勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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勇者と妖精と猫の生活

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ビリーの実家から帰って、翌日はビリーと一緒に計算していた分量の木材を城に注文した

それが整う間、とりあえず城に余っていた木材をもらい、湖に運搬した

ビリーとクロードも一緒に来ている

ビリーも最初は熊やら魔物やらに少しビビってたけど…カーくんもビビってたけど、すぐに仲良くなった

ビリーは自前の工具なんかも持ってきてくれていたが、オレはオレの工具が欲しかったから、それらも買いに行った

その際、ビリーに工具の選び方も教えてもらいながら買った

高い物はそれなりに品質も見た目も良いけど、それよりも耐久性と使いやすい形状の方が大事だと…

それを見極めるのは経験が要るから、ほとんどビリーに選んでもらった

その上、さらに使いやすくする為の改良もしてくれた

例えばヘラなんかは持ち手の柄の部分…木で出来てるんだけど、ビリーはその柄をいきなり外して、鉄板のみにしてしまった

たしかに柄がある方が持ちやすいし、力も入るんだけど、材料の下に差し込んでテコで持ち上げる時は邪魔になるし、ヘラの先で材料に刺し削る時は、ハンマーで柄尻を叩くから、ない方がいいということだ

そして、『腰袋』という、腰につける工具入れにしまうのも、薄いから楽だという

たしかに、そういう知恵は経験がないとわからないよな…

そして、ノコギリも折りたたみナイフみたいな形状の物を作ってくれた

これもすごくて、腰袋にしまって持ち歩けるから、いちいち作業場に持ち帰らなくても、現地で多少の加工が出来てしまう

ハンマーも片側を削って、尖らせてくれた

これも現地でちょっとした穴を空ける加工が必要だったりした時に、役に立つそうだ

案外、現地でないとわからない、予想つかない事も多いから、時短の為に臨機応変にその場で出来るのは大事だと言う

オレはそういう工夫に感動した

新しく知識が入るのは、オレにはとても面白い

ビリーが選んで改良してくれた工具は、オレの宝物になった

そうなると、それらを使って作業するのが嬉しいし、より楽しくなる

クロードは忙しいから、そんなには来れないけど、来れる時は来て手伝ってくれた

王様なのにw

だけどオレは、一日中作業に取り掛かる事は、今のところ出来なかった

なにしろ武術大会が控えてるから、一応午前中の数時間はブルースのところで修行をつけてもらうし、夕飯後にはノトスを見に行くし

ブルース「アレス…オレはもうアレスに教えられる事ないんだがw」
アレス「…そんな事言うなよ…」
ブルース「いや…アレスの進歩はすさまじすぎる…もう互角でもなくなってしまったではないかw…アレスに勝てる奴はきっともういないよ」
アレス「けど…やっぱりオレはここで修行するのが好きなんだ…ブルースが迷惑ならあれだけど…」
ブルース「迷惑なもんかw…嬉しいよ」
アレス「リーも少しは強くなったなw…門下生も少し増えたしな」
ブルース「うん…ありがたい事だ…ただ、もう少し広くしないと手狭になってきそうだ」
アレス「ああ~…かもなあ…けど、結婚も考えてるんだろ?」
ブルース「うん///…ああ、しかし…こんなオレみたいなので、ミンメイは幸せになれるだろうか…」
ミリア「大丈夫よ」
ブルース「…そうかい?」
ミリア「うん…それに、自信がないからっていうのはやらない理由にならないってお兄ちゃんは言うよ」
アレス「たしかにw」
ブルース「…全くそうだ…」
ミリア「ブルースはもっと笑顔を見せるといいのよ」
ブルース「笑顔…」
アレス「その通りだ」
ブルース「そっか…」
ミリア「そんで『ありがとう』と『ごめんなさい』を言う時にちゃんと言えればいいのよ」
アレス「おお~…全くもってその通りだ」
ブルース「…なるほど…ありがとうミリアさん!…すごく為になった」
アレス「まあさ…お前の無表情さはお前の個性かもしれないけどw…でもさ、お前だってミンメイが笑顔なら、安心しないか?…嬉しくないか?…その逆だって同じだよ…お前が笑顔を見せてくれたら、ミンメイだってそう思うよ」
ブルース「そうか…オレはそんな簡単な事が出来てないとは…」
アレス「それが簡単かどうかは人によるよ…お前はきっと今までそういう生き方じゃなかったから、そうなんだろ?…けど、他人と深く関わるなら、自分の考えや価値観だけ押し通すのは違うよ…自分を変えるのも、成長させるのも重要な事だよ」
ブルース「…なるほど…ありがとう…よーく心に刻むよ」
ミリア「ブルースはそれが出来れば優しいから大丈夫よ」
ブルース「ありがとう!…ミリアさん!」

ブルースはこんなふうに、『ミリアさん』と呼ぶ

ミリアは見た目が少女だから、みんな子ども扱いする

オレもそうかもしれない

ミリアもそんなことは全然気にしてないみたい

だけど、ミリアを尊重してくれるのはオレ的にはすごく嬉しい

アレス「ねえ、ミリアはさ」
ミリア「う?」
アレス「ブルースみたいに丁寧に話されたら嬉しい?」
ミリア「…?…どっちでもいいのよ?…気にしてないww」
アレス「ブフww」
ミリア「あ、でもねぇ」
アレス「うん?」
ミリア「お兄ちゃんに偉そうにするのは嫌いよ」
アレス「…ああもう、なんてかわいいんだよぅ…ギュゥ…ナデナデナデナデ」
ミリア「ぶわぁw…グリグリ」

全くもって、かわいさに隙がない

ミリアは少し内股なんだけど、そのおかげで、ただ立ってるだけでもかわいいのだ

なんていうか、ささいな事かもしれないけど、つま先が外側に向いてる人は結構いる

男ならそれでもまあ…気にはならないが、女がそうだと失礼だとは思うけど、それだけで魅力がガクッと下がる

あと、歩いてる時の腕の振りも、腕を斜めにして振ってるのはガッカリする

なんというか…下品に感じてしまう

その点で言えば、サラはすごく良かった

座り姿も、背筋がピンと伸びていて、両手を太腿の上にそっと重ねていて、それが美しい

リンゼイたちとメシ食った時も、『礼儀やマナーがわからない』と言っていたけど、サラの所作振る舞いは謙虚なのに優雅で、貴族の女よりも高貴に感じた

その上、内面も優しく謙虚で、善良なのだ

だからオレは、サラが本当は男と知っていても、女にしか見えなかったし、恋愛経験の乏しいであろうグエンが、サラを愛するのも時間の問題だと思う
 
ノトスも二週間ほど、ダメージ訓練を続けていると、すっかりみちがえた

最初は恐怖で目を瞑って、亀のように身を縮こまらせていたノトスだが、今ではオレの攻撃をしっかり見つめて、覚悟出来ている

痛みに慣れた上に、覚悟も出来ているから、腕が折れても動じなくなった

アレス「ノトス…よく耐えたなあ」
ノトス「えへへ///…痛いは痛いけど、『ああこれね…うんうん』って感じw」
ミリア「ゲラゲラ(* ≧▽≦)ノ=3」
アレス「ブフw…わかるそれw」
エウレカ「そ、そうなのお?…見てるオレは全然慣れないよ…」
アレス「お前もやる?…ダメージ訓練」
エウレカ「ぜっっったいに無理!!」
ノトス「あはははw」
アレス「よし…もうね、これだけでノトスはすんごい強いはずだよ…恐れがなくなると、ズバッと行けるようになるし、かえってくらわなくなる」
ノトス「それ…ほんとそうだと思った…会社の連中と組み手しても、なんか…相手の動きがゆっくりに感じるの…だから必要最低限のかわし方が出来る感じ」
エウレカ「へぇぇ!!…カッコいい~///」
アレス「そうだろ?w…その分、動きが少ないから体力も減らないし、大きく動かないことでバランスも崩れにくいし、すぐさま反撃に移れるし…ノトスは元々強いし、技術は問題ないからさ…なんつうの?…自分の今持ってる技術を、冷静に判断して生かす感じ?…それが以前より格段に出来てくるはずだよ」
エウレカ「すごい…良い事の連鎖だね」
アレス「そりゃそうだよw…それだけノトスは辛さ、苦しさに耐えたんだ…それと引き換えなんだからさ…」
エウレカ「そっか…そうだよね…」
ノトス「ほんと…わたし、自惚れるわけじゃないけど…もう他のドラゴンには負ける気がしないわ」
アレス「実際にそうだと思うよ?…だからまあ、ダメージ訓練は今日で一旦終わりにする」
ノトス「おー!…やった!!」
アレス「ただ、週に一度はやる…その感覚がなくなったらもったいないからな」
ノトス「わかった!…わかりました!」
エウレカ「だけどさ…せっかく強くなってさ…それなのに次優勝したら引退するってなんか…もったいない感じ…ノトスちゃんの人生だからさ、そんな決めることないよ?…その…結婚はするけどさ///…子どもはまだ先でいいし…ノトスちゃんが幸せな道を選ぶんでいいからね」
ノトス「ありがとう、エウレカさん…すごく嬉しい言葉だわ…ウル…でもね、いいのよ…わたしのケジメなんだもの…わたしはエウレカさんの良い妻の道を、次は頑張るの///」
エウレカ「ノトスちゃん///…嬉しいよ」
アレス(良かったな…オレも嬉しいよ)
ミリア「仲良しね」
エウレカ「へへ///…アレス…」
アレス「ん?」
エウレカ「あのさ…二龍で話して決めたんだけどね…ノトスちゃんの大会が終わったらね…結婚しようと思ってるのね」
アレス「うんうん」
エウレカ「でね…その…オレたちはね、親しい人たちだけで結婚式をしたいと思ってるんだけどね…そうもいかないんだよ…オレもノトスちゃんも、会社の龍が大勢集まるからさ…」
アレス「ああ~…偉いもんな、エウレカ」
エウレカ「偉くはないけど///…でさ、そんな大勢の落ち着かない結婚式…をやる前にね?」
アレス「うん」
エウレカ「内緒でさ…オレとノトスちゃんの家族と、アレスとミリアちゃんだけで、先に小さな…でも本当の結婚式をしようかってね…」
アレス「バレないのか?…それ」
エウレカ「だからさ、外国でやるつもりなんだよ…」
アレス「…いや…嬉しいけどさ…そんなふうに気を遣ってくれて、そりゃ嬉しいけどさ…だけど、会社の連中からしたらさ…お前たちの事を心から祝ってくれる龍だっていくらかはいると思うぜ?…その龍からしたら、本番じゃない結婚式っていうのは失礼じゃねえか?」
エウレカ「…そう…だね…」
ノトス「そっか…」
アレス「いや、きっとさ…会社のお偉いさんの式だからって義務感で来る方が多いと思うよ?…それでもエウレカは良い奴だからさ、部下とかはちゃんと心を込めてくれると思うんだわ…その心をないがしろにするのはさ…オレはさせられないし、させたくもない…優しいエウレカにはね」
エウレカ「…グス…アレスぅ…ヒック」
ノトス「…ウル」
アレス「だからさw…こういうのはどう?」
エウレカ「…へ?」
アレス「お前たちにはオレは神様みたいなモンなんだろ?」
エウレカ「う、うん」
アレス「だからまあ、ここで、この家でさ…この家じゃなくてもエウロスさんちでもいいけどさ…」
エウレカ「うん」
アレス「みんなで小さくなって、家の中で、オレたち人間式の結婚式をさ…オレが神父やるから、やらねえか?…で、後でも先でもいいから、その会社ぐるみの結婚式はそれはそれで、本気でやれよ」
エウレカ「いいの?!…そうしてくれたらすごく嬉しいよ!!」
ノトス「本当に?!」
アレス「うん…オレの友達の王様の家来に枢機卿とか神官てのもいるからさ…ちゃんと習ってくるからw…な?…それなら人間式も本物だし、ドラゴン式も本物だろ?」
エウレカ「うん!!…ギュ!」
ノトス「ありがとう!!…ほんと…アレスさんの友情は深いわ…」
エウレカ「うん…グス…どう報いればいいんだろう…」
アレス「気にするなよ…親友」
エウレカ「うっ…グス…ヒック…」
ミリア「まーた泣いちゃった」
ノトス「うふふふw…ウル」

そうして、エウレカが泣き止むのを待って、それから帰った
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