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第四十話 切り札

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 先手を取ったシードラゴンは口から水を吐いてきたのだ。

 クラーケンと比べものにならない程の質量だった。

 俺は剣を口に持ち、魔法袋から転移石に似た魔法具を取り出した。

 それを使うのと同時に転移魔法を使用し、シードラゴンの攻撃を避けた。

 俺が離れた後、立っていた崖はシードラゴンの攻撃によって削られていた。

 削られた崖は音を立てて崩れ、水飛沫を立てて海に落ちていった。

 凄い威力だな。

 まぁ、当たらなければ何も問題無い。

 さて、やり返すとするか。

 俺はさっきと同じようにして、転移した。

 シードラゴンの後ろに転移し、剣で背びれを切り落とし、魔銃で背中を撃ちまくった。

 俺からの攻撃を受けたシードラゴンは声にならない悲鳴を上げた。

 だが、直ぐにシードラゴンは反撃してきた。

 シードラゴンは後ろにいる私に尾びれで攻撃して来た。

 俺はさっきと同じように転移を使用し、攻撃を回避して地面に戻った。

 地面に戻った俺は転移石に似た魔法具を使いながら、転移魔法を使用し、ヒットアルドアウェイの攻撃を続けた。

 剣と魔銃で攻撃し続けた。

 剣はそれなりの業物だが、魔銃は最高品質だ。

 剣よりも魔銃の方がシードラゴンに傷をつけることが出来た。

 20分ぐらいするとシードラゴンは傷だらけになっていた。

 シードラゴンを魔銃の引き金を引くと海の中に水飛沫を立てて、潜ったのだ。

 俺は追撃をかける為、海に近づくとシードラゴンがいきなり海から飛び出て来た。

 そして、俺に向かって水を放とうしていた。

 今から回避するのは間に合わないし、打ち消すのにも魔銃では火力不足だ。

 なら。

 剣を地面に捨て、魔法袋からある魔法具を取り出した。

 その魔法具は手でようやく持てる程の大きさの赤い玉だ。

 俺は水を放とうしているシードラゴンに向けた。

 そして、その魔法具を使用したのだ。

 使用した魔法具から赤いレーザーが出た。

 その赤いレーザーはシードラゴンの体を貫通し、更にはその先の海を蒸発させたのだ。

 その攻撃を受けたシードラゴンは絶命していた。

 それを確認すると持っていた魔法具は割れ、破片となってしまった。

 やっぱり、使い捨てか。

 威力は抜群だが素材が高すぎる。

 レッドドラゴンの竜核だぞ。

 本当は別の魔法具にする予定だったが、アカザが遊びで作ってしまった。

 まぁ、切り札になるから良かったが。

 そんなことを考えながら、俺はシードラゴンの死体を魔法袋の中に入れ、転移魔法を使用し、ベンネット伯爵家の屋敷に帰った。

 ベンネット伯爵家の屋敷に帰るとシアナが俺に抱きついて来た。

 そして、シアナは俺の胸に顔を埋めていた。

 「ビリー、良かった。無事で」

 「ああ、怪我1つもしてないよ。安心してくれ、シアナ。シードラゴンは倒したから、もう生贄になる必要は無くなったよ」

 「ビリー、本当にありがとう。私、ビリーの婚約者に、なれて良かった。これからも、宜しくね、ビリー」

 そう言いながら、シアナは俺の胸から顔を上げて微笑んでいた。

 その時、俺はこの微笑みを守れて本当に良かったと強く思ったのだ。
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