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第十六話 救援は悪魔

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 [長官視点]

 儂はエクソシストの長官だ。

 そんな儂には大切な娘がいる。

 聖女と呼ばれるアニスという娘が。

 だが、儂はアニスとは血の繋がりがない。

 儂の少し年が離れた友人の娘さんだ。

 儂の友人夫婦はアニスが幼い頃にある存在に殺されてしまった。

 なので、儂はアニスを引き取り、育てることにした。

 それからアニスはエクソシストの施設で修行を積み始めた。

 恩返しをするように。

 そして、アニスの努力は実を結び、現代の聖女と呼ばれるようになった。

 アニスは強くなったが、前線に行くというのはやめて欲しかった。

 本当に心配するから。

 でもアニスが可愛くお願いするので、最終的には折れてしまった。

 だが、出来るだけ危なくない現場をアニスには回した。

 アニスが前線で活躍し始めてから時が経ち、18になった。

 そんなある日に頭から2本の角を伸ばした男が街はずれの古びた教会にいると情報が入ってきた。

 悪魔はこの世界に顕現しないと楽観的に考え、調査をアニスに依頼してしまった。

 調査前の定期連絡を最後にアニスからの連絡は途絶えてしまった。

 儂は直ぐに調査隊を組み、街はずれの古びた教会に向かった。

 勿論、儂もだ。

 古びた教会に到着し、調査したが、何も見つからなかった。

 アニスの手掛かり1つも。

 儂は後悔することしか出来なかった。

 楽観的に考えて、アニスを送り出してしまったことに。

 それからもアニスの行方を調査していたが、全く見つからなかった。

 アニスの行方を焦っているとバチカンの広場に何かの生物が現れたのだ。

 そして、その生物は広場にいた人達を襲い始めたのだ。

 あの生物はなんだ?

 悪魔ではない何か。

 今はそんなことを考えるな。
 
 人を救え。

 エクソシストは悪魔から人々を助ける為に組織された。

 影に潜み悪魔を倒していた我々エクソシストは正体が分らない生物から人々を守るために戦う。

 儂達は正体が分からない生物を倒し、人々を守った。

 倒してから、情報が入ってきた。

 あれは魔物と言い、異世界の生物みたいだ。

 その情報をしっかりと精査し、対策を会議していると、また侵攻が始まった。

 儂達は迎撃に出たが、先程よりも大規模であり、おされる一方だった。

 不幸中の幸いで死傷者は出てないが、戦闘継続不可能者が続出し、このままでは耐えられないは明らかだ。

 儂は少しでも耐える為に前線で戦っている。

 メイスで魔物の頭を攻撃した時に後ろから別の魔物が襲ってきたのだ。

 ま、間に合わない。

 死を覚悟すると後ろから襲ってきた魔物の頭がいきなり破裂したのだ。

 まるで、頭の中から破裂したかのように。

 そして、魔物の頭が破裂して出て来た血溜まりから現れたのだ。

 頭から2本の角を伸ばした男が。

 あ、あれは悪魔か?

 何故、悪魔がこんなところに。

 そんなことを疑問に思っていると悪魔は何かを呟いたのだ。

 すると、雨が降り始めたのだ。

 空に雲が無かった筈なのに。

 しかもその雨は優しかった。

 後ろから驚きと喜びが混ざった声が聞こえた。

 声がした方を向くとエクソシスト達の傷が治っていたのだ。

 そのことに驚いているとまた悪魔が何かを呟いていたのだ。

 すると、地面に降り注いで地面を流れていた雨が1つに纏まり、鮫を形取ったのだ。

 水で構成された鮫は魔物達に襲い掛かり、蹂躙した。

 優しい雨が止む頃には魔物達は全滅していた。

 そして、魔物達を全滅させた鮫もただの水に戻った。

 今、この場に立っているのは我々エクソシストと悪魔だけだ。

 エクソシストの窮地に救援きたのが悪魔とは。

 この悪魔から情報を聞き出さなければ。

 

 
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