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●6月_秘密の補修

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「山神くんすごい上手だね。人に教えるのも上手いな~ほら、あの子もうあんなに泳げてる」

「ははっ!とんでもないです。あの子の力ですよ~」

「あっ、そうだ。ちょっと相談があるんだけど…」

最終限の授業で各自練習みたいな時間に、須藤先生に捕まった。

「なんでしょう」

「ちょっと二期生に教えて欲しい子がいて、その子だけ毎回水着を忘れたと言って入らないんだけど、このままじゃあちょっと成績が危うくて…」

「そうですか」

「それでね、今日代わりに見てくれないかなって、その子も1人だったら頑張ってくれるかなって…。
いい子で頑張り屋さんなんだよね。でも怪我とか何か理由があって入れない感じじゃないみたいだし、恥ずかしがっちゃってるだけだと僕は思うんだよね」

二期生か。湊さんかな。
そんな偶然あるかな。

でも確かに、水泳の時どうあがいても俺の噛み跡は隠せないし。

「もちろん。僕でよければ!」

湊さんじゃなくても、いや湊さんだったらいいなという下心で引き受けてしまった。


「君ならそう言ってくれると思ったよ!本当にありがとね」

「あ、僕予備の水着あるので、よかったら貸しましょうか?サイズ合うかわかりませんが」

「お!いいのかー。優しいねー。
そうしてくれると助かるよ」

じゃあ、放課後職員室で
そう言われて、
あと少しで授業終わるから泳いできな~
と送り出された。



…………


少しホームルームが長引いたせいで、少し遅れて職員室に着いたが、間に合ったようだ。

須藤先生と話してるのは、間違いなく湊さんだ。

少し嬉しい気持ちを抑えて、冷静に挨拶をしてから入り、
話に加わった。

湊さんはいろいろを天秤にかけ、渋々承諾した感じだった。
多分相手の生徒が僕だったから。



…………

「はいこれ鍵ね!頼んだよー」

そう優しく送り出され、屋上にあるプールへ向けて階段を登り始めた。

「そういえば須藤先生は??」

やっと情報の処理が追いついてきた湊さんが、疑問を持った。

「なんか、この後学会に出るらしんで、僕だけなので安心してください!」

ニコッとそう微笑みかけると、不機嫌に睨み返された。

「はあ…」

ため息はつかれたけど、それ以上文句を言われることはなかった。

流石に学校の階段でできる話でもないし。




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