20 / 333
故郷へ向かう旅
15 霧の森(2)
しおりを挟む
◆登場人物紹介(既出のみ)
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。完全獣化で黒狼の姿になれる。
・デビット…ワーレンの町冒険者ギルドマスター
・ジェス…冒険者。ミノタウロスに襲われたCランクパーティーの生き残り
・ザック…Bランク冒険者パーティーのリーダー
・リタ…Bランク冒険者パーティー剣士
・アンナ…Bランク冒険者パーティーの魔法使い
・ビリー…Bランク冒険者パーティーのメンバー。アンナの弟
==============================
ワーレンの町の冒険者ギルドで、ギルドマスターのデビットさんに一通りの報告をした。といっても、話をするのはリーダーのザックさんなので、私たちは同席していただけだけどね。
「その辺りにはダンジョンはなかったはずだ。だとすると、未発見のダンジョンか、もしくは新しいものか……」
「管理されていないダンジョンを見つけた場合には、王都のギルドに報告する義務がありますよね」
「そうだな。あの冒険者たちがあそこに行ったのは偶然なのか、それとも知っていて行ったのか……」
もう少しあのジェスという青年に聞いてみよう。そう言ってギルドマスターは自身の言葉に頷いた。
ザックさんから報酬の分け前を提示されたが、自分はわざわざ連れて行ってもらった身なのでお断りした。それならばと夕食をご馳走してもらう話になり、それは有り難く受ける事にした。
今日の夕食にと選んだ店は、色々な魔獣の肉が食べられるのが売りだそうだ。ビリーさんが横について、この魔獣の肉が柔らかいとか、これにはこのソースが合うとか、色々と教えてくれた。
「そういえば、リリアンは狼族と言ったな。黒狼族なのか?」
ザックさんは特にお酒に強いらしい。もう何杯目かのエールを傾けながら、ザックさんが聞いてきた。
「私は灰狼族です。ザックさんは狼族にも違いがあるのを知ってるんですね」
獣人はあまり自分たちのテリトリーから出てこないので、この国の獣人も多くはない。なので、獣人についての知識も、人間たちにはそこまでは一般的ではない。
「ああ、昼に話に出した獣人が黒狼族だったんだ。だから同族かと思ったのだが」
「私の一族の毛色はグレーです。だから私のこの毛色は異端なんです」
「なるほど、それで……」
「いいえ。私が群れを追い出されたのだと思ってるのでしたら、それは違います。私は鬼子とは扱われませんでした」
その一族とは異なった特徴を持った子供は、良くないものとされ迫害を受ける場合がある。ザックさんもそれを想像したのだろう。
「獣人の場合は、群れにそぐわない黒毛の仔が産まれると、それは神の御子として扱われます。私たち獣人の神は黒毛なんです」
皆が驚いた顔でこちらを見ているのに気づいて、慌てて否定した。
「勿論、私は御子とかじゃぁないですよー。なのに色々と周りがうざったくて……。あと私は群れに居るよりも世界を見たかったんです。だから成人前に故郷を出てきちゃいました」
妙な期待をされてしまったようで、なんだか気恥ずかしかった。
「なぁ、リリアン。俺たちは例のダンジョンの報告の為に王都に向かうんだ。もし君が王都に戻るのなら、俺たちと一緒に行かないか??」
ザックさんのそのお誘いに、胸が温かくなった。このパーティーはいいメンバーだ。皆、お兄さんやお姉さんの様に優しい。
でも……
「これから故郷に向かうんです。1年以上帰ってない、久しぶりの帰郷です。だから、ごめんなさい。でも誘って下さって、ありがとうございます」
そう言うと、リタさんが「残念ね」と言って頭を撫でてくれた。
「また会えたら、その時には一緒にクエストに行きましょう」
そう言ってくれる事も、とてもとても嬉しかった。
翌朝、獣人の国に向かう私を、皆さんが見送ってくれる事になった。
今回の宿代は冒険者ギルドが持ってくれるそうだ。ミノタウロス討伐の礼だと言ってくれたので、有り難くお願いする事にした。
別れ際、ビリーさんが何か言いたそうにしている気がしたが、アンナさんが「じゃぁ、気を付けて行ってらっしゃいね」と手を振ってくれたので、そのままの流れで手を振って町の門を出た。
気が付けば、ドワーフの国を出てからのモヤモヤした気持ちはすっかり晴れていた。その代わりに独りの旅がちょっと寂しく思えてしまった。
* * *
「なぁ、ザック兄貴……」
リリアンの後ろ姿が見えなくなり、ビリーが呟くように言った。
「獣人って、あんなに可愛かったっけ?」
そうビリーが言うのもわかる。今まで出会った獣人の冒険者も、俺の昔の恋人も、肉食系の獣人というのは総じてプライドが高く気が強いタイプだった。気高いという言葉が似合う。決してあんな可愛らしいイメージではなかった。
そのせいか最初は大失態にビクビクしていたビリーだが、徐々に彼女に惹かれていったのは見ていて少し微笑ましくも可笑しくも思えた。
しかし、あれほどビリーがアプローチしていたのに、彼女自身は何も気付いてもいなかったようだ。
「そういえば、王都に冒険者に人気の定食屋があるらしい。獣人が給仕をしているそうだが、それがえらく可愛らしいそうだ。しかも草食系でなく肉食系の獣人らしい」
草食系獣人が売り子や給仕をしているのは珍しくはない。しかし肉食系獣人が「客に媚を売る」ような仕事をするのは非常に珍しい。もちろん夜の仕事場は例外としてだが。
その話が本当なら、少しはビリーの慰めになるだろう。すがるような顔で俺を見るビリーの目が、好奇心で輝いた。
噂を聞いた時には半信半疑だったが、俺もちょっと見てみたくなった。もし、その店が噂通りではなかったら、夜の店にでも連れていってやるのもいいだろう。
久しぶりの恋心を気付いてすらもらえなかった可哀想な弟分の為に、ここはひと肌脱いでやろう。
==============================
(メモ)
リリアンの毛色(#2)
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。完全獣化で黒狼の姿になれる。
・デビット…ワーレンの町冒険者ギルドマスター
・ジェス…冒険者。ミノタウロスに襲われたCランクパーティーの生き残り
・ザック…Bランク冒険者パーティーのリーダー
・リタ…Bランク冒険者パーティー剣士
・アンナ…Bランク冒険者パーティーの魔法使い
・ビリー…Bランク冒険者パーティーのメンバー。アンナの弟
==============================
ワーレンの町の冒険者ギルドで、ギルドマスターのデビットさんに一通りの報告をした。といっても、話をするのはリーダーのザックさんなので、私たちは同席していただけだけどね。
「その辺りにはダンジョンはなかったはずだ。だとすると、未発見のダンジョンか、もしくは新しいものか……」
「管理されていないダンジョンを見つけた場合には、王都のギルドに報告する義務がありますよね」
「そうだな。あの冒険者たちがあそこに行ったのは偶然なのか、それとも知っていて行ったのか……」
もう少しあのジェスという青年に聞いてみよう。そう言ってギルドマスターは自身の言葉に頷いた。
ザックさんから報酬の分け前を提示されたが、自分はわざわざ連れて行ってもらった身なのでお断りした。それならばと夕食をご馳走してもらう話になり、それは有り難く受ける事にした。
今日の夕食にと選んだ店は、色々な魔獣の肉が食べられるのが売りだそうだ。ビリーさんが横について、この魔獣の肉が柔らかいとか、これにはこのソースが合うとか、色々と教えてくれた。
「そういえば、リリアンは狼族と言ったな。黒狼族なのか?」
ザックさんは特にお酒に強いらしい。もう何杯目かのエールを傾けながら、ザックさんが聞いてきた。
「私は灰狼族です。ザックさんは狼族にも違いがあるのを知ってるんですね」
獣人はあまり自分たちのテリトリーから出てこないので、この国の獣人も多くはない。なので、獣人についての知識も、人間たちにはそこまでは一般的ではない。
「ああ、昼に話に出した獣人が黒狼族だったんだ。だから同族かと思ったのだが」
「私の一族の毛色はグレーです。だから私のこの毛色は異端なんです」
「なるほど、それで……」
「いいえ。私が群れを追い出されたのだと思ってるのでしたら、それは違います。私は鬼子とは扱われませんでした」
その一族とは異なった特徴を持った子供は、良くないものとされ迫害を受ける場合がある。ザックさんもそれを想像したのだろう。
「獣人の場合は、群れにそぐわない黒毛の仔が産まれると、それは神の御子として扱われます。私たち獣人の神は黒毛なんです」
皆が驚いた顔でこちらを見ているのに気づいて、慌てて否定した。
「勿論、私は御子とかじゃぁないですよー。なのに色々と周りがうざったくて……。あと私は群れに居るよりも世界を見たかったんです。だから成人前に故郷を出てきちゃいました」
妙な期待をされてしまったようで、なんだか気恥ずかしかった。
「なぁ、リリアン。俺たちは例のダンジョンの報告の為に王都に向かうんだ。もし君が王都に戻るのなら、俺たちと一緒に行かないか??」
ザックさんのそのお誘いに、胸が温かくなった。このパーティーはいいメンバーだ。皆、お兄さんやお姉さんの様に優しい。
でも……
「これから故郷に向かうんです。1年以上帰ってない、久しぶりの帰郷です。だから、ごめんなさい。でも誘って下さって、ありがとうございます」
そう言うと、リタさんが「残念ね」と言って頭を撫でてくれた。
「また会えたら、その時には一緒にクエストに行きましょう」
そう言ってくれる事も、とてもとても嬉しかった。
翌朝、獣人の国に向かう私を、皆さんが見送ってくれる事になった。
今回の宿代は冒険者ギルドが持ってくれるそうだ。ミノタウロス討伐の礼だと言ってくれたので、有り難くお願いする事にした。
別れ際、ビリーさんが何か言いたそうにしている気がしたが、アンナさんが「じゃぁ、気を付けて行ってらっしゃいね」と手を振ってくれたので、そのままの流れで手を振って町の門を出た。
気が付けば、ドワーフの国を出てからのモヤモヤした気持ちはすっかり晴れていた。その代わりに独りの旅がちょっと寂しく思えてしまった。
* * *
「なぁ、ザック兄貴……」
リリアンの後ろ姿が見えなくなり、ビリーが呟くように言った。
「獣人って、あんなに可愛かったっけ?」
そうビリーが言うのもわかる。今まで出会った獣人の冒険者も、俺の昔の恋人も、肉食系の獣人というのは総じてプライドが高く気が強いタイプだった。気高いという言葉が似合う。決してあんな可愛らしいイメージではなかった。
そのせいか最初は大失態にビクビクしていたビリーだが、徐々に彼女に惹かれていったのは見ていて少し微笑ましくも可笑しくも思えた。
しかし、あれほどビリーがアプローチしていたのに、彼女自身は何も気付いてもいなかったようだ。
「そういえば、王都に冒険者に人気の定食屋があるらしい。獣人が給仕をしているそうだが、それがえらく可愛らしいそうだ。しかも草食系でなく肉食系の獣人らしい」
草食系獣人が売り子や給仕をしているのは珍しくはない。しかし肉食系獣人が「客に媚を売る」ような仕事をするのは非常に珍しい。もちろん夜の仕事場は例外としてだが。
その話が本当なら、少しはビリーの慰めになるだろう。すがるような顔で俺を見るビリーの目が、好奇心で輝いた。
噂を聞いた時には半信半疑だったが、俺もちょっと見てみたくなった。もし、その店が噂通りではなかったら、夜の店にでも連れていってやるのもいいだろう。
久しぶりの恋心を気付いてすらもらえなかった可哀想な弟分の為に、ここはひと肌脱いでやろう。
==============================
(メモ)
リリアンの毛色(#2)
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
巻き込まれたおばちゃん、召喚聖女ちゃんのお母さんになる
戌葉
ファンタジー
子育てが終わりこれからは自分の時間を楽しもうと思っていたある日、目の前で地面へと吸い込まれていく女子高生を助けようとして、自分も吸い込まれてしまった。
え?異世界?この子が聖女?
ちょっと、聖女ちゃんは普通の女の子なのよ?四六時中監視してたら聖女ちゃんの気が休まらないでしょう。部屋から出なさい!この国、いまいち信用できないわね。
でも、せっかく異世界に来たなら、新しいことに挑戦したい。まずは冒険者ね!
聖女召喚に巻き込まれたおばちゃんが、聖女ちゃんの世話を焼いたり、冒険者になってみたりする話。
理不尽に振り回される騎士様の話も。
「悪役令嬢と私の婚約破棄」と同じ世界です。
勇者(チート)に敗れた魔王(ロリ)は復讐を誓う。
葵依幸
ファンタジー
長きに渡る人間と魔族の戦いに終止符は打たれた。
城に乗り込んできた勇者達の手によって、魔王は敗北、辺境の地に飛ばされることとなる。
心身ともに深く傷を負った魔王は「見たこともない技術」を扱う国に戸惑いを浮かべるが、自分を解放してくれた少女が連れ去られ、再び魔王の名の下に狼煙を上げる。
【完結】ごめんなさい?もうしません?はあ?許すわけないでしょう?
kana
恋愛
17歳までにある人物によって何度も殺されては、人生を繰り返しているフィオナ・フォーライト公爵令嬢に憑依した私。
心が壊れてしまったフィオナの魂を自称神様が連れて行くことに。
その代わりに私が自由に動けることになると言われたけれどこのままでは今度は私が殺されるんじゃないの?
そんなのイ~ヤ~!
じゃあ殺されない為に何をする?
そんなの自分が強くなるしかないじゃん!
ある人物に出会う学院に入学するまでに強くなって返り討ちにしてやる!
☆設定ゆるゆるのご都合主義です。
☆誤字脱字の多い作者です。
娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。
「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。
元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・
しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・
怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。
そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」
シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。
下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記
皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952
小説家になろう カクヨムでも記載中です
英雄はのんびりと暮らしてみたい!!誤って幼児化した英雄は辺境貴族生活を謳歌する!
月冴桃桜
ファンタジー
史上最強の英雄は心底疲れていた。それでも心優しき英雄は人の頼みを断れない。例え、悪意ある者たちの身勝手な頼みだったとしても……。
さすがの英雄も決意する。……休みたいと……。
でも、自分が『最強』であり続ける限りは休めないと思い、《すべての力》を魔法石に移して、ある工夫で他人でも使えるようにしようと魔方陣を構築。大魔法を実行。
しかし、何故か幼児化してしまう。しかも、力はそのままに……。
焦るものの、ふとこのままでいいと思い、隠蔽魔法ですべてを隠蔽、証拠捏造。おそらく『自分の弟子』以外には見破れないと思う。
従魔と一緒に旅立つ準備中に屋敷を訪ねて来たとある辺境貴族。事情知った彼の辺境の領地で彼の子供として暮らすことに。
そこで幼児なのにチート級にやらかしていきーー!?
イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜
KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。
主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。
ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。
果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!
あなたの思い違いではありませんの?
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?!
「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」
お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。
婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。
転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!
ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位
2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位
2024/08/12……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる