145 / 493
紅丸編
行商人とのコンタクト その4
しおりを挟む
普通、テレビっていうと、アンテナとか電源とか、とにかくコードがつきものだ。
ところが受映機とやらは、コードがない。
魔力の力を利用してるとか何とか。
まぁ、どこでも見られるコード不要のテレビってとこだな。
晩飯を食った後、フィールドでみんなとミーティング。
もちろん受映機を持ってった。
「……番組表、ほしいね」
「思ったより……面白そうじゃないなー」
「俺はあ、勉強になるの、ありそうだと思うぞお」
意見は様々だ。
番組はというと、ドラマみたいなのはあまりない。
ニュース、政治評論、完全に改名された魔物の生態系のドキュメンタリーっぽいの、冒険者同士の格闘関係の試合や大会。
適当にチャンネルを変えながら見ていったところ、目についたのはそんなとこ。
しかしコマーシャルでよく目にしたのが、まるまる商会関係のもの。
番組のスポンサーだからだろうが、もちろんまるまる商会関連企業単独の番組はない。
「日中も夜も、まるまる商会かあ……」
「あ、店舗案内だって」
「時間帯を考えれば、十分か五分間番組だな」
放映中の画面の端は夜九時の十三分前。
レポーターらしき人物が、地上にある船に近づいてるところだ。
船の形状が、紅丸に案内してもらった船と似ていた。
「これ、アラタが行った船じゃないの?」
「別のとこだろ。塗装の色も違うし……防具が展示されてるみたいだから……冒険者ご用達かな?」
「あたし達には必要ないよねぇ?」
「まるっきりないって訳じゃないでしょ? ダンジョンやフィールドのガイドしてくれって言われたら、ある程度の装備は必要でしょ」
マッキーの言うことももっともだ。
だが場所が分からんな。
「俺らが探っていってもいいぜ? 地中からだがな」
「ナラオレモ」
いや、そうまでしなくても。
「あ、店の一覧が出たよ?」
「店っていうか、船が着陸してる場所ってことですよね?」
「アラタガ、イッタ、フネモアルゾ」
「どこも一か月滞在だって」
「でも遠いところは一日で往復は無理よね」
ふむ。
俺が行ったところなら、昼休みの間に飯を食う時間と往復する時間を合わせても十分間に合う。
だが必要なものを買い求めるために、そこに行くとしたら、確かに一日で往復と買い物の時間は無理だ。
なら……。
「ンーゴはちと無理だろうが、でも休みの日を入れるとしたら……」
テンちゃん、ライム、マッキー、モーナー、クリマー、ミアーノ、ンーゴ、サミー、ヨウミ。
二組にすると、四人か五人。
留守番が一気に半分まで人員が減るのは、ちと不安だな。
三組にすれば三人ずつ。ふむ。
「……三人ずつ休暇、しかも三日くらいまとめて休みにすれば……どうなる?」
「え?」
「いいんですか?」
「ダイジョブ?」
みんなから不安な声があがる。
素直に受け取るなら、私達がいなくても大丈夫? ってことなんだろうが……。
「アラタに接客させるの、不安なんだけど」
やかましいっ!
人が親切に、お前らを労わるために休暇を与えようってのに、なんだそれっ。
「休暇、要らなきゃ遠慮なく申し出てくれ。なしにするから」
「すいませんでしたーっ!」
まったく。
「今まで休みなんてなかったからな。けど休んでもらうだけじゃなく、見聞を広げてもらうってこともある。俺も物を知らな過ぎた。英気を養うだけじゃなく、さらにもっと充実した休日を過ごしてほしい、とも思うしな」
「なんか、言うことがどこかの会社の社長みたいな感じー」
ヨウミ……茶化すなよ。
「少しくらいなら交通費とか、仕事の必需品とかなら補助費みたいな感じでお金は出してやる。休みのローテーションも決めとかないとな」
って、こいつら急に盛り上がり始めやがった。
楽しいのは分かるが、お喋りで盛り上がったら、収まるのは深夜になるだろうがっ!
「でも休暇は有り難いけど、いきなり三日くらい休めって言われても……」
「アラタにどうのとかは別として、そんなに長く不在になってもお店大丈夫かなぁって心配になるよね」
「アラタさん、まず、そのローテーションを決めて、それから今日アラタさんが行った船のお店にいくのはどうでしょう? 買い物はその後でも問題ないでしょうし、その食堂なら昼休みの短い間でも、ゆっくりできて戻ることもできるでしょうし」
「お前らがそれでいいってんならそうするさ。たしかに三人ずつとは言え、いきなり日を跨いで不在ってのは、待ってる方も不安になるかもしれんしな」
最初は何でも気軽にやれるようにするのがいいのかもな。
休みをもらっても、いつも通り仕事をしてる者に悪い気がする、なんて言われたら、休暇を与えた甲斐もないし。
「じゃあさ、まず人見知りしがちなサミーと一緒に行動しやすい組から作ろうよ」
「ミアーノさんとンーゴさんとテンちゃんですね」
「オレ、イッショハ、ムリダロ」
「じゃああたしとミアーノとサミーの組……」
「おりゃあンーゴと一緒でいいぜ? つか、サミーは他の奴らとも仲良くすべきだと思うんだがよぉ」
「じゃああたしー」
「じゃあ、あたしとマッキーとサミーで一組目ね。順番は後で決めましょ?」
「残る人達のバランスとかも考えて……アラタとヨウミちゃんは……」
「別の方がいいと思う。店の留守番の主力のつもりだから、あたしとアラタ一緒にいなくなったら、店が困ることありそうだし」
またも盛り上がる。
まるで小学生たちの遠足の準備だな。
でも……。
こんな光景も、悪くない。
ところが受映機とやらは、コードがない。
魔力の力を利用してるとか何とか。
まぁ、どこでも見られるコード不要のテレビってとこだな。
晩飯を食った後、フィールドでみんなとミーティング。
もちろん受映機を持ってった。
「……番組表、ほしいね」
「思ったより……面白そうじゃないなー」
「俺はあ、勉強になるの、ありそうだと思うぞお」
意見は様々だ。
番組はというと、ドラマみたいなのはあまりない。
ニュース、政治評論、完全に改名された魔物の生態系のドキュメンタリーっぽいの、冒険者同士の格闘関係の試合や大会。
適当にチャンネルを変えながら見ていったところ、目についたのはそんなとこ。
しかしコマーシャルでよく目にしたのが、まるまる商会関係のもの。
番組のスポンサーだからだろうが、もちろんまるまる商会関連企業単独の番組はない。
「日中も夜も、まるまる商会かあ……」
「あ、店舗案内だって」
「時間帯を考えれば、十分か五分間番組だな」
放映中の画面の端は夜九時の十三分前。
レポーターらしき人物が、地上にある船に近づいてるところだ。
船の形状が、紅丸に案内してもらった船と似ていた。
「これ、アラタが行った船じゃないの?」
「別のとこだろ。塗装の色も違うし……防具が展示されてるみたいだから……冒険者ご用達かな?」
「あたし達には必要ないよねぇ?」
「まるっきりないって訳じゃないでしょ? ダンジョンやフィールドのガイドしてくれって言われたら、ある程度の装備は必要でしょ」
マッキーの言うことももっともだ。
だが場所が分からんな。
「俺らが探っていってもいいぜ? 地中からだがな」
「ナラオレモ」
いや、そうまでしなくても。
「あ、店の一覧が出たよ?」
「店っていうか、船が着陸してる場所ってことですよね?」
「アラタガ、イッタ、フネモアルゾ」
「どこも一か月滞在だって」
「でも遠いところは一日で往復は無理よね」
ふむ。
俺が行ったところなら、昼休みの間に飯を食う時間と往復する時間を合わせても十分間に合う。
だが必要なものを買い求めるために、そこに行くとしたら、確かに一日で往復と買い物の時間は無理だ。
なら……。
「ンーゴはちと無理だろうが、でも休みの日を入れるとしたら……」
テンちゃん、ライム、マッキー、モーナー、クリマー、ミアーノ、ンーゴ、サミー、ヨウミ。
二組にすると、四人か五人。
留守番が一気に半分まで人員が減るのは、ちと不安だな。
三組にすれば三人ずつ。ふむ。
「……三人ずつ休暇、しかも三日くらいまとめて休みにすれば……どうなる?」
「え?」
「いいんですか?」
「ダイジョブ?」
みんなから不安な声があがる。
素直に受け取るなら、私達がいなくても大丈夫? ってことなんだろうが……。
「アラタに接客させるの、不安なんだけど」
やかましいっ!
人が親切に、お前らを労わるために休暇を与えようってのに、なんだそれっ。
「休暇、要らなきゃ遠慮なく申し出てくれ。なしにするから」
「すいませんでしたーっ!」
まったく。
「今まで休みなんてなかったからな。けど休んでもらうだけじゃなく、見聞を広げてもらうってこともある。俺も物を知らな過ぎた。英気を養うだけじゃなく、さらにもっと充実した休日を過ごしてほしい、とも思うしな」
「なんか、言うことがどこかの会社の社長みたいな感じー」
ヨウミ……茶化すなよ。
「少しくらいなら交通費とか、仕事の必需品とかなら補助費みたいな感じでお金は出してやる。休みのローテーションも決めとかないとな」
って、こいつら急に盛り上がり始めやがった。
楽しいのは分かるが、お喋りで盛り上がったら、収まるのは深夜になるだろうがっ!
「でも休暇は有り難いけど、いきなり三日くらい休めって言われても……」
「アラタにどうのとかは別として、そんなに長く不在になってもお店大丈夫かなぁって心配になるよね」
「アラタさん、まず、そのローテーションを決めて、それから今日アラタさんが行った船のお店にいくのはどうでしょう? 買い物はその後でも問題ないでしょうし、その食堂なら昼休みの短い間でも、ゆっくりできて戻ることもできるでしょうし」
「お前らがそれでいいってんならそうするさ。たしかに三人ずつとは言え、いきなり日を跨いで不在ってのは、待ってる方も不安になるかもしれんしな」
最初は何でも気軽にやれるようにするのがいいのかもな。
休みをもらっても、いつも通り仕事をしてる者に悪い気がする、なんて言われたら、休暇を与えた甲斐もないし。
「じゃあさ、まず人見知りしがちなサミーと一緒に行動しやすい組から作ろうよ」
「ミアーノさんとンーゴさんとテンちゃんですね」
「オレ、イッショハ、ムリダロ」
「じゃああたしとミアーノとサミーの組……」
「おりゃあンーゴと一緒でいいぜ? つか、サミーは他の奴らとも仲良くすべきだと思うんだがよぉ」
「じゃああたしー」
「じゃあ、あたしとマッキーとサミーで一組目ね。順番は後で決めましょ?」
「残る人達のバランスとかも考えて……アラタとヨウミちゃんは……」
「別の方がいいと思う。店の留守番の主力のつもりだから、あたしとアラタ一緒にいなくなったら、店が困ることありそうだし」
またも盛り上がる。
まるで小学生たちの遠足の準備だな。
でも……。
こんな光景も、悪くない。
0
お気に入りに追加
1,587
あなたにおすすめの小説
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる