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第五十五話 殲滅

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 断罪の後、隣の大陸の者達からの依頼を受け、魔王討伐に向かうことにした。

 リーシアと弟とエスリスとクリメは、王城で待機だ。

 リーシアは、「僕は、そこまで実力が無いから、ここで待っているよ。ニース、セレリア、リタ、サリラ、無事に戻ってきて」

 弟は、「どうか、ご無事で」

 エスリスは、「どうか、私の祖国がある大陸を救って下さい」

 クリメは、何も言わず、頭を下げた。

 リーシア達に別れを告げ、取り敢えず、シャドートラベリングを使って、隣の大陸に移動した。

 到着したら、誰が何処に行くかを話し合った。

 話し合った結果、私は、北に、セレリアは、東に、リタは、南に、サリラは、西に行くことになった。

 私は、セレリア達をシャドートラベリングで、それぞれの担当の方角に送った。

 セレリア達を送ってから、私もシャドートラベリングを使って、北の防衛線に向かった。
 
 [東側防衛部隊 弓兵視点]

 くそ、どれだけ来るんだ?

 いくら矢を射っても減らないぞ。

 矢筒から、矢を取ろうとすると、空を握った。

 私は、後ろを見て、「おい、矢が無くなったぞ。補給部隊、何をしているんだ?」

 後ろの補給部隊が、「その矢筒で、最後だ。もうこの要塞には、矢は、残ってない」

 矢が無いだと。

 なら、これはもう必要がない。

 俺は、弓を捨て、短剣に持ち替えた。

 もうダメだな。

 だが、最後まで、抵抗する。

 そんなことを考えていたら、それは、突然現れた。

 俺達の前に、影が現れた。

 その影から、何かが現れた。

 現れた何かは、黒いドレスを着て、風に美しい金色の髪を靡かせている女だった。

 その女は、魔物達の方に手を伸ばした。

 そして、何かの魔法を唱えた。

 すると、空に、赤、いや、紅色の炎の塊が浮かび上がったのだ。

 それは、まるで紅色の太陽のようだった。

 その魔法は、魔物達のところに落ちた。

 そして、魔物達は、消し炭になった。

 俺達は、突然のことに唖然としていた。

 魔物を全滅させた女は、壁の方を向いた。

 その女は、この世のものとは、思えない程美人だった。

 そして、その女は、微笑んだ。

 俺達は、その女に、見惚れてしまった。

 [南側防衛部隊 槍兵視点]

 クソタッレ。

 いくら刺し殺しても湧いてくる。

 俺は、ふっと上を見ると、矢と魔法が飛んできてなかった。

 矢が尽きて、魔導士達は、魔力切れか。

 撤退の鐘が鳴った。

 俺達は、壁の方に向かって、全力で走った。

 不思議なことに、魔物達は、追いかけてこなかった。

 だが、俺達が、壁の中に入り、扉が閉まると、魔物達が攻撃を仕掛けてきた。

 俺達、槍兵は、壁の上から、壁を登ってきている魔物に攻撃していた。

 何とか防いでいるが、このままでは保たない。

 俺は、こんな状況なのに、何故か、上を向いた。

 そして、それは、突然空から現れた。

 壁の上に、人が飛んでいる。

 よく見てみると、飛んでいる人は、普通の人間では無かった。

 黒い軍服を着て、紫色の髪をおさげにして、頭からは、小さい2本の角を伸ばし、そして、悪魔の尻尾を生やしていた。

 あれは、悪魔か?

 その悪魔は、背中の羽で、空を飛んでいた。

 その悪魔は、魔物達の方に両手を伸ばした。

 そして、何かの魔法を唱えた。

 すると、地面が打ち上がり、魔物達を地面の染みにした。

 魔物達が、全滅すると、地面は、元に戻った。

 その悪魔は、俺達がいる壁の高さにのところまで降りてきた。

 「え、えっと、大丈夫でしたか?」と言い、悪魔は、首を少し傾け、聞いてきた。

 思っていた悪魔と違くて、俺達は、唖然としてしまった。

 [西側防衛部隊 神官視点]

 矢も尽き、魔法使いの魔力の尽きた。

 私達神官は、前線にいる部隊を撤退させるために、障壁を唱えた。

 私達神官が障壁を唱えると、前線にいた部隊が、撤退を開始した。

 ヤバイ、障壁が壊れた。

 直ぐに早直さなければ、撤退中の部隊が全滅する。

 そんな危機的状況なのに、何故か、私は、空を見た。

 空から、黒い影が迫って来ていた。

 増援の魔物かと思ったが、人型のサイズだった。

 それは、私達の上に飛んでいた。

 黒い軽鎧に身を包み、銀色の髪をツインテールにして、頭には、黒い天使の輪っかが浮かび上がり、背中には、黒い翼を持っていた。

 あ、あれは、堕天使。

 な、何故、堕天使がここにいる?

 そんな疑問を持ちながら、上を見ていると、その堕天使は、槍を魔物達の方に向け、何かの魔法を唱えた。

 空に、黒い球体が浮かんだ。

 その球体をよく見てみると、中からは、光が差し込んでいた。

 まるで、夜明けのようだった。

 その魔法は、影が、魔物達の体を縛り、光が、魔物達を浄化していた。

 あれ程いた魔物達は、堕天使の1回の魔法で、全滅した。

 堕天使は、私達の方を見て、安堵の表情を浮かべた。

 私は、討伐すべき対象なのに、何故か、討伐する気が起きなかった。

 [北側防衛部隊 騎士視点]

 私は、前線の兵士達に向かって、「耐えろ。ここを突破されたら、この要塞は、落ちてしまう」

 矢も尽き、魔導士も魔力切れだ。

 遠距離の攻撃手段を失った以上、後は、接近戦で片付けるしかない。

 だが、このままでは、ジリ貧だ。

 何か策はないか?

 策を模索していると、前線の兵士達と魔物達の間に、影が現れた。

 そして、影から、何かが現れた。

 何かを見た時、本能で感じた。

 絶対に敵わない相手だと。

 現れた何かは、黒、いや、漆黒の鎧と兜に身を包み、腰には、漆黒の大剣を2本携えていた。

 あ、あれは、何だ?

 驚いていると、何かは、右手を横に振った。

 すると、その何かの後ろに、影の魔物達が現れた。

 シャドーランサーに、シャドーアーチャーに、シャドーウォーリアに、シャドーアサシンだと。

 後は、見たことがない影の魔物だ。

 まるで、影の軍団だった。

 何かは、魔物達の方を指差した。

 すると、影の軍団は、魔物達に攻撃を始めた。

 戦いは、圧倒的だった。

 いや、戦いでは無い。

 ただの虐殺だった。

 全ての魔物達を倒すと、影の軍団は、消え、何かも消えた。

 しばらく、私達は、唖然としていた。


 
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