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第五話 かつてのお嬢様

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 あの日から1ヶ月が経った。

 この1ヶ月の間に王位継承権の争いは終わったのだ。

 王位継承するのは一番有力候補とされていた王子だった。

 ちなみに私が殺した王子は次期有力候補だったみたいだ。

 まぁ、どうでもいいが。

 そうそう、今回王位継承権した王子は陰ながら姫様の支援をしていたのだ。

 死なないように。

 本当は支援を増やしたいと思っていたみたいだが、1人の王子だった為、無理だったみたいだ。

 そんな話を聞いた姫様は王子のことをお兄様と慕うようになったのだ。

 そして、王子も姫様のことをただ1人の妹して扱うようになった。

 なので、今の姫様はあの離宮ではなく、王宮の内の一室に住んでいる。

 他の王家の者達は王宮から追放され、何処かに身を寄せている。

 この国では王位継承権に破れた王族は王位継承権した者によって王宮にいられるか決まるのだ。

 許可したのは姫様だけだった。

 そんな姫様には今まで居なかった侍女もつくようになったのだ。

 そんな姫様に私はまだ雇われている。

 まぁ、S級の傭兵だからな。

 普通のS級は世界中を旅しているから、長期的に雇うのは難しい。

 だから、そのまま雇われているのだ。

 そんな状況の私は姫様の後ろで謁見の間にいる。

 新国王の婚約者候補が来ているのだ。

 その婚約者候補は隣国の公爵家の者らしい。

 隣国で公爵家か。

 なんか嫌な予感がするな。

 そんなことを思っていると謁見の間の扉が開かれたのだ。

 扉の先には見覚えがあり過ぎる者の姿が見えた。

 金色の髪を腰まで伸ばし、翡翠色の瞳をし、シルクで作られたドレスに身を包んだ女性がいたのだ。

 その女性と私は目があい、驚きの表情を浮べていた。

 「ウ、ウィザー?な、なんでこんなところにいるの?」

 その疑問にこの場にいる者達は驚きの表情を浮べたのだ。

 「お久しぶりです、お嬢様。今は姫様と契約をしているので、護衛としてここにおります」

 「そうなのね。でも、貴方らしいわ」

 そう言い、お嬢様は嬉しそうに微笑んだのだ。

 「ウ、ウィザーさん。ど、どうゆうことですか?」

 そう言い、姫様が慌てて様子で私の方を向いてきた。

 「実はお嬢様は前の契約主なのです。少し事情があり、契約は無くなってしまいました。その後、旅をしていたら姫様と出会いました」

 そう、私は6年程お嬢様に仕えていたのだが、私の存在に嫉妬したお嬢様の元婚約者に勝手に契約を切られ、国を追い出されたのだ。

 その後のことは風の噂で聞いた。

 婚約は白紙となり、王家から公爵家に賠償金の支払いが行われたみたいだ。

 その結果、王家は国からの信頼を落ちた。

 さて、これからどうなることやら。
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