Ωであることを隠してる先輩を無理やり番にしてしまう、いじめられっ子の話。

●9月_我慢は体に良くないですよ

夏休みが明けて、学校も普段通り始まった。


「海斗、昨日ありがとな」

「いや、こちらこそ、チケットもらっちゃったし」

「楽しめた？？誰と行ったの…」

昨日の夜、突然ドアがノックされ、隣の部屋の住人が宿題を手伝ってほしいと頼み込んできた。

もちろん彼には、温泉宿泊券をもらった恩義があって、そのおかげで湊さんと楽しい夏の思い出を作れたので、
全力で手伝った。


他の部活のやつは？と聞いたら、先輩にやってないのバレたらまずいし、みんなそれぞれで追い込みをかけてると言われた。

なるほど、最後の綱として僕に頼って来たわけか。


どう答えようか少し迷っていたところに、ちょうど先生が来て、その話は流れた。

誰かに話して自慢したいほど、楽しかったが、まだしばらくは胸の内にしまっておこう。


しかも今日の放課後は生徒会の集まりがあるし、制服姿の湊さんを久々に楽しめる。

夏服って、半袖だからいいよね、なんか。


「おーい、やまがみー、ここわかるか」

あっ、やばい。授業中に考え事に夢中だったようで、先生に集中してないことがバレたようだ。

「6です」

「よし、正解」

数学だから一瞬で解けてセーフだった。

流石に放課後説教されて生徒会の時間が減るのは嫌だからね。