勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

文字の大きさ
上 下
177 / 236
勇者と妖精と猫の生活

11

しおりを挟む
アレス「エイミ、ここに座りな?」
エイミ「…え?///」
アレス「ほら、おいで」

エイミは顔を赤くしながら、オレの膝に座った

アレス「…ギュ…ほら、大丈夫って気がしてきたろ?」
エイミ「…うん!///」
アレス「よーしよしよし…ナデナデナデナデ」
エイミ「…グス…」
アレス「辛い時は泣いていいんだよ…ナデナデナデナデ」
エイミ「うう~…うわぁ~ん!…ギュゥ」

オレはエイミの気が済むまで撫で続け、しばらくすると、エイミは泣き止んで、顔を上げた

エイミ「ヒック…アレス様…ヒック…ありがと…」
アレス「友達なら当たり前だよw」
エイミ「わたし…ヒック…なんだか…楽しくなってきたw…ヒック」
アレス「そうだろ?w…今日はさ…」
エイミ「う、うん」
アレス「魔法の事なんかもう忘れて、一緒に遊ぼうね」
エイミ「…いいの?」
アレス「いいのいいのw…ここにはほら、いっぱい木もあるし、工具もたくさんあるだろ?」
エイミ「うん!」
アレス「だからさ、エイミの『箱』を作ろうよ…これから」
エイミ「箱?」
アレス「そう…そんでその箱はエイミだけの宝箱にしてさ、大事な物を入れるんだよ」
エイミ「大事なもの…」
アレス「そう…ミリア、大切な物入れを見せてあげて?」
ミリア「おー٩(*❛⊰❛)۶…待ってね…持ってくる!」

ミリアは小さくなってバスケットに転移し、すぐに帰ってきた

ボスもついでに連れて来た

エイミ「す、すごい…今の魔法?」
ミリア「そうなのよ…ほらコレ」

ミリアは『大切な物入れ』をエイミに見せた

エイミ「…これ、大切なの?」
ミリア「そうよ」
ビリー「あっ!…前にオレがあげたスパナも入ってるw」
ミリア「うん!」
アレス「エイミ、これはミリア以外から見たら、ミリアには悪いけど、ただのガラクタに見えるよね?…ミリアごめんね」
ミリア「いいのよ」
エイミ「う、うん」
アレス「でもこの一つ一つに、ミリアしかわからない『思い出』があるの…ミリアの宝物は、この物の価値じゃなくて、この物に詰まった『思い出』なんだよ」
エイミ「そっかぁ!」
アレス「そうw…それにね、ここに入ってるスパナ…コレね?…さっきビリーがオレがあげたやつって言ったじゃん?」
エイミ「うん」
アレス「きっとビリーはこれを見て、嬉しかったと思うよ…違う?」
ビリー「違わない…すごく嬉しくて泣きそうになった…」
アレス「ほらねw…そうやって、誰かを幸せにも出来る宝物なんだよ」
エイミ「おお…」
アレス「それはお金や宝石なんかよりもずっとキレイだと思うんだ、オレは」
ビリー「…そうだね」
エイミ「そう思う…」
アレス「エイミもそういう宝物を入れる箱…欲しくない?」
エイミ「欲しい!」
アレス「じゃあ、今日は一緒にそれを作ろうよ」
エイミ「うん!!」
ミリア「アタシも作る~」
アレス「うん、作ろう」
ビリー「優しいなぁ…」
アレス「でも、エイミ、その前にごはん食べちゃおう…まだ残ってるから」
エイミ「うん!」
ビリー「アレスさん、絶対いいパパになれるよ」
アレス「そうお?w」
エイミ「うんw」

メシを食べ終わり、みんなで食器を厨房に返してから、工房を借りて箱を作る作業を始めた

まずは簡単な設計図をオレが書いて、その間にミリアとエイミには、箱のフタに彫る絵を描かせた

エイミ「わぁぁ///…ミリア様、すごく上手!!…かわい~!…それはボス?」
ミリア「うん!…ボスともう一つホイミンを描くの」
エイミ「ホイミン…ホイミンて魔物でしょ?」
ミリア「そうよ」
エイミ「ホイミンは優しい魔物って聞いたの…ほんと?」
ミリア「ほんとよ…ホイミンはみんな優しいのよ」
エイミ「ふぅん…魔物なのに」
ミリア「魔物だから優しくないって事ないのよ…そんな事言ったら、人間はみんな優しいって言うのと一緒よ」
ビリー「…ああ…そっか…」
エイミ「どういうこと?」
ミリア「人間は優しい人ばっかじゃないもん…死んだ方がいいのもたくさんいる…人間より獣の魔物とかの方がそういうの少ないのよ」
ビリー「そうなのかい?」
ミリア「そうよ…悪い奴は悪いし、良い奴は良いのよ…人間とか魔物とか、そんなの関係ない」
アレス「ほんと、その通りだよ…外見ばっかりじゃなくて、心を見ろって事だよね」
ミリア「そうそうw…それが言いたかった///」
エイミ「そっかぁ…」
ミリア「でも、心がピカピカだと見た目も良いのよ」
ビリー「そうかねぇ?」
アレス「そうだよw…なんつうかさ、美女が二人いて、片方は意地悪、片方は優しい女だったら、同じくらいの美女でも、美しさは違うぜ…そうだな、お前、魔法使いちゃんと僧侶ちゃんを見たことあるか?」
ビリー「ああ、うん」
アレス「二人ともかわいいし良い心を持ってるけど、魔法使いちゃんの方がキビキビしてて、僧侶ちゃんは礼儀正しくておっとりしてるじゃん…そういうの外見に出てるじゃん」
ビリー「たーしかにw」
アレス「そういう違いさ」
ビリー「そうか…つまり、心のありようが外見に出るって事か」
ミリア「そうそう!」
エイミ「ミリア様、ホイミン見せて?」
ミリア「はい!」
エイミ「ええ~!…ホイミンてこんなかわいいの?」
ミリア「そうよ~」
エイミ「…わたし何にしよう…」
ミリア「エイミちゃんの大切なものの絵を描くといいのよ」

エイミは考えて、両親の絵を描いた

それは決して上手ではないけど、心のこもった良い絵だった

ミリアのボスとホイミンは本当にかわいかった

オレも欲しいと思うくらい

オレは設計図を元に、板を切る寸法を測り、線を引いて、エイミとミリアにノコギリの使い方を教えて切らせた

全部の部品を切り出すのは子どもには大変だ

エイミ「ハァ…ハァ…腕痛いw」
アレス「初めてだもんなw…ミリア、シエナ水持ってる?」
ミリア「おー!…ちょっと待ってね……はい!…これをちょっとだけ飲むといいのよ!…ほんとにちょっとだけ」
エイミ「う、うん…コク…おお~!…すごい、疲れがなくなったよ!」
ビリー「マジで?!」
ミリア「ビリーもちょっと飲んでみる?」
ビリー「うん…いい?」
ミリア「いいのよ」
ビリー「…ゴク…うわ!…すごい美味しい…ほんとw…めちゃくちゃ元気になったww…すごいww」
ミリア「すごいでしょw」
アレス「勇者様の特別な回復薬だよ」
エイミ「すごいすごい!…だけど、今日だけじゃ終わらないよ…」
アレス「終わるまで毎日来てやろうよ…オレが手伝ってもいいけど、自分で全部やった方が感動するからさ」
エイミ「でも、授業休んでもいいのかな…」
アレス「オレがいいって言ってるからいいんだよw…先生には言っといてやる」
エイミ「…うん!」
アレス「おうちには何時くらいに帰る?」
エイミ「5時くらい」
アレス「じゃあ4時半までやって、それから帰ろっかw…送ってくからね」
エイミ「うん!」
アレス「で、明日の昼前にまた来て、また料理しよう」
エイミ「うん!…やったー!」

そのまま作業を続けてくと、魔法使いちゃんが様子をを見に来た

オレは、『しばらく預かる』と言って、魔法使いちゃんはまた戻っていった

午後4時

アレス「よし、今日はここまでにして、後片付けしよっか!」
エイミ「ええ~」
アレス「ダ~メw…ここはビリーおじさんの仕事場だからね、お片付けはちゃんとするの」
エイミ「はーい」
ミリア「はーい٩(*❛⊰❛)۶」
ビリー「ビリーおじさん…」
アレス「わりぃw」
ビリー「いや…いいけどw」

切って出た端材をゴミ箱に入れ、木屑をほうきではいて、工具をかたして、キレイに片付け終わると、ちょうどエイミの帰る時間になった

オレとミリアとボスで、エイミを家に送る

その道中、エイミはオレの手を握って、照れながら笑っていた

両脇に少女、肩に猫を乗せて歩くオレは相当目立ってただろう

エイミ「パパの事は大好きだけど、アレス様もパパなら嬉しいのに」
アレス「はははw…でも、まだエイミくらいの歳の子のパパになるほどの歳じゃないよ~」
エイミ「アレス様はいくつ?」
アレス「今ね、26歳」
ミリア「お兄ちゃん、26歳になったの?」
アレス「そうそうw…気付いた時にはもう誕生日過ぎてたw」
エイミ「え~…わたし忘れないよ?…プレゼント貰えるもん」
アレス「あ、そっか~w…オレは貰えないからなあw」
エイミ「そうなの?」
ミリア「あげるのよ?」
アレス「そうお?…そしたらさ…カーくんたちと、ボスの絵を描いて、オレにちょうだい?」
ミリア「そんなのでいいの?」
アレス「うんw…ミリアの描く絵がかわいくて好きなんだよ」
エイミ「ほんとかわいい」
ミリア「よーし٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「じゃあ、オレは明日はその絵を入れる額を作ろうかな」
エイミ「アレス様…ほんとに明日も授業はいいの?」
アレス「うん…明日は朝の10時くらいにビリーおじさんのあの部屋においで?」
エイミ「うん!」

帰りはクロードの部屋に置いたバスケットに転移した

ミリア「箱楽しみなのよw」
アレス「ははw…ミリアの新しい宝箱だね」
ミリア「うん!…今の大事な物入れはもういっぱいなのよ」
アレス「そんだけ大事なものがあるのは幸せだね」
ミリア「うん!」
アレス「ボッちゃん、今日はあんま外行けなくてごめんね」
ボス「ん?…いいよ~別に…あの部屋でたくさん遊んで楽しかった」
アレス「あ、そうなのかw…おいで」
ボス「うん!」
アレス「よーしよしよし…ナデナデナデナデ」
ボス「気持ちい、大好き」
ミリア「お兄ちゃんも大変だねぇ…」
アレス「なにが?」
ミリア「だって、いっつも誰かの面倒見てるのよ」
アレス「ああ…そうお?…まあ、たしかに今回エイミを助けるのは全然思ってなかったw」
ミリア「そんなこと言ったらいつもそうだよ?」
アレス「…たしかにΣ(゚д゚υ)…助ける予定とかあるわけねえww…エイミの事知りもしないのに、『エイミを助ける予定だからクロードちゃんとこ行こう』とかなるはずねえww」
ミリア「ゲラゲラ(* ≧▽≦)ノ=3」
アレス「まあ、いいじゃんw…オレはそれが面白いよ」
ミリア「そうなのねw…アタシも誰かの面倒見たり、助けたりするお兄ちゃんが好き」
アレス「カッコいい?」
ミリア「カッコいいし、優しい」
アレス「やったねw…ギュ」

少しすると、クロードが部屋に戻ってきた気配を感じたから、バスケットを出た

クロード「おや、おかえりw…お風呂に入ってたよ」

ボスはオレの腕から降りて、ベッドに座ったクロードの足に乗った

ボスって猫のわりに甘えん坊だよな

しかも野良猫だったのにw

クロード「ボッちゃんよしよし…ナデナデナデナデ」
アレス「クロード、昨日ミリアと書いたとこまで読ませてよ」
クロード「ああ、その机の上にあるよ」
アレス「ありがと」
ミリア「クロードちゃん、また書こうよ」
クロード「うんw…そうしようか」

ミリアはまたクロードと一緒に本を書き始めた

オレはボスを撫でながら、初めから読み返してみることにした

クロードが寝る時間までそうして、風呂入って、眠りについた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

男女貞操逆転世界で、自己肯定感低めのお人好し男が、自分も周りも幸せにするお話

カムラ
ファンタジー
※下の方に感想を送る際の注意事項などがございます! お気に入り登録は積極的にしていただけると嬉しいです! ーーーーーーーーーーーーーーーーーー あらすじ    学生時代、冤罪によってセクハラの罪を着せられ、肩身の狭い人生を送ってきた30歳の男、大野真人(おおのまさと)。  ある日仕事を終え、1人暮らしのアパートに戻り眠りについた。  そこで不思議な夢を見たと思ったら、目を覚ますと全く知らない場所だった。  混乱していると部屋の扉が開き、そこには目を見張るほどの美女がいて…!?  これは自己肯定感が低いお人好し男が、転生した男女貞操逆転世界で幸せになるお話。 ※本番はまぁまぁ先ですが、#6くらいから結構Hな描写が増えます。 割とガッツリ性描写は書いてますので、苦手な方は気をつけて! ♡つきの話は性描写ありです! ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 誤字報告、明らかな矛盾点、良かったよ!、続きが気になる! みたいな感想は大歓迎です! どんどん送ってください! 逆に、否定的な感想は書かないようにお願いします。 受け取り手によって変わりそうな箇所などは報告しなくて大丈夫です!(言い回しとか、言葉の意味の違いとか) 作者のモチベを上げてくれるような感想お待ちしております!

処理中です...