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第二十九話 闇の軍勢
しおりを挟む元弟が、行方不明になってから、1ヶ月が、経った。
未だに、元弟は、見つかっていない。
私は、そこまで気にせず、過ごしていた。
今は、セレリア達と一緒に、中庭の東屋で、お茶をしていた。
突然、空に、映像が浮かび上がった。
その映像には、黒、いや、闇に包まれた存在が、映し出されていた。
その存在は、「初めましてだな、人類よ。我は、闇と呼ばれた存在だ。今までは、ある場所に封印されていた。忌々しい神族の手によって」
「だが、我は、復活した。忌々しい神族の封印を解かせたのだ。愚かな人間を騙してな」と言い、その存在は、右手を上げた。
その右手には、劇的に痩せ細り、変わり果てた人間が握られていた。
あ、あれは、私の元弟か。
最後の最後まで、迷惑しかかけないな。
「この人間は、自分が王になる為に、自分の兄を後ろから刺し、殺した愚か者だ。確か、エアリアル王国の第2王子だったかな?」と言い、その存在は、元弟だったものを何処かに投げ捨てた。
「この世界では、忌々しい神族達は、手出しすることが出来ない。だから、ここに宣言する。お前達、人類を滅ぼすと」と言い、その存在は、右手を握った。
「そして、見よ、人類よ。これが、我の闇の軍団だ」と言い、後ろを親指で差した。
ある場所が映し出された。
その場所は、魔物で埋め尽くされている大地だった。
そして、空は、真っ黒な雲に覆われ、多数の魔物が飛んでいた。
中には、S級の魔物も混じっていた。
更には、ドラゴンまでもいた。
絶望の一言だ。
「どうだ、人類よ。絶望しただろう。だが、これだけでは無い。我が闇の軍団は」と、その存在が言うと、映像が切り替わった。
次に映った場所には、3人の人間では無い者達だ。
1人目は、頭から角を生やし、豪華な黒い服を着た男。
2人目は、頭に黒い天使の輪っかを浮かべせ、黒い翼を持つ男。
3人目は、頭から2本の角を生やし、黒い羽を持ち、悪魔の尻尾を生やした男。
1人目の男、魔族、いや、あの豪華な服は、普通の魔族では無いな。
魔王と堕天使と悪魔か。
確かに、闇の軍団だな。
これだけの存在と、これだけの魔物を集めたらな。
「こいつらは、私の部下達で、幹部の者達だ。そして、こいつらは、人類を滅ぼすことに賛同している同士でもある」と言い、その存在は、笑った。
「だから、人類よ。絶望しろ。お前達は、我から、蹂躙される運命にあるのだよ。だが、我は、心優しい。だから、猶予やろう。1ヶ月後に、闇の軍団を動かす。精々、束の間の日々を楽しんでくれ。人類よ。それでは」と、その存在が言うと、空に浮かび上がっていた映像は、途切れた。
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