半透明人間

あかさたな!

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世界と僕

105.鶸_HIWA

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「ただいま~」

弟が帰ってきた。

「にいちゃん~おやつ~」
リビングから呼ばれる。

リビングへ行く。
どうやら今日のおやつはドーナツらしい。

「夜ご飯は冷蔵庫に入れておいたから温めて食べなさいね」

そう言って母はバタバタと仕事へ向かった。

今日は遅番だから、帰ってくるのは明日の朝かな。
母は病院で看護師の仕事をしている。

「今日数学と国語の宿題あるから後で一緒にやろ~」

「わかった」

弟の宿題を一緒にやることが多い。
弟が学校で習ったことを僕に教えて、一緒に問題を考えるんだ。

本を読めるようになってから、勉強は1人でもできるけど、
弟の話に混じる学校生活の話を聞くのも結構好きだから、
今でも一緒に勉強している。


数学と国語はよく一緒にやる。
社会と理科は時々。
歴史の教科書には半透明人間の悪事がたくさん書いてあって、理科では遺伝子の優劣について気持ち悪いぐらい一方的な意見が書かれている。


じいちゃんにもらった昔の教科書とだいぶ違う。
昔の歴史の教科書では、半透明人間も不透明人間も差別なく書かれている。
主に他国への侵略の正当性が説かれていた。
理科では、なぜ不透明と半透明な性質が出るのかは解明されていないと結論づけられていた。
それでも同じ人間で優劣はないと。



大量抹殺や赤ちゃんの間引きによって、
身近に半透明人間がいる人はだいぶ減っている。
いや、数字では上がってないことになっている。
もしいたら即浄化場に連行されてしまうから。
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