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第十一話 パーティー
しおりを挟む王立学園が始まってから3ヶ月が経つ。
今日は王家が主催しているパーティーに招待されている。
開催されているのは王城だ。
だから、私はシルクから製作されたパーティー用の正装に着替えている。
その正装に身を包んだ私は玄関で待っている。
待っていると先にバースナ子爵がやってきたのだ。
「バースナ子爵。リリは?」
「まだ着替えている。だが、後少しだ。それまで少し話そうか」
バースナ子爵と話していると足音が聞こえてきたのだ。
足音が聞こえた方に視線を向けるとシルク、いや、普通のシルクではなく高品質なシルクで作られた緑色のドレスに身を包んだリリがやってくる。
リリは後ろに手を組みながら、私の前までやってきたのだ。
「ど、どうかな?」
リリは恥ずかしそうにもじもじしている。
そして、顔を少し赤くしている。
「似合っているよ。そして、とても可愛い」
「か、可愛い。は、恥ずかしいけどう、嬉しいよ」
リリの顔は真っ赤になっていたが、嬉しそうに微笑んでいた。
私はそんなリリのことを可愛いなと思いながら見ているとバースナ子爵が声を掛けてくる。
「リリ。嬉しいのは分かるが、そろそろ時間だ。馬車に乗り込もう」
「そ、そうだね。お父様」
リリは私の方に向かって右手を伸ばしてくる。
「お願い、クルス」
「勿論です」
私はリリの手を取ってエスコートをする。
その後、私達は馬車に乗り込んで王城に向かう。
到着するまで私はバースナ子爵とリリと楽しく会話を交わしている。
王城に到着したら、バースナ子爵が先に馬車から降り、私の方を向いてきたのだ。
「クルス、私は先に行っている。だから、しっかりとリリのことをエスコートしてくれ」
「勿論です」
「宜しく頼むぞ」
そう言い残すとバースナ子爵は会場の方に向かってしまう。
それを見送ってから私は馬車から降り、馬車の下から手を伸ばす。
「リリ。手を」
リリは伸ばした手を取ってくれる。
私はリリが馬車から降りるのを手伝う。
馬車から降りた私はリリをエスコートしながら、パーティーの会場に向かったのだ。
私達がパーティー会場の中に入ると一斉に視線が集まる。
特に上位貴族から。
まぁ、そうだよな。
今、リリが身を包んでいる緑色のドレスはこの国の王族ぐらいしか着ることが出来ない程のシルクだ。
だから、渇望の視線を向けられる。
そんなことを思っているとエスコートしている手が少しだけ強く握られる。
「リリ。私が隣にいるから大丈夫だ」
リリは私の方を向き、安心したような表情を浮かべていたのだ。
「うん」
その後、私達はパーティーが開始するまで話して過ごス。
話しているとこの国の国王陛下がパーティーの開始の宣言したのだ。
開始と同時に音楽が鳴り始め、パーティーが始まる。
最初の方はリリと一緒に食事と飲み物を楽しんでいたが、踊りたいな。
私の可愛い婚約者と。
「リリ。1度だけ踊らないか?」
「クルスは踊りたいの?」
「ああ」
「お、お手柔らかにお願い」
リリは私の方に右手を伸ばす。
私はその手を取り、パーティー会場の中央に向かう。
そこで私達は音楽に乗って、踊り始める。
踊りはとても楽しかったな。
私、いや、私達はパーティーを楽しんだ。
踊っている最中リリは楽しそうな表情を浮かべていたからだ。
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