短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

友達の罪

　僕は、いわゆる霊が見える体質です。

　まぁ、たまーに霊が見えたりするって程度で、人間と霊の見分けが付かない的なタイプではない。


　
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　友達が新車を買ったらしい。


　今回は、軽自動車からドイツの外車に乗り換えるらしい。初めての外車に友達はノリノリだった。
　
　友達自身の日程調整ミスで先に、今まで乗っていた車を中古車屋に売っぱらってしまったらしい。
　だから、当日ディーラーに行くまでの足がないからディーラーまで送って欲しいと、家が近い僕を頼ってきた。

　まぁ、僕もそんなに忙しい人間ではないし友達の頼みだから快く承諾した。


　週末になり、友達の車の納車の日になった。朝一番に納車することになっていたので、ディーラーがオープンする10時には、店に着いた。


　僕は、友達を置いて帰るつもりだったが案内の人が、「お連れ様もご一緒にいかがでしょう？」って言うから最初はちょっと渋ったけど、友達が「俺の車見せてやるから暇なら寄って行けよ～」って言うからそうする事にした。


　


　店の人は、みんないい人で友達もノリノリで営業の方とも話が盛り上がっちゃったりして、なんだかんだで最後まで居座ってしまうことにした。


　友達は、最近はあんまり流行ってないようなセダン車を購入していた。
結構かっこよくって、思わずまじまじと車を見てしまい、営業の方にその車のパンフレットまで貰って帰った。




　その時、友達が納車する車をかなりまじまじと見たから間違いない。






　その時までは、車になんの異常も感じなかった。



　それから半月後。


　近くのゲーセンで、僕とその友達を含めた5人で遊んでいた。
　元々、新車を買った友達以外の連中と遊んでたんだけどゲーセンはそいつの家から車で3分くらいの場所だから誘って合流したんだ。



　ゲーセンが閉店の時間になってしまったので僕らは出て帰ることになった。


　たまたま駐車場で僕の車の横が空いていたらしく新車を買った友達の車が停まっていた。


　でも僕はパッと見で固まってしまった。




　閉店時間を過ぎてガラガラの駐車場。
友達の車の右隣には俺の車。左隣には何も停まっていない。


　でも左の後輪の辺りに人間がしがみついていた。



　正確に言えば、どうやら人間だったもの。

　中年の男性で、スーツを着ている。
いわゆるサラリーマン風ってやつ？

　固まった僕を見て友達は、「どうしたー？」って尋ねてくる。
僕は、なんでもないって言って、誤魔化した。
　



　友達は気が付いていないところを見ると、人間ではなさそうだ。


　それによくよく考えたら、手で掴めそうなところのない車でどうやってそんなにしがみつくんだ？もちろん足を乗せる場所なんてない。

　なんとなく幽霊だと察して、僕は気にしないことにした。


　車に乗り込む前に少し友達と喋る。

実は、先週納車したばかりの車なのにぶつけたんだって話をしていた。

　確かに、左側面が凹んでぶつけた跡がある。

ドンマイって言って返した。お金が貯まったら、板金に出すらしい。

　ちょっとだけ嫌な予感がしたけど、それもまた霊感が強いせいなのかもって思って気にしない事にした。


　その日は、友達の車に幽霊ついてるけど大丈夫かなぁって心配になった。


　

　






でも、そんな心配はお門違いだったって3日後に気付かされた。


　友達がニュースに出ていた。




　市内在住の50代会社員男性をひき逃げしたらしい。




　あー。そういうことか。




　あの幽霊。友達のことを恨んでついてきてたんだな。