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第三話 再会

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 あれから3ヶ月が経った。

 エーカは確実に実力をつけ、名声を稼いでいき、多くの者に歌姫と呼ばれようになっていった。

 なので、活動拠点を国境近くの街では無く、王都に移すことになった。

 私もエーカと一緒に王都に向かうことになった。

 王都までは風属性の魔法ではなく、馬車でだ。

 なので、結構時間が掛かった。

 2週間以上馬車を乗り継ぎ、王都に到着した。

 久し振りの王都だ。

 「主。打ち合わせがあるから、宿をお願い」

 「分かった、エーカ。気をつけて」

 「ん」

 エーカは頷いて、小さく手を振ってくれた。

 私は手を振り返し、馬車から降りた。

 王都に降り立った私は宿屋街を目指し、歩き始めた。

 約4ヶ月ぶりに来た王都は変わっていなかった。

 あいも変わらず、栄えている。

 そんな王都の街を歩きながら、良い宿が無いかと探していると、風呂付きの宿を見つけた。

 高そうな外観だが、風呂付きは外せないな。

 その宿に入り、受付に向かった。

 そこで、取り敢えず、1週間で2人部屋を頼んだ。

 「先払いですが、支払うことは可能ですか?」

 私は黙って、1週間分の料金を支払った。

 「これは失礼しました」

 受付の店員は頭を下げた。

 「こちらが、部屋の鍵で御座います」

 私は部屋の鍵を受け取り、部屋に向かった。

 鍵で扉を開け、部屋の中に入った。

 部屋は国境近くの街で泊まった部屋よりも断然良い部屋だった。

 凄いな。

 値段は少し高かったが、部屋に文句は無い。

 これなら、風呂と食事は期待できるな。

 宿に満足した私は宿を出て、エーカの元に向かった。

 私のことを知っているので、エーカの元に直ぐに案内された。

 不信感をいだかないように、エーカとは恋人関係という設定にしている。

 エーカは何故か、満更でも無さそうだった。

 何故なんだろう?
 
 そんなことを思いながら、歩いていると、エーカがいる部屋に到着した。

 部屋の中に入ると、黄緑色のドレスに身を包み、軽く化粧したエーカが椅子に座っていた。

 「エーカ。宿をとったから、教えに来たよ」

 「ん。ありがとう、タリー」

 私は取った宿を教え、エーカを邪魔をしない為に部屋を退室した。

 久し振りに王都を見て回るか。

 何か、良いものがあったら、エーカに買っていくか。

 そう考え、私は王都を見て回ることにした。

 見て回っていると、それなりに時間が経ち、夕方になっていた。

 そろそろ帰るかと思っていると、後ろから声が聞こえた。

 「もしかして、後輩君か?」

 私は声がした方を振り向くと、黒色の髪を肩まで伸ばし、黒色の瞳をした140cmぐらいの美少女がいたのだ。

 その美少女は王宮研究者の制服に身を包み、本を両手で抱いていた。

 「せ、先輩」

 「久し振り、後輩君。こんな偶然があるとは」

 先輩は嬉しそうに微笑んだ。

 「それで、後輩君は王都にいるんだ?」

 「少し用事があって」

 「用事?まぁ、それを含めて色々と聞きたいから、今から時間はあるかい?」

 「ありますよ。そうだ、この近くに宿をとっているので、そこで話しませんか?」

 「それはいい。じゃあ、後輩君。案内を頼む」

 彼女は私の1つ上の先輩で、今は王宮で魔物研究者をしている。

 私の王立学園時代でも、私のことを無能と呼ばず、接してくれた唯一の人だ。
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