上 下
34 / 64

第三十四話 理不尽な不満

しおりを挟む

 [帰還者視点]

 俺は異世界で英雄となり、現代日本に帰還した者だ。

 帰還した俺は英雄になった事実を嬉々として語ったが、周りの者は信じられないという表情を浮かべていた。

 なんで、俺の武勇伝が信じられないんだ?

 その後、俺は頭が狂ったと言われ、精神病院に強制的に入院させられてしまう。

 1週間ぐらいで退院できたが、全てを失った。

 職を家族を恋人を。

 そんな俺は酒に溺れるようになる。

 貯金も直ぐに底をつき、金融会社に借金するようになった。

 借金も直ぐに膨れ上がり、取り立てに追われ、アパートも追い出されてしまう。

 俺はホームレスになるしか無くなったのだ。

 河川敷沿いにダンボールで作った小さな小屋に住んでいる。

 食料は市民団体がやっている炊き出しだけが主だ。

 それ以外は殆ど小さな小屋の中で過ごしている。

 なんでだ?

 俺は異世界で悪を倒し英雄になっただぞ。

 なのに、なのに、こんな惨めなことになっているんだよ。

 そうか、分かったぞ。

 今の日本が悪いんだ。

 日本に要求すればいいのか。

 俺には魔法がある。

 それを使って、脅せば。

 「それでは甘い。今の政府に不満を持つならば、私が武器が提供しよう」

 突然の声が聞こえてくる。

 入り口の方を向くと、黒いローブに身を包んだ者が立っていたのだ。

 その者は闇の武器商人と名乗る。

 闇の武器商人?

 なんか怪しいな。

 そんなことを思っていたが、闇の武器商人が何かの武器を渡してきたのだ。

 その武器はこんな現代社会には存在しないファンタジー的な武器だ。

 この武器があれば、日本に要求することが出来る。

 それから俺は闇の武器商人から情報を仕入れ、理不尽な状況にある帰還者をかき集めたのだ。

 ファンタジー的な武器をちらつかせ、不満を爆発させる。

 不満を爆発させた中には未成年者もいたが、関係ない。

 人手はいるだけいい。

 そう言えば、帰還者の高校生内1人しか参加しなかった。

 まぁ、いいか。

 その後、俺達は計画を立てて、準備を始める。

 そして、ついに決行当日になったのだ。

 俺達は車で国会議事堂に向かう。

 国会議事堂の正面に車を止め、闇の武器商人から購入したファンタジー的な武器を取り出す。

 そのファンタジー的な武器を使って、衛視達を殺した。

 衛視達は盾などのお粗末な武器で攻撃してきたので、魔法で蹂躙してやったな。

 まぁ、俺達の力を見せつける意味もあったが。

 国会議事堂の衆議院議場を制圧した俺達はテレビ局に映像を送る。
 
 俺達の要求したことが認めれるまで、占領した衆議院議場で待機しているといきなり扉が開いたのだ。

 扉のところに立っていたのは高校生ぐらいの男だった。

 警戒していると仲間の1人が声を上げる。

 どうやら、知っているようだ。

 そうか、あれが。

 闇の武器商人から注意されていた。
 
 1人の帰還者に注意しろと。

 その帰還者の対策として私はある物を貰っている。

 俺はそれをいつでも出せるようにしておく。

 危険視した帰還者が正拳突きの構えをとる同時にある物を握り潰す。

 すると、危険視していた帰還者は黒い何かに包まれてこの場から姿を消したのだ。

 これで、大丈夫だろう。

 闇の武器商人から貰ったのは使用した者を何も無い真っ黒な空間に100年間閉じ込めることができる魔法具だ。

 何も無い真っ黒な空間だ。

 そんなところで100年間閉じ込められば精神が狂うだろう。

 さて、政府から返事はきているか?

 もう死んだも同然の帰還者のことなど忘れ、他のことを気にし始める。

 身勝手な不満だというのに、帰還者達はそんなことを思ってない。

 それが正当な不満だと信じているからだ。

 武力で国会議事堂を占領し、衛視を殺した殺人犯でもあり、反逆者でもあるのにも関わらず。

 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜

Josse.T
ファンタジー
悲運な貯金の溶かし方をした主人公・古谷浩二が100万円を溶かした代わりに手に入れたのは、ダンジョン内で魔力が無制限に即時回復するスキルだった。 せっかくなので、浩二はそれまで敬遠していたダンジョン探索で一攫千金を狙うことに。 その過程で浩二は、規格外のスキルで、世界トップレベルと言われていた探索者たちの度肝を抜くほど強くなっていく。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~

椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。 探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。 このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。 自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。 ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。 しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。 その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。 まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた! そして、その美少女達とパーティを組むことにも! パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく! 泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...