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カテゴリー・バス
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あの人を嫌いになったのはあの人があの人を好きだったからだ。あの人はあの人であの人とはまるで別人のようだったけれど、あの人にもあの人に似た一面もあって、あの人もあの人もあの人も交じり合ってあの人を思わせているのかもしれない。小説を嫌いだったのもそうだ。みかんも、バームクーヘンも、ボール遊びも、海辺も、煙草も、銀杏も、雪だるまも、みんなあの人の影響を受けながら、接近したり逃げ回ったりした。あの人が好きだった。嫌いだった。(すべてを愛することはできない)人の愛に添い、人の愛に背いた。重ねたり削ったり、そのようなことを繰り返しながら、いつの間にか自分らしく落ち着いてしまう。何が最初だったか、どうしてここにたどり着いたのか、わからない。きっと、だんだんと忘れているのだろう。
ボールの上を舐めている。コントロール時々気まぐれ。そうしていると不思議と落ち着く。(いつまでも遊んでいたい)行き先は不明だ。回転する度に光が反射する。光ばかりではない。自分の影が、過去や未来が反射する。時に強烈に、子供の頃の玩具屋さんで見た天国のような輝きが射す。ワンタッチ、ワンタッチ、ボールを意識しながら、僕は遠くにあるものに目を向ける。ここにいる。ここにいない。僕はずっとはじめの方から純粋ではない。
ボールと戯れているように見えて、サッカーをしているわけではない。味方も敵も存在しない。パスもシュートもない。テーマのないドリブルを続けている。(いつまでも遊んでいられない)僕は突然ゴールが恋しくなる。それは遙か昔にたどった道であるのかもしれない。舐め続ける内に徐々にボールは小さく萎んでいき、やがて取るに足りないような存在に変わる。手の中に丸め込んだらそれをインクの入ったペン先にセットする。
(カチッ♪)
何を思ったか、世界が高い壁を作って警戒する。
ファースト・タッチでこれからの行き先が決まる。
バス停に駆け込むとちょうど詩バスが発ったところだった。
次に到着した旅行・おでかけバスは、各シートに石が載せてあり、誰であれ乗車することはできなかった。
15分ほどして小説バスがやってきた。中は半分以上は空席があるようだった。このバスこそはずっと待ち望んだバスに違いない。僕は作品という名の乗車券を持ち、一歩前に出た。バスは落ち葉のようにぬっと近づいて止まった。ドアは開かなかった。知らせなければ駄目か。僕はトントンとドアをノックした。「乗ります」今すぐに。バスは僅かに揺れているようだった。ドアは開かぬままバスは動き出した。
小説バスは僕を拒んだまま行ってしまった。誰もいないバス停に風が吹きつけた。僕はnoteを開き、子供じみた自分の作品を読み始めた。夜になると自然と明かりがついて、上手く埋めることがかなわなかった行間を淡く照らした。
(やっぱり無理か)
noteを閉じようとした時、バス停に強い光が射し込んだ。派手なペイントを施したサッカーバスだった。彼方からのヘッドライトをあびて乗客の横顔が光る。皆ユニフォームに身を包み、今にも試合が始まりそうだ。バスは僕の足下にピタリと停止した。
ドアが開き中からボールが1つ転がり落ちてきた。無意識の内に胸でトラップした次の瞬間、僕の体はバスの中に吸い込まれていた。
「サイドの席が空いているよ」
ボールの上を舐めている。コントロール時々気まぐれ。そうしていると不思議と落ち着く。(いつまでも遊んでいたい)行き先は不明だ。回転する度に光が反射する。光ばかりではない。自分の影が、過去や未来が反射する。時に強烈に、子供の頃の玩具屋さんで見た天国のような輝きが射す。ワンタッチ、ワンタッチ、ボールを意識しながら、僕は遠くにあるものに目を向ける。ここにいる。ここにいない。僕はずっとはじめの方から純粋ではない。
ボールと戯れているように見えて、サッカーをしているわけではない。味方も敵も存在しない。パスもシュートもない。テーマのないドリブルを続けている。(いつまでも遊んでいられない)僕は突然ゴールが恋しくなる。それは遙か昔にたどった道であるのかもしれない。舐め続ける内に徐々にボールは小さく萎んでいき、やがて取るに足りないような存在に変わる。手の中に丸め込んだらそれをインクの入ったペン先にセットする。
(カチッ♪)
何を思ったか、世界が高い壁を作って警戒する。
ファースト・タッチでこれからの行き先が決まる。
バス停に駆け込むとちょうど詩バスが発ったところだった。
次に到着した旅行・おでかけバスは、各シートに石が載せてあり、誰であれ乗車することはできなかった。
15分ほどして小説バスがやってきた。中は半分以上は空席があるようだった。このバスこそはずっと待ち望んだバスに違いない。僕は作品という名の乗車券を持ち、一歩前に出た。バスは落ち葉のようにぬっと近づいて止まった。ドアは開かなかった。知らせなければ駄目か。僕はトントンとドアをノックした。「乗ります」今すぐに。バスは僅かに揺れているようだった。ドアは開かぬままバスは動き出した。
小説バスは僕を拒んだまま行ってしまった。誰もいないバス停に風が吹きつけた。僕はnoteを開き、子供じみた自分の作品を読み始めた。夜になると自然と明かりがついて、上手く埋めることがかなわなかった行間を淡く照らした。
(やっぱり無理か)
noteを閉じようとした時、バス停に強い光が射し込んだ。派手なペイントを施したサッカーバスだった。彼方からのヘッドライトをあびて乗客の横顔が光る。皆ユニフォームに身を包み、今にも試合が始まりそうだ。バスは僕の足下にピタリと停止した。
ドアが開き中からボールが1つ転がり落ちてきた。無意識の内に胸でトラップした次の瞬間、僕の体はバスの中に吸い込まれていた。
「サイドの席が空いているよ」
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