにぎりの作り方教えても、一発ではまともなおにぎりを作れなかったしな。なぁ? ヨウミ」
「そこであたしを引き合いに出さないでよ!」
「まぁ……ヨウミちゃんのことはともかく、確かにそういうこともある、かな」
けど、紹介する相手にこんなにビビりまくられてたら自己紹介もなにもねぇんじゃねぇかなぁ……。
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