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第五十五話 異国の王宮

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 バイヤル王国に到着したら俺達は王宮の中に案内された。

 リリア達付きの侍女達は荷物を与えられた部屋に置きに行った。

 俺の荷物は全て魔法袋の中に入っている。

 俺とリリア達はそのまま謁見の間に通された。

 謁見の間にはバイヤル王国の王族達がいた。

 俺達は簡単に挨拶し、一旦部屋に通された。

 食後に今回の依頼について話すとのことだ。

 謁見の途中に嫌な視線を感じた。

 その視線はエレネのことを見ていた。

 そして、その視線を向けていたのはバイヤル王国の第1王子だった。

 俺は嫌な予感がしてならなかった。

 警戒をしておこう。

 夕食までは1つの部屋に集まり、紅茶を飲みながら、会話をしていた。

 夕食の時間になると夕食に招待されたので、バイヤル王国の王族達と夕食をとった。

 夕食時は俺がシードラゴンの時のことや魔物の大襲撃のことなどを話し、比較的平穏な時間が進んでいた。

 いきなり第1王子が椅子から立ち上がった。

 その行動に周りは不思議に思っていたが、俺は嫌な予感がしてならなかった。

 そして、第1王子はエレネのことを指をさしたのだ。

 「おい、お前。俺様の婚約者にしてやるよ。感謝しろ」

 「えっ、ぼ、僕?リリアやシアナじゃなくて?」

 そう言い、エレネは驚きの表情を浮かべていた。

 「失礼ですが、エレネは私の婚約者です。人の婚約者に指さす行為も求婚する行為も辞めて頂きたい」

 それを聞いた第1王子は馬鹿にしたような表情を浮かべたのだ。

 「何を言っているんだ、お前は?俺様は最強だ。お前は魔銃に頼っているだけの弱者では無いか。そんなお前よりも俺様の方が良いに決まっている」

 バイヤル王国の国王は止めていたが、それを無視して第1王子は話し続ける。

 「そうは思わないか?お前」

 「僕はそうは思わないよ」

 俺はエレネがそう言ってくれて嬉しく堪らなかった。

 こんなにも好きでいてくれたことが。

 自分の言葉を否定された第1王子は顔を真っ赤にして、怒っていた。

 「もういい。なら、決闘だ」

 「そうですか、分かりました。私達は明日の決闘の準備があるので、これで」

 そう言いながら、俺達は夕食会場を後にした。

 このバイヤル王国では決闘を申し込まれたら、受けなければならない。

 受けなかったら、戦士としての資格を失うことになる。

 本来なら他国の俺達には関係ないことだ。

 だが俺は他人にそう思われるのは嫌だ。

 それにエレネが指名されているのに、決闘を受けなかったらエレネを見捨てたと周りに思われてしまう。

 だから、覚悟しろよ。

 俺はリリア達を守るためなら、どんなことでもするぞ。

 確かに、俺は殆ど剣を使わない。

 だが、それは魔銃の方が効率的だからだ。

 あまり俺を舐めるなよ。

 自意識過剰野郎が。
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