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第三十六話 霊亀
しおりを挟むあの後、獣王国の国王とベリアル帝国の者から謝罪を受けた。
悪いのはあの第2皇子なので、それを許した。
そろそろ帰ろうと思っていると、突然鳴き声が聞こえた。
その鳴き声は耳に聞こえたのではなく、頭に直接聞こえた。
どうやら、周りの獣人や人間も同じのようだ。
その中で1人だけ顔を真っ青にしている者がいた。
確か、彼は第2皇子の側近で公爵家の次男だったはず。
「失礼だが、これが何なのか分かるのか?」
第2皇子の側近は狼狽えながらも答えたのだ。
これは霊亀の鳴き声だと。
霊亀はベリアル帝国の皇族や一部の貴族にしか伝わっていない魔物。
決して目覚ましてはいけないと言われている。
強さは3体の神獣が一斉に掛かっても敵わないと伝わっているとも。
そして、真なる神獣と呼ばれているようだ。
やりやがったな。
あの第2皇子。
確証は無いが、ほぼ確定だな。
第2皇子が起こしたことが。
目覚めてしまったなら、倒さなければいけない。
ツキミを守るために。
そう考えていると、ツキミが俺の手を握ってきた。
俺はツキミの手を握り返した。
「大丈夫」
そう言い、俺はツキミの手を離した。
「レンさん、ツキミのことをお願いします」
そう言い、俺は応接室を後にした。
王城の中で人気が無い場所に移動した。
俺は左手を耳に当てた。
「輸送ヘリ、来い」
すると、輸送ヘリが現れた。
俺は左手を耳に当てたままに新たな指示を出した。
「偵察ヘリ部隊、霊亀を探せ」
すると、王都の空に偵察ヘリ部隊が現れた。
俺は現れたことを確認してから、輸送ヘリに乗り込んだ。
俺が乗り込むとローターが回転し始めた。
輸送ヘリは急上昇して、王都を後にした。
偵察ヘリは四方に分かれ、偵察を開始した。
約10分ぐらいに見つけた。
ベリアル帝国方面の海で。
思ったよりも早く見つかったな。
俺は偵察ヘリから情報を受け取った。
で、でか過ぎる。
ベヒーモスの3倍はあるぞ。
まるで、大地が動いているようだ。
実際に甲羅の上には大地があり、木や草などが生えている。
偵察ヘリが10分で見つけたのがよく分かる。
こんだけでかいなら分かるだろうな。
霊亀は非常にゆっくり歩いている。
大体、1時間で10キロぐらいの移動だろう。
俺は輸送ヘリから霊亀を見ながら、5キロ地点にある崖に降り立った。
輸送ヘリから降りて、輸送ヘリを戻した。
戻した俺は黒い軍服と黒い軍帽を取り出した。
それに着替えた。
そして、ある鉄仮面を出した。
一旦軍帽を脱ぎ、鉄仮面を付けてから軍帽を被った。
この鉄仮面は俺が前世で身に着けていた物だ。
色は黒で恐怖を与えるデザインをしている。
ブーツはそのままなので、ブーツの装備はそのままだ。
ホルスターを装備してマグナムを入れている。
そして、腰には短剣を装備している。
さて、準備は完了だ。
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