短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

隣の住民

　隣の住民が見てくる。


　安いワンルームのアパートの一室。

　ある日の朝。部屋の窓を開けると隣の住民が、窓から上半身をニョキっと出して顔だけこちらをジーと見ていた。
　

　日を浴びていないのか、夏なのに顔も半袖のシャツから覗く腕も真っ白で、男の割に長い髪をポマードで撫で付けていた。
　そして、目を見開かせてギラギラさせていた。
　昼間の猫の様に鋭い目つきで、見開いた二つの目でこちらを見ている。

　明らかに目があった。
　体を器用に斜めにして、こちらの部屋の中を覗いてある様だった。


　それからと言うもの、カーテンを開けるのが怖いと思いつつ、怖いもの見たさなのか、度々カーテンと窓を開けて隣の男が覗いているかを確認していまう。あのギラギラと光る目を見たいから。