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番外編 クリスマス
しおりを挟むバレンタインから1年が経とうとしていた。
仕事を終えたいつもと同じように俺は家に帰ったのだ。
いつもとドアを開けると突然目を隠されたのだ。
一瞬警戒したが、直ぐに解いた。
愛しい者の声が聞こえたからだ。
「おかえり、レオク。早速だけど、このままリビングに案内するよ」
「それは構わないが、どうしたんだ?」
「それは行けば分かるよ。だから、リビングまでついてきて」
俺は黙って目を閉じ、クメリに手を引かれた。
少し歩くと手を離され、そこに立ち止まった。
「もう目を開けてもいいよ」
そう言われたので、俺は目を開けたのだ。
目を開けた俺は驚きで固まってしまった。
だって、そこにはサンタのコスプレをした3人がいたのだ。
忘れていた。
今日はクリスマスか。
ああ、そうだった。
セレネ達はバレンタインのことを知っていたのだ。
だから、クリスマスも知っている筈。
クリスマスプレゼントを用意してない。
今から準備するのは無理だから、後日だな。
そんなことを思っていると愛しい者達の声が聞こえてきたのだ。
「ど、どう?」
「どうかな?レオク」
「レオクさん。似合っているますか?」
「ああ、とても似合っているよ」
俺の発言を聞いた3人は喜んでいた。
3人が喜んだ後、俺は手を引かれたのだ。
手を引かれながら、案内されたのは豪華な料理が並んだ机だった。
その後、俺はセレネ達が作ってくれた豪華な料理を堪能した。
食後にセレネ達が立ち上がり、洗面所の方に向かったのだ。
「レオク、そこで待ってて」
セレネにそう言われたので、私は黙って席に座るしか無かった。
5分ぐらいするとサンタのコスプレをしたままのセレネ達が帰ってきたのだ。
心なしか唇が。
そんなことを思っていると3人が顔を近づけてきたのだ。
俺に近付いたセレネの顔は真っ赤になっている。
そして、クメリとミネは平常を保っているが、明らかに照れている。
少し頬が赤いのだ。
「レ、レオク。絶対に目を開けないで」
「何があってもだよ」
「これは私達からの約束です」
「わ、分かった」
了承した俺は目を閉じたのだ。
目を閉じた後、俺は気配を感じた。
やがて、気配は俺の目の前までやって来たのだ。
それから、3回唇に柔らかい感触を感じた。
俺は思わず目を開けてしまったのだ。
目を開けた俺の前には顔を真っ赤にしたセレネ達がいた。
真っ赤な顔のまま、3人は私から距離を取ったのだ。
そして、嬉しそうに微笑んだ。
「「「レオク(さん)、メリークリスマス」」」
「ああ、メリークリスマス」
私も3人につられ、微笑んでいたことだろう。
その時、懐から熱さを感じた。
その熱さは心に響くものだ。
分かってる。
今度も、いや、これからまでも、いや、これからもだ。
この32回目の人生でも。
そう思い、俺は懐に入れている錆びたリボルバーを撫でた。
撫でられた錆びたリボルバーは俺に答えるようにシリンダーが回る音が響いたのだ。
俺の中で。
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