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第十二話 問題発生

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 王立学園の一学期が終わり、領地の屋敷の中でリリと一緒にお茶をしている。

 会話を楽しんでいると1人の使用人がやってきたのだ。

 何だと思っていると私の方までやって来た。

 そして、私に耳打ちをしてくる。

 耳打ちしてきた内容は驚くことだった。

 「何だと?それは本当か?」

 使用人は頷いて答えてくれる。

 「分かった、直ぐに対応する」

 使用人にそう告げた後、私はリリの方に向く。

 「すまない、リリ。後で埋め合わせをする」

 「な、何が起きたの?」

 「シルク工場の方で問題が起きたんだ」

 「ど、どんな問題なの?」

 「シルクの製法と蚕をの持ち出しだ」

 「そ、それは行ったほうがいいね。重要なことだから」

 私はリリに別れを告げ、私は使用人と共にシルク工場に向かう。

 シルク工場に向かいながら、私は考えるしか出来ない。

 まさか、そんなことが起きるなんてな。

 このようなことが起きないように福利厚生充実させていたはずだ。

 衣食住は勿論、医療、教育、人生を豊かにするために必要だと考えたことは全て揃えていた筈。

 だから、あり得ないと考えていた。

 人は安定を求める。

 高い金で外部から何かしらを求められたとしてもこんなことは無いと思っていたのだ。

 なのに。

 そんなことを思っているとシルク工場に到着する。

 シルク工場に到着すると従業員が私をある部屋まで案内してくれたのだ。

 案内された部屋にはシルク工場の元従業員が縄に縛られて地面に転がされている。
 
 元従業員は私を見つけると醜い言い訳を始めたのだ。

 「言い訳を聞く為に来た訳ではない。ただ、何故こんなことをしたのかを聞きたいだけだ」

 そう言われた元従業員は醜い言い訳をやめ、訳を話し始めたのだ。

 「か、金だ」

 「金だと?このシルク工場で働いていたら、一生遊んで暮らせる程の大金は手に入るとは言えないが、安定した生活はあったはずだ」

 「た、確かにそうだ。だが、大金だったんだ。一生とは言わないが、老後まで遊んで暮らせて程の金が貰えたのだ」

 「大金が何かしらの理由で必要なのか?それならば、こちらで工面出来ると説明したはず」

 「い、いや、理由は無い。ただ金が欲しかっただけだ」

 私は思わず溜息をついてしまう。

 まさか、こんな理由でな。

 「もういい。貴方が大金で売ったのは明らかだ。だから」

 私は敢えて言葉を止める。

 その結果、元従業員は固唾を呑んでいたのだ。

 「罰を受けて貰う。罰としては賠償金とこの領地からの追放だ」

 賠償金と追放だと聞いた元従業員は安堵の表情を浮かべている。

 安堵の表情を見た後、私はこの部屋の出口まで向かう。

 そこでわざとドアを開ける前に何かを思い出したような素振りをとったのだ。

 「あ、言い忘れたが、賠償金は殆どは賠償金として貰うからな」

 それを聞いた元従業員は許しを乞うていたが、無視して屋敷に戻る。

 売り上げは落ちるな。

 まぁ、いいか。

 あのシルクの製法だけはバレてないからな。

 いずれ普通のシルクの製法はバレると思っていたから少し早いだけだな。

 だが、休みが終わるまでには色々と対応しないとな。

 でも、今日はリリに癒されるか。

 あの可愛い笑顔を見て。
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