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第百五話 迷い人

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 この男は、迷い人だ。

 迷い人は、俺以外の退室を望んだ。

 クメリとエリスは、心配そうな表情を浮かべていた。

 俺は、2人に大丈夫と言い、ギルド長に、2人を任せた。

 部屋の中に、俺と2人きりになり、クメリとエリスが座っていた向かいの席に座った。

 迷い人は、「初めまして、私と同じ迷い人よ。私の名前は、岩山 裕二だ」

 俺は、「失礼だが、俺は、迷い人では無い」

 「迷い人では無い?それは、おかしいな。そなたは、銃を使って、ドラゴンを倒していたでは無いか?」と、迷い人が、聞いて来た。

 「俺は、迷ったのでは無く、死んでこの世界に転生した。あと、なんで、銃のことを知っている?」と、聞き返した。

 「そうなことがあるなんてな。銃の存在を知ったのは、近くにいた冒険者達から、咆哮の中で、銃声を聞いたと報告があったからだ」と、迷い人が、答えて来た。

 俺は、「そうか。失敗したな」

 「それで、私は、そなたのことをなんと呼べば良い?」も、迷い人が、聞いて来た。

 「俺は、1度死んだから、この世界で名乗っているレオクと呼んでくれ」と、答えた。

 「わかった、レオク。私がここに来たのは、1つのことを聞きたいからだ。レオクは、なんの使命を受けた?」と、迷い人が、聞いて来た。

 「使命?」と、聞き返した。

 「使命というのは、こちらの世界に来た時に、無機質な声で、言われることだ」と、迷い人が、答えて来た。

 俺は、「そ、そんなことは、全く言われていないぞ。お、俺は、好きに生きろと言われただけだ」

 迷い人は、驚いた表情を浮かべた。

 それから、俺は、使命について聞いた。

 どうやら、迷い人は、この世界の人々の願いを叶えるために、呼ばれるらしい。

 現に、目の前にいる迷い人は、この国の財政を回復するために呼ばれて、この国の財政を回復させた。

 他の迷い人も同じような感じらしい。

 俺だけが、違うらしい。

 俺は、それらの話を聞いて、あることを確信した。

 あの時に感じたものは、そうだったのか。

 だから、直ぐに認めたのか。

 このことは、直ぐにでも確かなければいけない。

 俺は、気づいたことを隠し、迷い人には、一種のバクだと決めつけた。

 他の迷い人達は、死なないでこの世界が来ることが普通だが、俺は、死んでからこの世界に来た。

 最初から、バクだったと結論づけた。

 話し合いも終わったので、迷い人は出て行こうとした。

 迷い人が、出て行く前に、「レオク、そなたは、銃は、守るためにしか使わないかのか?」と、聞いて来た。

 「ああ、恋人達を守るためにしか使わない」と、答えた。

 「そうか、それだけ分かれば良い。じゃあ、幸せにな」と言い、迷い人は、出て行った。

 その後は、職員に誘導されながら、冒険者ギルドから出た。

 そのまま、家に帰った。
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