185 / 493
店の日常編
外の世界に少しずつ その3
しおりを挟む
「あたしもペロペロされたーい。ねぇサミーちゃん、今夜はヨウミお姉ちゃんのところで一緒に寝ない?」
「ヨウミぃ、朝っぱらから夜のお誘いってどうなのよっ」
「夜のお誘いゆーなっ!」
朝ご飯の時間も賑やかになった。
まぁ今朝は俺の髪の毛の件があったから尚更だな。
にしても、コーティ……下ネタとうけとっていいのか? それ。
「毛が抜けても構わないってんならいいんじゃないか? サミー、ヨウミが頭全部舐めてもらいたいとさ」
「いやっ! やっぱり勘弁!」
「でもおかしいよ?」
「何がだ? マッキー?」
当然ながら、朝ご飯の時間前に全員起床する。
朝ご飯の時にその日初めて会うミアーノとンーゴはともかく、他の連中は当然その時間に対面する。
その時には気付かなかった何かに気付いたということは、寝起きで感情が先立って、深く考え込めなかったってことなんだろう。
「サミーの舌、そんなに器用に動かせるの? っていうか、結構幅あるよ? ペン先位の幅だったらそんなに器用に舐めることできるのに」
「舌の厚さがないならできるだろ。つか、何かカッコ悪いな。反対側も同じくらい剃ってもらえば、スリットみたいなファッションに見えなくはないか?」
「でも、その地肌にかかってる髪の毛に特に長さの乱れはないからさぁ。夢で何かを食べてたとしても、普通の食べ方だったらわりと行儀悪いよね」
確かにそうだ。
一つの皿に好きな料理と嫌いな料理が盛り付けられたとして、好きな物だけを探って食べるような感じになるんだな。
額にかかってる髪の毛が嫌いな物、額から生えてるのが好きな物、とそれぞれに例えたらの話だが。
雑食性のサミーが好きな食べ物は、基本的には甘い物が多い。
逆に嫌いな物はほとんどない。
だから、そもそも好き嫌いが激しいということはないのだが……。
「あれ? 今朝サミーに聞いたのは、楽しい夢を見たかってことだよね?」
最近テンちゃんはサミーのことを呼び捨てにするようになった。
体が大きくなってきたから、が理由らしい。
「あぁ。それが?」
「食べ物を食べた夢って聞いたの?」
「え?」
「そんな風には聞いてなかったですね」
言われてみれば。
楽しい夢を見たか、という質問に肯定の反応。
楽しくて興奮すると、一緒にいる奴にいつもペロペロしてたからな。
「サミー、ペロペロもするけど、鼻で擦られることあるのよね。可愛いんだけど、時々毛が擦れて落ちちゃうのよ。ひょっとしてそれじゃない?」
言われてみればっ!
サミーの鼻先が猫よりも出っ張っている。
鳴き声が猫っぽいので、猫に似てるかなぁ、という感じ。
鼻先で擦られて毛が削れたり抜けていくというなら、こんな綺麗な長方形の剃り跡にはなるのは納得がいく。
「……お前……相当楽しい夢見てたんだなぁ」
「ミュ?」
食事中のサミーに話しかけると、こっちに顔を向けてきた。
目に入ったのは、一つまみ程のポテトサラダの白にみじん切りのパセリの一切れの緑が付いた黒い鼻先。
サミーの目には入らないのか、何度か普通にパチクリ瞬きするだけ。
「こういう顔見ると……もうね……。キュンとくるっ」
「食べちゃいたいくらい、とかか?」
まったく朝っぱらからヨウミは、ツッコミ入れたくなるようなことを……。
「ヨウミったらホントに……夜のお誘いに、食べちゃいたいくらい可愛いってどうなのよっ」
「だからコーティ、どうしてそっち方面に話が……」
「イツモ、ソンナコト、カンガエテルカラ?」
「ちょっとライム……あんたもそういうこと言うの?」
「イヤ、ヨウミジャナクテ、コーティ」
「どういう意味よっ!」
賑やか通り越してるな。
騒々しいったらありゃしない。
活気があって何よりだがな。
「なぁ、アラタのあんちゃんよぉ」
今度はミアーノか。
何だよ。
「舌先じゃなくて、鼻先じゃねぇのか? 鼻先ならおでこに当ててそのまま刷り上げりゃそうなるし、舌先より細いし形が変わらねぇよな?」
言われてみれば。
舌は自在に動かせる。
でも外からの力でも形は変わるし、それで動く形跡も変わることもある。
鼻先ならその形状は変わらないし、跡は自分の思うように描くことはできる。
けどそれはそれで変じゃねぇか?
「でも刃物のような鋭い物が肌の面に沿って移動しないと、地肌が見えるくらいに剃れはしないだろ」
「擦って削れて粉になって吹き飛んだんとかじゃねぇの? そこら辺までは分からんけどよ」
まぁ……有り得なくはないかもな。
舐められようが撫でられようが、可愛い奴から懐かれるのは……やっぱ嬉しいもんだな。
でも寝てる間にこんな風になるまで鼻でこすりつけられて……。
起きてる間だったら、サミーの感触をもっと楽しめられたんだがなぁ。
「アラタぁ」
「何だよ、テンちゃん」
「そろそろあたしのお腹、恋しくなあい?」
何でこいつ、サミーと張り合おうとするんだ。
それにしても……気になり始めたら止まらなくなったな。
妙にバランス、取れてないよなぁ……。
「ヨウミぃ、朝っぱらから夜のお誘いってどうなのよっ」
「夜のお誘いゆーなっ!」
朝ご飯の時間も賑やかになった。
まぁ今朝は俺の髪の毛の件があったから尚更だな。
にしても、コーティ……下ネタとうけとっていいのか? それ。
「毛が抜けても構わないってんならいいんじゃないか? サミー、ヨウミが頭全部舐めてもらいたいとさ」
「いやっ! やっぱり勘弁!」
「でもおかしいよ?」
「何がだ? マッキー?」
当然ながら、朝ご飯の時間前に全員起床する。
朝ご飯の時にその日初めて会うミアーノとンーゴはともかく、他の連中は当然その時間に対面する。
その時には気付かなかった何かに気付いたということは、寝起きで感情が先立って、深く考え込めなかったってことなんだろう。
「サミーの舌、そんなに器用に動かせるの? っていうか、結構幅あるよ? ペン先位の幅だったらそんなに器用に舐めることできるのに」
「舌の厚さがないならできるだろ。つか、何かカッコ悪いな。反対側も同じくらい剃ってもらえば、スリットみたいなファッションに見えなくはないか?」
「でも、その地肌にかかってる髪の毛に特に長さの乱れはないからさぁ。夢で何かを食べてたとしても、普通の食べ方だったらわりと行儀悪いよね」
確かにそうだ。
一つの皿に好きな料理と嫌いな料理が盛り付けられたとして、好きな物だけを探って食べるような感じになるんだな。
額にかかってる髪の毛が嫌いな物、額から生えてるのが好きな物、とそれぞれに例えたらの話だが。
雑食性のサミーが好きな食べ物は、基本的には甘い物が多い。
逆に嫌いな物はほとんどない。
だから、そもそも好き嫌いが激しいということはないのだが……。
「あれ? 今朝サミーに聞いたのは、楽しい夢を見たかってことだよね?」
最近テンちゃんはサミーのことを呼び捨てにするようになった。
体が大きくなってきたから、が理由らしい。
「あぁ。それが?」
「食べ物を食べた夢って聞いたの?」
「え?」
「そんな風には聞いてなかったですね」
言われてみれば。
楽しい夢を見たか、という質問に肯定の反応。
楽しくて興奮すると、一緒にいる奴にいつもペロペロしてたからな。
「サミー、ペロペロもするけど、鼻で擦られることあるのよね。可愛いんだけど、時々毛が擦れて落ちちゃうのよ。ひょっとしてそれじゃない?」
言われてみればっ!
サミーの鼻先が猫よりも出っ張っている。
鳴き声が猫っぽいので、猫に似てるかなぁ、という感じ。
鼻先で擦られて毛が削れたり抜けていくというなら、こんな綺麗な長方形の剃り跡にはなるのは納得がいく。
「……お前……相当楽しい夢見てたんだなぁ」
「ミュ?」
食事中のサミーに話しかけると、こっちに顔を向けてきた。
目に入ったのは、一つまみ程のポテトサラダの白にみじん切りのパセリの一切れの緑が付いた黒い鼻先。
サミーの目には入らないのか、何度か普通にパチクリ瞬きするだけ。
「こういう顔見ると……もうね……。キュンとくるっ」
「食べちゃいたいくらい、とかか?」
まったく朝っぱらからヨウミは、ツッコミ入れたくなるようなことを……。
「ヨウミったらホントに……夜のお誘いに、食べちゃいたいくらい可愛いってどうなのよっ」
「だからコーティ、どうしてそっち方面に話が……」
「イツモ、ソンナコト、カンガエテルカラ?」
「ちょっとライム……あんたもそういうこと言うの?」
「イヤ、ヨウミジャナクテ、コーティ」
「どういう意味よっ!」
賑やか通り越してるな。
騒々しいったらありゃしない。
活気があって何よりだがな。
「なぁ、アラタのあんちゃんよぉ」
今度はミアーノか。
何だよ。
「舌先じゃなくて、鼻先じゃねぇのか? 鼻先ならおでこに当ててそのまま刷り上げりゃそうなるし、舌先より細いし形が変わらねぇよな?」
言われてみれば。
舌は自在に動かせる。
でも外からの力でも形は変わるし、それで動く形跡も変わることもある。
鼻先ならその形状は変わらないし、跡は自分の思うように描くことはできる。
けどそれはそれで変じゃねぇか?
「でも刃物のような鋭い物が肌の面に沿って移動しないと、地肌が見えるくらいに剃れはしないだろ」
「擦って削れて粉になって吹き飛んだんとかじゃねぇの? そこら辺までは分からんけどよ」
まぁ……有り得なくはないかもな。
舐められようが撫でられようが、可愛い奴から懐かれるのは……やっぱ嬉しいもんだな。
でも寝てる間にこんな風になるまで鼻でこすりつけられて……。
起きてる間だったら、サミーの感触をもっと楽しめられたんだがなぁ。
「アラタぁ」
「何だよ、テンちゃん」
「そろそろあたしのお腹、恋しくなあい?」
何でこいつ、サミーと張り合おうとするんだ。
それにしても……気になり始めたら止まらなくなったな。
妙にバランス、取れてないよなぁ……。
0
お気に入りに追加
1,585
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
隠された第四皇女
山田ランチ
ファンタジー
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺わかば
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる