上 下
3 / 20

3

しおりを挟む


 アンをベットに下ろして布団をかける。


 「ありがと。」
 
 ベッドに寝かせてやると、柔らかい表情で俺に微笑みかけてくる。


 俺は、照れ臭くて笑みを返すことができず表情を変えずに風呂にお湯を溜めに行く。



 10分ほど立った。


 その間、俺はタバコを吸ったりスマホでゲームしたりして気を紛らわせていた。
そうでもしなければ、俺はアンを襲ってしまう気がした。



 全裸で拘束台に縛られていたアンの姿を思い出し、興奮するからだ。


 今思えばきっと、前の客にそのままに縛り付けられてそのまま帰られたのだろう。
一体、どのくらい拘束台の上にいたのだろうか?

 早く拘束具を外してやればよかった…
 俺はなんて酷いやつだ…


 さまざまな考えが頭をよぎる中、自分も全裸になりアンを抱きあげて風呂に入る。


 アンごと自分もバスタブに入る。

 アンの背面から抱きつくような形になった。後ろからお腹の方へ腕を回す。アンのことを後ろから、ぎゅーっと抱きしめた。


 すると、アンも抱きしめている俺の手を両腕で包んで抱きしめるような格好になった。


 「痛かったか?」

 俺は尋ねる。

 コクリ、と頷く。

 「もっと早くくれば…。違うか、もっと早く外してやればよかった。申し訳ない…。」

 「来てくれただけで嬉しい。久しぶりでしょ?」

 アンのリップサービスか。それとも、俺のことを本当に待っていてくれたのか?
 後者を期待してしまう自分がいた。

 今は、ともかくアンが腕の中にいてくれる事実に心が落ち着く。
 

 アンが働くこの違法風俗店は、ヤクザの客がメインターゲットと言うこともあり、悪趣味なSMと言う名の暴力が横行している。

 ホテルなので、血や糞尿、その他の体液が飛び散ってもシャワーを浴びて帰ることができるのでやりたい放題なのだろう。
 ホテルの部屋と女の子の後始末はやる人がいないのか、部屋も女の子も見るに耐えない状態の時もよくある。

アンに初めて会った時も、アンは部屋で四肢を縛られて、膣にローターを入れっぱなしにされて床に転がっていた。

 
 だから、今日は縛られている体勢はきつかっただろうが、まだ初めて会った時よりはマシかもしれないと思った。


 「アン…。」
 そう呟いて、アンの頬に唇を寄せた。
そっとキスをする。本当にそっと。壊してしまわないように。

 アンがこちらを振り向いて顔を突き出す。キスをねだっているのだと言わずとも察して、アンの唇に唇を重ねる。

 舌を出すと、アンも舌を出して絡めてくる。アンが俺の下唇を噛んだまま、柔らかい舌でペロペロと舐めてくる。

 背筋がぞわりとした。
 


 暖かい湯船に浸かり、冷え切っていたアンの体が温まっているのが肌越しに通じてくる。そして自分の体温も上がってくる…。

 アンが口を離す。

 すぐに引き戻そうとしたが、その前にアンは体の向きを変え俺と向かい合う形になった。

 そして、アンの右手が、俺のペニスを撫でる。


 左手は、俺の肩に回してしがみついてくる。

 それから、見つめ合ってまた深いキスの続きを始めた。

 俺は、右手でアンを支えて左手でアンの乳房を優しく揉む。時々乳首に触れるとアンの体がピクリと反応する。


 もう限界だった。


 限界を察したアンは尋ねてくる。


 「挿れる?」

 

 少し迷った。



 もちろん挿れたい。

 でも、アンの体が心配だ。
さっき無理やり、寝ているアンを無理やり犯した。


 「挿れたら、痛くないか?」

 どうしていいか悩んだ俺は、アンに尋ねた。


 「痛くてもいい…挿れて欲しい。」


 その言葉に、俺のアンを思いやりたい心は、自分の欲求に素直になることにした。

 「じゃあ、挿れる。」


 すぐにアンの右手が、俺のモノを誘導して中に挿れてくれた。


 さっきまで冷たくなっていた、アンの中は暖かい。


 アンは、挿入してすぐに両足を俺の腰に回して力を込めて離れないように挟んできた。
俺も、答えるようにアンを抱きしめた。

 俺は、アンの体を下から己の棒で突き上げるように激しく動かした。

 アンは必死に俺にしがみつく。

 長い髪が、湯船に浸かったり出たりする。

 激しく何度も突き上げる。

 お互いの息が荒くなる。
 
 アンの喘ぎ声が耳に響く。

 「いく…。」

 とアンが甘い声で言ったと同時に体をビクンビクンと動かす。


 逝ってしまったのだろう。


 俺も限界だった。

 アンが逝った後、すぐにアンの中に果てた。


 
 

 

 














 

 


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

お父様の相手をしなさいよ・・・亡き夫の姉の指示を受け入れる私が学ぶしきたりとは・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
「あなた、この家にいたいなら、お父様の相手をしてみなさいよ」 義姉にそう言われてしまい、困っている。 「義父と寝るだなんて、そんなことは

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。 「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」 「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」 「・・・?は、はい」 いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・ その夜。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

お客様はヤのつくご職業

古亜
恋愛
コンビニ強盗に襲われていたバイト、山野楓を助けたのは、いかにもヤの付く職業の男。 助けられたとはいえ、もう関わることはないと思っていたのになぜか向こうからやって来る。 ……怖いんですけど!? コンビニバイトとヤクザのラブコメ(の予定) 極道とか詳しくないのでゆるっとした世界観になります。生暖かい目で見てやってください。 中盤〜2章終わりまでコメ要素希薄。というかシリアス? 3章も終盤はシリアス R18ありですが、主人公が鈍いので後半です。 その辺りの話は#が付いてます。 4/24 1章完結 6/1 2章完結 9/16 3章完結 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。

【R18】エリートビジネスマンの裏の顔

白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます​─​──​。 私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。 同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが…… この生活に果たして救いはあるのか。 ※完結済み、手直ししながら随時upしていきます ※サムネにAI生成画像を使用しています

処理中です...