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昼寝
しおりを挟む彼氏と同棲していた頃の話。
今は、別れちゃったんだけど3年ほど前までは彼氏と同棲していた。
2人ともサービス業だったので平日が休日だった。
その日は、火曜日で、私も彼氏も仕事が休み。
午後3時くらいになって、寝室で昼寝を始めた彼氏を気遣って、私はカーテンを閉めて寝室を暗くした。
そして、彼氏が寝る横に私も横になって昼寝を始めた。
1時間ほどすぎると、私は尿意を感じて目が覚めた。
彼氏はまだ寝ていたので起こさないように、さっとトイレに向かった。
戻ってきて、寝室のドアを開けると、彼氏の横に、誰かが寝ているように見えた。
「ひっっ」
私は、びっくりして変な声をあげてしまった。
その声に反応したのか、彼氏の横で寝ている誰かが、こちらをチラリと見た気がした。
目があった。
それは、中学生とか高校生くらいの、ほとんど大人だけどまだ大人じゃない、幼さが残る女の子に見えた。
黒髪パッツン前髪、肩まで布団を被っているので、服などはわからないが、寝ている彼氏にピッタリと寄り添っている。
気持ち悪くて、私は寝室のドアを勢いよく閉めて、寝室を後にした。
私は、心臓がバクバク言うのを落ち着かせるために、リビングのテーブルに座った。
冷静に考えると、夕方なので少し暗くなってきたし、何かと見間違えたんだと思った。
例えば、掛け布団とか毛布とか。
その頃に使っていた掛け布団のカバーが、黒だったので、それがカバーが髪の毛に見えたのだと考えることにした。
すぐに、冷静さを取り戻し、もう昼寝をやめた私は夕飯の準備に取り掛かった。
15分ほど経った頃。
『ピーンポーン』
呼び鈴が鳴る音。すぐに、インターホンのモニターを覗くが誰もいない。
さっきのこともあり、ちょっとびっくりしてしまった。
でも、今日は米国のサイトで注文していた日用品が届く日だから、きっと配達員が来たんだろうと思った。
モニターに姿が無いのは、置き配していったのだろうと思った。
私は、すぐに玄関のドアを開けて確認した。
でも、そこには誰もいないし何もなかった。
とは言いつつ、なんとなく人影が見えたような気もした。
いや、人なんかいないはず。気のせいか…。
ちょっと怖い思いをしたから、空耳だと思う事にした。
やれやれ。疲れているかもしれない。
私は、再び寝室に戻った。
寝室のドアノブに手を掛ける。
私は恐る恐る隙間からベッドを覗く。
ベッドの奥側に横たわる彼氏。
その手前に、上半身だけ起こしてこちらを覗く影。
「見えてるんでしょ?」
その影が、見開いた目をこちらに向けて喋った。
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