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第五十四話 百鬼夜行

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 冬休みは2週間もないので、終わってしまう。

 それなのに私はまた京都府に来ている。

 高校は既に始まっているが、短期の交換留学として建前で京都にいる。

 院は本当に国家の機関なんだなと理解出来たよ。

 教育機関から名指しで指名されたからな。

 交換留学生に。

 と言っても私は勉強するために京都府に来たわけではない。

 ファンタジーに対応するためだ。

 本来なら、院と陰陽師達で対応するが規模が大きい為、私に協力要請がきたのだ。

 私がその要請を承諾したので、私が京都府に滞在するための理由付けをしてくれたのだ。

 ある程度の状況は詩花から聞いているが、詳しいのは現地で聞く。

 ちなみに、ラナとリーヴには詩花から説明をしてもらっている。

 なので、私が京都府で何をするか大体知っている。

 今回対処するファンタジーは百鬼夜行だ。
 
 百鬼夜行が発生する場所として予測されたのは京都府の中京区壬生附近なのだ。

 そして、発生する方角までも何故か特定されている。

 この奈良市は元々平安京があった場所であり、方角は鬼門と裏鬼門とされる北東と南西だ。

 これらを予測したのは陰陽師達だ。

 私はこういったことは専門外なので任せるしか無い。
 
 準備を終え、発生予測がされた日の夜となった。

 今回の戦いの場所は街中なので、陰陽師達が異世界、いや、別次元に移動させたのだ。

 凄いな。

 別次元に移動できるなんて。

 これは詩花から聞いたんだが、陰陽師は強力な術を行使する際に準備と儀式が必要みたいだ。

 逆に言えば、準備と儀式さえ出来れば別次元に移動させるぐらいの強力な術を行使出来るということだ。

 確かに安らかに眠った者も死人の蘇生を試みようしていたな。

 結果は醜い肉の塊が生まれただけだったが。

 それにしてもあの闇の武器商人は何が目的なんだ?

 無造作にこの世の物では無い武器をばら撒いたり、裏で暗躍したりと。

 何がしたいか分からない。

 そんなことを考えていると北東と南西から音が聞こえてくる。

 不快な鳴き声と大量の足音が私達に向かって来るのが分かる。

 その音を聞いた陰陽師達は周りに御札を展開させる。

 何かの呪文を唱えると私と陰陽師達の周りに透明な防壁が展開したのだ。

 凄いな。

 守るための防壁をほぼ瞬時に展開出来るなんて。

 陰陽師達に関心していると北東と南西から現れたのだ。

 様々な妖怪達が。

 数は百を超えていた。

 そして、その妖怪達は私達に敵意、いや、殺意を向けている。

 その殺意は私達だけではなく、その先にも向いている。

 殺意を向けているのは一般市民だろう。

 なら、止めないとな。

 ファンタジーを知らない現代日本に生きる者達を守らなくては。

 と言っても私は正義の味方ではない。

 ただ守りたいだけなんだ。

 大切な存在を。

 その大切な存在は私の隣に今いるのだ。

 6歳も歳が離れた大切な婚約者の詩花が。

 だから、異世界で千年修行し続けたこの正拳突きを使って。

 まずは露払いだ。

 私は正拳突きの構えをとり、放つ。

 放った正拳突きは私達を取り囲んでいた妖怪を吹き飛ばす。

 吹き飛ばされた妖怪達は既に事切れていたが、空中で真っ白な霧となって消えてしまう。

 真っ白な霧だと?

 前とは違うぞ。

 まぁ、いいか。

 私のやることは変わらないからな。

 
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