異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜

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第三話 千年の時

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 [ラナ視点]

 僕の名前はラナ・シーアナ。

 今年16歳になった王立図書館で司書として働いている。

 僕は両親の顔を全く知らない。

 記憶がある時には既に孤児院にいた。

 孤児院での暮らしは最低限だった。

 衣食住も最低限。

 そんな中で僕は暮らしていく。

 僕は少しでも過ごしやすくするために街に出て、日雇いの仕事を始めた。

 それでなんとか暮らしていけるぐらいになった。

 ある日、僕は古い本を拾った。

 その本はとても古ぼけていたけど、読めない程では無かった。

 僕はその本を孤児院に持って帰り、読んだ。

 文字は読めたので、本は読めた。

 本を読んだ僕は凄くこの本が面白いと思った。

 それから、僕はこの本を文字通り穴が空くまで読んだ。

 そこで決めたのだ。

 将来は本が沢山読める仕事につこうと。

 だから、僕は限られた中で勉強し始めた。

 それから時が経って、僕は14歳になった。

 この世界では成人は14歳なので、僕は孤児院から出なきゃならない。

 この時の僕は王立図書館の司書の試験に合格していた。

 僕は孤児院を出て、王立図書館で司書として働く日々が始まった。

 そんな日々を過ごし、2年ぐらいが経ったある日に僕は気になる人とあった。

 この辺では見ない人種だった。

 僕は旅人かなと思いながら、声を掛けた。

 その時、声を掛けて正解だと思う。

 異世界から召喚され、王城から追放されたという事情を聞いた僕は不憫に思った。

 だから、僕は樹のことを助けることにした。

 それからは樹と一緒に暮し始めた。

 そんな暮らしが今日で2ヶ月。

 なんか、最近の僕は変なんだ。

 樹のことを見ていると病気でも無いのに胸の内側が熱い。

 どうしたんだろう?

 僕は。

 こんなのどんな本にも載って無かったよ。

 今日もいつもの朝を過ごしていると、いきなり騎士達が入ってきた。

 嘘、この人達。

 普通の騎士じゃなくて、近衛騎士団だ。

 なんで?

 王族を守る近衛騎士達が僕の家に?

 その疑問は直ぐに解消された。

 なんと、この国の第1王女殿下が僕の家にきたからだ。

 第1王女殿下は僕には目もくれず、樹の方を向いた。

 そして、第1王女殿下はニヤリと笑ったのだ。

 そのまま、何かの魔法具を樹の方に向け、割ったのだ。

 すると、樹はこの場から消えてしまったのだ。

 樹がいきなり消えたことに唖然としている僕に第1王女殿下は言ったのだ。

 樹は魔法具によって何も無い真っ白な空間に飛ばされ、そこで千年の時を過ごすと。

 そして、現実世界の1時間が1年になる。

 せ、千年。

 現実世界では41日と16時間だけど、普通の人間なら千年も精神が耐えられないよ。

 言いたいことを終えた第1王女殿下は近衛騎士団と共に僕の家から出て行った。

 僕はそのまま力が抜け、地面に女の子座りしてしまった。

 そんな僕は今気づいたよ。

 君のことが好きだって。

 だから無事に帰ってきて、樹。

 室内なのに雨が降ってきて、僕の右目から1雫が流れたのだ。

 その1雫はそのまま地面に落ちた。

 
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