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第一話 望まれない異世界人
しおりを挟む高校が始まっている。
だが、私の気分は憂鬱のままだ。
そして、もう桜が散り始めている。
高校が始まってもう1ヶ月が経っているからな。
中学までは良かったが。
いや、中学2年まで良かったな。
今はただ憂鬱だな。
本当は高校に行きたくない。
でも、高校に行かないと母さんを心配させてしまう。
だから、私は高校には行っている。
今日は土曜日なので、学校は休みだ。
私は息抜きの為に街に出掛けている。
買い物を終え、帰宅しているとある細道を見つけたのだ。
その細道の奥には神社があることも見える。
よく通る道だけど、神社なんかあったんだな。
折角だから、お参りしていくか。
そう思い、俺は細道の方に足を進める。
鳥居の額束には津島神社と書かれていたのだ。
津島神社?
あまり聞いたことが無いな。
まぁ、お参りするか。
私は鳥居に頭を下げてから入り、お財布の中からご縁があるように5円玉を取り出し、お賽銭箱の中に入れる。
二礼二拍手一礼をし、お参りを終えたのだ。
お参りを終えた私は鳥居に頭を下げて、津島神社を後にする。
そして、そのまま小道を歩き、大通りに向かう。
大通りに出る前に私の前を3人組の高校生らしい者達が通りかかる。
男子が1人に女子が2人の3人組だ。
多分、私と同い年ぐらいだろう。
そんなことを思っていると、俺の周りは光に包まれたのだ。
私が中心か?
いや、違う。
前にいる高校生達が中心だ。
私はただ巻き込まれただけだ。
早く離れなければ。
そう思っていたが、体が動くことは無かった。
その光はどんどんと強くなっていき、高校生達を中心に目が開けられない程の強くなっていく。
周りから悲鳴が聞こえてくる。
その悲鳴と共に私は脱力感に襲われた。
そして、そのまま光は私のことを包んだ。
光が消え、目を開けると私は知らないところにいたのだ。
見た感じ、中世のお城の中だな。
確認した後、周りを見渡すと高校生がやっぱりいる。
そして、私達の少し上には豪華な服に身を包んだ初老の男と豪華なドレスに身を包んだ少女がいたのだ。
まるで、王様と王女だな。
その者達の隣には黒いローブで身を包んだ老人が立っていたのだ。
その老人は顔色が悪い。
多分、あの老人が高校生達と巻き込まれた俺を召喚したのだろう。
そんなことを思っていると、王女らしき者が話し始める。
「よく来てくださいました。異世界の勇者様」
そう言い、王女らしき者が高校生達の見渡した後、私と目があう。
私と目があった王女らしき者は驚いた表情を浮かべていたのだ。
「えっと、貴方は?」
どうやら、私は望まれていない異世界人のようだ。
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