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第六話 新たな生活
しおりを挟む私は有給を使い、ある場所に訪れている。
そんな私の隣にはリーフが目を輝かせている。
リーフは病弱だったから見たことが無いのだろう。
いや、違うな。
この景色は人間達の生息範囲では見ることが出来ないものだろう。
そんなことを思いながら私は目の前の景色に視線を向けた。
視線を向けた先には自然の雄大を体現するような大き過ぎる滝が広がっているのだ。
この滝は魔王国の中でも一番大きく、魔族の私から見ても凄いと感じることが出来る。
それにしても冷たい風が強く吹いているな。
だから、少し肌寒く感じる。
リーフは病弱だから、少し心配だな。
そんなことを考えながら、アイテムボックスの中に入れておいた上着を取り出し、リーフに掛けた。
「あ、ありがとうございます、グリークスさん」
お礼を言ってくれたリーフの顔は真っ赤になりながら、掛けた上着を掴んでいた。
何故、顔が真っ赤なんだ。
もしかして、この冷たい風で風邪でもひいてしまったのか?
「少しいいか?」
「はい?」
私はリーフに近づき、左手で前髪を上に上げた。
そして、右手でリーフの額を触ってみたが、特に熱も無かった。
「熱は無いみたいだな」
「グ、グリークスさん。い、いきなり恥ずかしいです」
「あ、すまない」
そう言い、私はリーフから離れたが、顔は更に赤くなっていた。
「本当に体調は大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
大丈夫だと答えていたが心配なので、回復魔法だけはかけておこう。
リーフと暮らしてわかったが、本当に病弱なのだ。
少し気圧が低い日はよく頭痛を起こしてしまうので、日常的に回復魔法を掛けている。
だから、今も掛けておこう。
いま、待て。
まずは昼食を食べよう。
そう考えた私はアイテムボックスからシートと地面に設置出来る大きめの日傘を取り出し、それらを設置した。
設置し終えたら、私が作ったサンドイッチを入れたバケッド取り出した。
「取り敢えず、昼食にしよう。食べ終えたら、念には念を入れて回復魔法をかけよう」
「回復魔法は大丈夫ですけど、昼食を食べましょう」
そう言い、リーフは私が敷いたシートの上に行儀良く座ったのだ。
私は座ったリーフにサンドイッチを手渡した。
リーフはそのサンドイッチを受け取り、食べ始めたので、私もサンドイッチを食べ始めた。
昼食後に回復魔法を掛けた後、リーフは何かを思い出したような表情を浮かべていた。
「そう言えば、今疑問に思ったですけど、魔王様は魔物を操っているんですか?」
「いや。操っていない」
「そうなんですね」
そう答えたリーフは納得したような表情を浮かべていた。
その後、滝を楽しみ、私達は家に帰った。
家に帰ったら、いつもの夜を過ごした。
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