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第十六話 宿で

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 海から上がったのでベトベトしている。

 なので、先に風呂に入ることにした。

 風呂は男女分かれているので、風呂の前でツキミと別れた。

 俺は水着を脱ぎ、体を洗い、風呂に入った。

 風呂は白く濁っている。

 どうやら、天然の温泉のようだ。

 風呂をゆっくり入っていると女風呂との仕切りが空いた。

 そこから、タオル1枚だけを巻いたツキミが入ってきた。

 「ツ、ツキミ、何でここに?」

 俺は驚きを隠せなかった。

 「折角の旅行なので、一緒に入ろうと思って」

 そう言いながら、ツキミは笑顔を浮かべていた。

 そう言われたなら、仕方ない。

 俺はツキミと混浴することにした。

 混浴と言っても、互いに大事な場所にはタオルを巻き、温泉も白く濁っているので、普通に会話をした。

 かれこれ1時間ぐらい経った。

 「あ、あの、リアン、先に上がって下さい」

 「どうしてだ?」

 「そ、それは」

 そう言いながら、ツキミは顔を真っ赤にしていた。

 俺が不思議そうにしているとツキミは顔を赤くしていた。

 「タ、タオルがす、透けそうなので」

 「あ、すまない。直ぐに出るよ」

 そう言い、俺は風呂から出た。

 着替えて、風呂の入り口でツキミを待つことにした。

 風呂上がりのツキミはヤバかった。

 髪は少し濡れ、肌はツヤツヤで血行もいい。

 手を出してしまうかもしれない。

 俺の理性頑張れ。

 流石に結婚前に手を出すのはだめだ。

 その後、いつものように夕食をツキミと一緒に作り、食べた。

 今日は時間が遅いため、早めに寝ることにした。

 だが、そこで問題が起きた。

 どうやら、ホテル側のミスでベットが1つしか無いようだ。

 俺は床で寝ようとしたが、ツキミが反対してきた。

 ツキミも床で寝ようとしたので反対した。

 どちらも譲らなかったので一緒の布団に寝ることになった。

 「おやすみ、リアン」

 「あ、ああ、おやすみ、ツキミ」

 な、なんで、一緒に寝ることになったんだ?

 し、しかも、す、凄くいい匂いがする。

 だめだ。

 俺。

 そ、そうだ。

 素数を数えろ。

 煩悩を消し去れ。

 俺が863まで数えるとツキミの声が聞こえてきた。

 「起きていますか?リアン」

 「ああ、起きているよ。ツキミ」

 「やっぱり、寝れませんよね」

 そう言い、ツキミは微笑んでくれた。

 「そ、その、ひ、1つだけ、お願いをしてもいいですか?」

 「大丈夫だよ」

 「あ、ありがとう。じ、じゃあ、わ、私の尻尾を掴んで寝て欲しいんです」

 そう言いながら、ツキミは枕で自分の顔を隠していた。

 多分だが、ツキミの顔は真っ赤だろう。

 「ツ、ツキミがそう言うなら」

 そう言い、俺はツキミの尻尾を掴んだ。

 ツキミの尻尾はとても毛感触が良かった。

 「ありがとう、リアン。色々と」

 そう言い、ツキミは少し顔を赤くしながら、微笑んでいた。

 そのやり取りをしてから30分後ぐらいにツキミの可愛らしい寝息が聞こえてきた。

 俺は寝ることが出来なかった。

 ツキミの尻尾を触りながら、ツキミの可愛らしい寝息を聞いている今の状況で。

 結局、俺が寝れたのは日付が変わってからだった。
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