上 下
11 / 65

第十一話 パーティー   

しおりを挟む

 王立学園が始まってから3ヶ月が経つ。

 今日は王家が主催しているパーティーに招待されている。

 開催されているのは王城だ。

 だから、私はシルクから製作されたパーティー用の正装に着替えている。

 その正装に身を包んだ私は玄関で待っている。

 待っていると先にバースナ子爵がやってきたのだ。

 「バースナ子爵。リリは?」

 「まだ着替えている。だが、後少しだ。それまで少し話そうか」

 バースナ子爵と話していると足音が聞こえてきたのだ。

 足音が聞こえた方に視線を向けるとシルク、いや、普通のシルクではなく高品質なシルクで作られた緑色のドレスに身を包んだリリがやってくる。

 リリは後ろに手を組みながら、私の前までやってきたのだ。

 「ど、どうかな?」

 リリは恥ずかしそうにもじもじしている。

 そして、顔を少し赤くしている。

 「似合っているよ。そして、とても可愛い」

 「か、可愛い。は、恥ずかしいけどう、嬉しいよ」

 リリの顔は真っ赤になっていたが、嬉しそうに微笑んでいた。

 私はそんなリリのことを可愛いなと思いながら見ているとバースナ子爵が声を掛けてくる。

 「リリ。嬉しいのは分かるが、そろそろ時間だ。馬車に乗り込もう」

 「そ、そうだね。お父様」

 リリは私の方に向かって右手を伸ばしてくる。

 「お願い、クルス」

 「勿論です」

 私はリリの手を取ってエスコートをする。

 その後、私達は馬車に乗り込んで王城に向かう。

 到着するまで私はバースナ子爵とリリと楽しく会話を交わしている。

 王城に到着したら、バースナ子爵が先に馬車から降り、私の方を向いてきたのだ。

 「クルス、私は先に行っている。だから、しっかりとリリのことをエスコートしてくれ」

 「勿論です」

 「宜しく頼むぞ」

 そう言い残すとバースナ子爵は会場の方に向かってしまう。

 それを見送ってから私は馬車から降り、馬車の下から手を伸ばす。

 「リリ。手を」

 リリは伸ばした手を取ってくれる。

 私はリリが馬車から降りるのを手伝う。

 馬車から降りた私はリリをエスコートしながら、パーティーの会場に向かったのだ。

 私達がパーティー会場の中に入ると一斉に視線が集まる。

 特に上位貴族から。

 まぁ、そうだよな。

 今、リリが身を包んでいる緑色のドレスはこの国の王族ぐらいしか着ることが出来ない程のシルクだ。

 だから、渇望の視線を向けられる。

 そんなことを思っているとエスコートしている手が少しだけ強く握られる。

 「リリ。私が隣にいるから大丈夫だ」

 リリは私の方を向き、安心したような表情を浮かべていたのだ。

 「うん」

 その後、私達はパーティーが開始するまで話して過ごス。

 話しているとこの国の国王陛下がパーティーの開始の宣言したのだ。

 開始と同時に音楽が鳴り始め、パーティーが始まる。

 最初の方はリリと一緒に食事と飲み物を楽しんでいたが、踊りたいな。

 私の可愛い婚約者と。

 「リリ。1度だけ踊らないか?」

 「クルスは踊りたいの?」

 「ああ」

 「お、お手柔らかにお願い」

 リリは私の方に右手を伸ばす。

 私はその手を取り、パーティー会場の中央に向かう。

 そこで私達は音楽に乗って、踊り始める。

 踊りはとても楽しかったな。

 私、いや、私達はパーティーを楽しんだ。

 踊っている最中リリは楽しそうな表情を浮かべていたからだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

処理中です...