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 その日、狭い風呂場にぎゅうぎゅう詰めになりながら2人でシャワーを浴びた。

 狭い空間で度々、肌が触れ合う。自分の体温より少し低いのがわかる。

 今まで何度も、昨日だって一緒に風呂に入ったのにも関わらず、自分の家にアンがいる新鮮さに違和感を感じていた。

 夢なのではないかと何度も疑った。

 アンのいる方向に手を伸ばしてみる。
 アンの柔らかい肌に触れる。

 肌に触れる感覚のリアルさに、これは現実なんだと思い知る。


 短いシャワーを終えて2人は、狭い布団に入って寝ることにした。


 アンを抱きしめる。アンも抱きしめ返してくれる。

 無意識だったが、翔の中心がそそり立っていた。

 思わず、アンに股間を擦り付けてしまう。果ててしまいたくてむず痒くて、仕方がなかったのだ。

 アンは、受け入れる様に膝で翔の股間をそっと擦ってくれた。

 不意に、アンが翔の上に覆い被さった。

 「私もしたいの…」
 
 アンが顔を赤らめるのが分かった。

 「だめ。」

 翔も本当はしたかった。

 「ゴム、無いから。」

 翔は、アンに誠実さを見せたかった。
 そして、まだヤクザの組員をしていた頃に決めたことがあった。


 



 だから、アンを痛めつける様なことはしたくなかった。もし、妊娠したら負担は全てアンに降りかかるだろう。

 アンが、少し悲しそうな顔をした。しかし、感謝の言葉を述べた。


 「大事にしてくれてありがとう。」


 アンは、翔の優しさに胸が締め付けられた。翔も同じだった。


 2人は、ゆっくりと眠りについた。
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