上 下
64 / 69

第六十四話 代官の恋

しおりを挟む

 王立学院の卒業から2週間が経った。

 結婚式の準備をしながら過ごしていたが、今はゲナバとソフィアさんに呼ばれている。

 俺の隣にはリリアが座っている。

 「いきなりどうしたんだ?ゲナバ、ソフィア」

 2人はお互いに向き合い、頷き合ってから、私達の方を見てきた。

 「ランガン公爵、ソフィアとの結婚を許してほしい」

 そう言い、ゲナバは頭を下げできたのだ。

 ソフィアさんも一緒に頭を下げた。

 俺は頭を上げるように指示した。

 「いつ、仲を深めたんだ?」

 どうやら、リリア達が領地の屋敷に来た時に徐々に深めたらしい。

 ゲナバがソフィアさんに惚れた理由は教えてくれなかった。

 まぁ、それはしょうがないか。

 「私としては結婚は何も問題無い。リリアも大丈夫か?」

 「私も大丈夫よ。ソフィア、幸せになって」

 「ありがとうございます。ランガン公爵、リリア様」

 「ありがとうございます。ランガン公爵様、リリアお嬢様」

 「ゲナバとソフィアが結婚か。なら、ソフィアは男爵夫人か」

 その言葉に部屋が凍りついたのだ。

 1番最初に回復したソフィアさんが口を開いたのだ。

 「ど、どういうことですか?ランガン公爵様」

 「俺の領地の代官をしているのだ。平民では問題があるため、ゲナバは男爵なんだ。俺が侯爵に上がった時に伝えたが、多分ゲナバはそれに興味が無かったから覚えていなかったのだろう」

 ゲナバは回復し、思い出したような表情を浮かべていた。

 明らかにソフィアさんは狼狽ていた。

 まぁ、いきなり男爵夫人なんて言われたら、誰でもこうなるよな。

 「ゲナバ、ソフィア。安心してくれ。君達は殆ど領地にいるから貴族として過ごさなくて大丈夫だ。まぁ、全貴族が強制参加の行事には参加してもらうぐらいだ。例えば、王家主催なパーティーとかな」

 その言葉を聞き、ゲナバとソフィアさんは安心したような表情を浮かべていた。

 そこで話を切り上げ、ゲナバを連れてある場所に向かった。

 到着した場所はアカザとルナさんが住んでいる塔だ。

 俺はゲナバにアカザに合わせ、ゲナバに婚約の証のネックレスのデザインを出してもらった。

 素材や金は全て俺が出す。

 大切な部下のお祝い事だ。

 次の日にはソフィアさんの瞳色の宝石が埋め込まれたネックレス型の魔法具が完成したいた。

 完成してから次の日のソフィアさんの首にはそのネックレス型の魔法具がついていた。

 告白が無事成功したようだな。

 そして、俺達もあと少しすれば結婚式だ。

 幸せになるぞ。

 勿論、リリア達と一緒に。
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

王女に婚約破棄され実家の公爵家からは追放同然に辺境に追いやられたけれど、農業スキルで幸せに暮らしています。

克全
ファンタジー
ゆるふわの設定。戦術系スキルを得られなかったロディーは、王太女との婚約を破棄されただけでなく公爵家からも追放されてしまった。だが転生者であったロディーはいざという時に備えて着々と準備を整えていた。魔獣が何時現れてもおかしくない、とても危険な辺境に追いやられたロディーであったが、農民スキルをと前世の知識を使って無双していくのであった。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~

暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。  しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。 もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。

処理中です...