魔王の側近はお暇を頂く

竹桜

文字の大きさ
上 下
6 / 17

第六話 新たな生活

しおりを挟む

 私は有給を使い、ある場所に訪れている。

 そんな私の隣にはリーフが目を輝かせている。

 リーフは病弱だったから見たことが無いのだろう。

 いや、違うな。

 この景色は人間達の生息範囲では見ることが出来ないものだろう。

 そんなことを思いながら私は目の前の景色に視線を向けた。

 視線を向けた先には自然の雄大を体現するような大き過ぎる滝が広がっているのだ。
 
 この滝は魔王国の中でも一番大きく、魔族の私から見ても凄いと感じることが出来る。

 それにしても冷たい風が強く吹いているな。

 だから、少し肌寒く感じる。

 リーフは病弱だから、少し心配だな。

 そんなことを考えながら、アイテムボックスの中に入れておいた上着を取り出し、リーフに掛けた。

 「あ、ありがとうございます、グリークスさん」

 お礼を言ってくれたリーフの顔は真っ赤になりながら、掛けた上着を掴んでいた。

 何故、顔が真っ赤なんだ。

 もしかして、この冷たい風で風邪でもひいてしまったのか?

 「少しいいか?」

 「はい?」

 私はリーフに近づき、左手で前髪を上に上げた。

 そして、右手でリーフの額を触ってみたが、特に熱も無かった。

 「熱は無いみたいだな」

 「グ、グリークスさん。い、いきなり恥ずかしいです」

 「あ、すまない」

 そう言い、私はリーフから離れたが、顔は更に赤くなっていた。

 「本当に体調は大丈夫か?」

 「だ、大丈夫です」

 大丈夫だと答えていたが心配なので、回復魔法だけはかけておこう。

 リーフと暮らしてわかったが、本当に病弱なのだ。

 少し気圧が低い日はよく頭痛を起こしてしまうので、日常的に回復魔法を掛けている。

 だから、今も掛けておこう。

 いま、待て。

 まずは昼食を食べよう。

 そう考えた私はアイテムボックスからシートと地面に設置出来る大きめの日傘を取り出し、それらを設置した。

 設置し終えたら、私が作ったサンドイッチを入れたバケッド取り出した。

 「取り敢えず、昼食にしよう。食べ終えたら、念には念を入れて回復魔法をかけよう」

 「回復魔法は大丈夫ですけど、昼食を食べましょう」

 そう言い、リーフは私が敷いたシートの上に行儀良く座ったのだ。

 私は座ったリーフにサンドイッチを手渡した。

 リーフはそのサンドイッチを受け取り、食べ始めたので、私もサンドイッチを食べ始めた。

 昼食後に回復魔法を掛けた後、リーフは何かを思い出したような表情を浮かべていた。

 「そう言えば、今疑問に思ったですけど、魔王様は魔物を操っているんですか?」

 「いや。操っていない」

 「そうなんですね」

 そう答えたリーフは納得したような表情を浮かべていた。

 その後、滝を楽しみ、私達は家に帰った。

 家に帰ったら、いつもの夜を過ごした。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の娘、チョロインじゃん!

ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ? 乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……? 男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?  アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね? ざまぁされること必至じゃね? でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん! 「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」 余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた! え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ! 【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

実家から追放されたが、狐耳の嫁がいるのでどうでも良い

竹桜
ファンタジー
 主人公は職業料理人が原因でアナリア侯爵家を追い出されてしまった。  追い出された後、3番目に大きい都市で働いていると主人公のことを番だという銀狐族の少女に出会った。  その少女と同棲した主人公はある日、頭を強く打ち、自身の前世を思い出した。  料理人の職を失い、軍隊に入ったら、軍団長まで登り詰めた記憶を。  それから主人公は軍団長という職業を得て、緑色の霧で体が構成された兵士達を呼び出すことが出来るようになった。  これは銀狐族の少女を守るために戦う男の物語だ。

センシティブなフェアリーの愛♡協奏曲《ラブコンツェルト》

夏愛 眠
ファンタジー
とある大きなお屋敷の花園で生まれた、実体を持たないフェアリーのアシュリー。 ある日、禁忌のヒト化の魔法を使って、うっかりそのまま戻れなくなってしまったアシュリーは、初めて感じる実体の『触覚』のトリコになってしまう。 人間社会のモラルを持たないアシュリーは、お屋敷のお坊ちゃんのエルナンや庭師のジャンと次々関係を持っていくが……!? 天然ビッチなヒロインのイチャラブ♡逆ハーレムストーリーです。 ★ムーンライトノベルズに先行で投稿しています。

異世界ハーレム漫遊記

けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。 異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。

エルティモエルフォ ―最後のエルフ―

ポリ 外丸
ファンタジー
 普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。  海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。  その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。  もう一度もらった命。  啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。  前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。 ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています

第三王子に転生したけど、その国は滅亡直後だった

秋空碧
ファンタジー
人格の九割は、脳によって形作られているという。だが、裏を返せば、残りの一割は肉体とは別に存在することになる この世界に輪廻転生があるとして、人が前世の記憶を持っていないのは――

神槍のルナル

未羊
ファンタジー
人間と魔族たちが争う世界。剣と魔法のファンタジーものです。 主人公は槍使いのルナルという女性で、彼女を中心とした群像劇です。 設定も展開もよくあるものだと思います。 世界観は一番最初の話をお読み下さい。 更新は不定期ですが、予約投稿で18時固定更新です。 別の投稿サイトで執筆していましたが、どうにも終盤の展開で行き詰って放置になってしまいましたが、このたび、改稿・編集を行いつつ再び最初から執筆をして完結を目指してまいります。

元銀行員の俺が異世界で経営コンサルタントに転職しました

きゅちゃん
ファンタジー
元エリート (?)銀行員の高山左近が異世界に転生し、コンサルタントとしてがんばるお話です。武器屋の経営を改善したり、王国軍の人事制度を改定していったりして、異世界でビジネススキルを磨きつつ、まったり立身出世していく予定です。 元エリートではないものの銀行員、現小売で働く意識高い系の筆者が実体験や付け焼き刃の知識を元に書いていますので、ツッコミどころが多々あるかもしれません。 もしかしたらひょっとすると仕事で役に立つかもしれない…そんな気軽な気持ちで読んで頂ければと思います。

処理中です...