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第十五話 最強の男
しおりを挟むあれから時が経ち、私達は成人した。
成人した私はシアと一緒にピクニックを楽しんでいたのだ。
楽しいピクニックを終え、家に帰ろうとすると突然光に包まれた。
突然光に包まれた私達は知らない場所にいたのだ。
そこは何処かの荒野だった。
クソが。
隣にはシアがいるんだぞ。
内心で舌打ちをしながら、周りを警戒していると見えてしまった。
シアに向かって飛んでいく魔法を。
気が付けば、その魔法からシアを守っていたのだ。
自身の左腕を入れて。
痛みで思わず顔を歪めてしまった。
魔法を受けた左腕からは血が流れている。
初めだ。
この世界に来てからこれ程の怪我は。
そんなことを思っているとシアが気がついてしまった。
私の傷に。
「ノレンさん。怪我を」
シアは持っていたハンカチで押さえようとしたが、それは出来なかった。
目の前に男が現れたからだ。
その男は見たことは無いが、知っている。
噂で。
確か、世界最強の男と言われている全属性の魔力を持っている。
「流石というべきだ。一瞬の内に判断し、守るとは」
「何故、シアのことを狙った?」
「うん?その方が判断しやすいからだ。もし、守れなかったら、そこまでの者だったということだ」
どうやら、シアのことを殺すつもりはないみたいだ。
ただの確認の為に魔法を放った。
あまり、私とは気が合わなさそうだ。
「それで異世界人、いや、転生者よ。俺達の戦いはこの世界の者達が見ている」
「転生者?何を言っている?」
「誤魔化すな。お前は亜神を倒し、訳が分からない魔法具を使っている」
どうやら、全てバレているみたいだな。
それにしても世界の者達が見ているか。
後で面倒なことになりそうだ。
それを考えるのは後。
考えるのはシアのことだ。
まずは時間稼ぎ。
「どうやら、バレているみたいだ。正解だ、私、いや、俺は転生者だ」
私の言葉に後ろにいるシアは驚きを隠せてない。
「それで、あの武器は?」
「あれはリボルバー。1度に6回撃つことが出来る魔法具だ」
「6回か。しかも、撃った後は補充しなければ行けないのだな」
「それも正解だ。よく観察しているな」
「当たり前だ。観察をし、そこから弱点を導き出す。これは戦闘の基礎だ」
「そうかい、それは良かったな」
その言葉と共に私はホルスターからリボルバーを抜き、自身の左腕に撃ち込んだ。
一瞬痛みはあったが、それは直ぐに引き、傷が無くなった。
それを横目で確認した私は踏み込み、シアから距離を取ったのだ。
距離を取った私はシアの周りに狙いを定め、引き金を引いた。
5箇所に弾着すると星型の結界が展開し、シアのことを守ったのだ。
私は話している時にシリンダーから弾薬を抜いていた。
そして、通常弾薬以外のものを装填していたのだ。
自身に撃ち込んだのは回復する弾薬で、次に使用したのは星型の結界を展開できる弾薬だ。
私はシリンダーから空薬莢を出し、弾薬を装填した。
装填を終えた私は最強の男の方を向いたのだ。
「まぁ、いい。元々の目的はお前と戦うことだ」
そう言い、最強の男は構えたのだ。
私もリボルバーを構えた。
この場が静寂に包まれたのだ。
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