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彼らと僕
402.百入茶_MOMOSHIOCHA
しおりを挟む母が夜勤でいない夜は
いつも弟と秘密の会議をする。
日中僕がじいちゃんからもらった本で調べた情報や考察を弟に話す。
そして彼は時々手がかりになりそうな新聞記事や本を持ち込む。
僕たちが調べているのは、
半透明人間の無害さの証拠。
大昔は人間を奴隷として売り買いする歴史があったらしい。
それでも長い年月をかけて、
彼らも同じ人間であるという人権が認められた歴史がある。
奴隷にされていた人たちは普通に働いていた。
だが半透明人間の場合は存在を認識されるだけで浄化対象にされる。
だから、同じ手段を取るのは難しいかもしれない。
だが、諦めてしまって本当にいいのだろうか。
不透明人間だけが生きることを許される世界でいいのだろうか。
半透明人間と不透明人間の優劣について研究している人もいる。
それでも彼らの研究結果のほとんどは日の目を見ることなく、広まることはなかった。
まるで半透明であることが何かの病気であるかのように、
何かの祟りであるかのように、
不透明人間の社会は回っている。
擁護して仕舞えば最後、
浄化場の組織からマークされて追い詰められるらしい。
多くの研究者は不自然な最後を迎えている。
新聞に載っているリストには彼らが不透明人間にも関わらず、
浄化成果の欄に名前が載っている。
これはみせしめだ。警告だ。
擁護するなら、消されると。
これは浄化場の標語曰く
【制裁】
この世界をもっと漂白して、
もっとクリーンで発展された国にしよう。
半透明人間というバグを消して、
世界最強の国になるべきだと…。
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