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タマタマ
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翌日、結構早い時間にメリルは長男君を連れて王城からやって来た。
まあ、大勢の騎士さん達がぞろぞろと馬車の周囲を警戒していた事に、何か怖い予感もしたんだけれども、王族ならこれが普通らしい。
普段は俺達が一緒だから、その必要も無いと思われてたそうだけど、今回は王家の血をひく赤ちゃんも一緒だからと、特に陛下が念入りに護衛を増員させたとか。
馬車2台が余裕ですれ違えるほどの道幅を騎士さん達が埋め尽くす警護って、幾らなんでもやりすぎだと思いますけど。
そんな大勢の護衛に周囲を固められた馬車から降りたメリルは、父さんの邸の応接室で、アルテアン家勢揃いでお茶を飲んでいた。
しばらく無言でお茶を飲んでいたメリルだが、どうやら落ち着いたらしく、大きなため息を吐きながら愚痴を吐いた。
「お父さまが孫可愛さにこちらまで付いて来ると五月蠅かったので、尻を蹴っ飛ばしてきました。爺馬鹿もいい加減にして欲しいですわ!」
母となったメリルは、最近かなり強くなった様です。
そんなメリルを他の嫁ーずが、『まぁまぁ』と宥めすかし、漸く落ち着いた所で、昨晩のエド君に関する考察を話して来かえる事となったのだ。
「なるほど、その様な事情だったんですね」
俺の話を、黙って一通り聞いていたメリルだったが、
「でも不思議ですわねぇ。トールさまの前世では、ほとんどの方がお住いの星の名前をご存知だったのですわよね?」
少し考えた後、何かに気付いた様に俺に問いかけて来た。
「まあ、地球って言葉は、小学生…えっと、6歳ぐらいだったら、大体知ってると思うけど…どうして?」
「いえ、そこがどうしても引っかかるのです。前世では大人であったエドワード君が、それを知らなかったというのは、かなりおかしいのではないでしょうか?」
まあ、そこは俺もおかしいと感じたな。
「そして、トールさまの前世の名前に聞き覚えがある…と?」
「うん、確かにそう返事をしたはず」
それは間違いないと思うよ?
「う~~~ん…………」
「どうした、メリル?」
何をそこまで考え込んでるんだ?
「いえ、ナディアさんの的確な質問には驚かされました。まさか身体は男性でも魂が女性だったなんて、私がその場に居たとしても、考えもつきませんでした」
うん、確かにあれはナイスな質問だった。
そのおかげで色々と考える事が出来たしね。
「前世の記憶を持って転生すると、赤子の内に光る事があるという点に気が付いたのも、性別が時折変わっている事に気が付いた点も、流石はナディアさんです」
…俺じゃ考えつかなかったかもね…。
「そして、あの虹色の玉との関連性について注目したのも、素晴らしいの一言です」
ナディア、喜べ! メリルがお前の鋭い着眼点を絶賛してるぞ!
「しかし、根本的な部分を見落としていますね」
「えっ?」
「エドワード君の前世は…人なんでしょうか?」
メリルの衝撃的なこの発言に、居合わせた全員が、
『あっ!』
そう声をあげずには居られなかった。
「トールさまは、先程幼い子供でも住んでいる星が地球という名前で呼ばれている事を知っていると言われました。ならばトールさまの前世の名前を知っているというエドワード様の前世は、まずトールさまの前世と同じ国かと。で、あれば…尚更成人しているのに、星の名前を知らないという事は無いのではないでしょうか?」
「う、うん…」
「そうすると、星の名前を知らない大人…トールさまの周囲で、そんな方は前世でいらっしゃいましたか?」
「居なかったと思う…」
「ですよね。そうなると、星の名前など関係ない生活をしていた方…。そしてトールさまの前世に近しい存在…。それって、人では無いのではないでしょうか?」
その可能性は、完全に頭から抜けとったわ!
「もしかすると、エドワード君の中に入り込んだのは人ではない何か…まあ、可能性としては、トールさまの前世での飼育されていた動物か?」
飼育していた動物って事は、ペット?
前世は男だったって事は、オスのペットって事だよな。
しかも成人しているって事は、動物なら生後数年もすれば子供を産んだりできるって事だから…ちょと待てよ?
前世で関わった事があるはずの個人の名前は何故か思い出せないんだけど、今不意にとあるペットの名前を思い出したぞ?
それはオスの茶トラの猫で、名前はプチ。
俺の元に来た時は、本当に小さな猫だったんで、プチって名付けたんだ。
家に来て手術可能なまで成長して、すぐに去勢手術してからは、ホルモンバランスが崩れたからか知らないけれど、どんどん太りまくって、立派なデブ猫になった。
最終的には、体重は10kg近くにまでなってた。
20年近く生きたけど、最後は老衰で天に召されたプチ…通称プッちゃん。
愛称の方が長いって、どうよ?
確かにタマタマは取っちゃったけど、性別は変更してない。
ちょい下品だけど、ニューハーフさんなら、竿有り玉無しって事かな?
それに、言われてみたら当たり前のことだけど、猫に地球なんて分かるはず無い。
おいおい…、これって、もしかしたらもしかするのか?
「まさか…エド君…いや、お前…プッちゃんなのか?」
「にゃ~ぅ」
まあ、大勢の騎士さん達がぞろぞろと馬車の周囲を警戒していた事に、何か怖い予感もしたんだけれども、王族ならこれが普通らしい。
普段は俺達が一緒だから、その必要も無いと思われてたそうだけど、今回は王家の血をひく赤ちゃんも一緒だからと、特に陛下が念入りに護衛を増員させたとか。
馬車2台が余裕ですれ違えるほどの道幅を騎士さん達が埋め尽くす警護って、幾らなんでもやりすぎだと思いますけど。
そんな大勢の護衛に周囲を固められた馬車から降りたメリルは、父さんの邸の応接室で、アルテアン家勢揃いでお茶を飲んでいた。
しばらく無言でお茶を飲んでいたメリルだが、どうやら落ち着いたらしく、大きなため息を吐きながら愚痴を吐いた。
「お父さまが孫可愛さにこちらまで付いて来ると五月蠅かったので、尻を蹴っ飛ばしてきました。爺馬鹿もいい加減にして欲しいですわ!」
母となったメリルは、最近かなり強くなった様です。
そんなメリルを他の嫁ーずが、『まぁまぁ』と宥めすかし、漸く落ち着いた所で、昨晩のエド君に関する考察を話して来かえる事となったのだ。
「なるほど、その様な事情だったんですね」
俺の話を、黙って一通り聞いていたメリルだったが、
「でも不思議ですわねぇ。トールさまの前世では、ほとんどの方がお住いの星の名前をご存知だったのですわよね?」
少し考えた後、何かに気付いた様に俺に問いかけて来た。
「まあ、地球って言葉は、小学生…えっと、6歳ぐらいだったら、大体知ってると思うけど…どうして?」
「いえ、そこがどうしても引っかかるのです。前世では大人であったエドワード君が、それを知らなかったというのは、かなりおかしいのではないでしょうか?」
まあ、そこは俺もおかしいと感じたな。
「そして、トールさまの前世の名前に聞き覚えがある…と?」
「うん、確かにそう返事をしたはず」
それは間違いないと思うよ?
「う~~~ん…………」
「どうした、メリル?」
何をそこまで考え込んでるんだ?
「いえ、ナディアさんの的確な質問には驚かされました。まさか身体は男性でも魂が女性だったなんて、私がその場に居たとしても、考えもつきませんでした」
うん、確かにあれはナイスな質問だった。
そのおかげで色々と考える事が出来たしね。
「前世の記憶を持って転生すると、赤子の内に光る事があるという点に気が付いたのも、性別が時折変わっている事に気が付いた点も、流石はナディアさんです」
…俺じゃ考えつかなかったかもね…。
「そして、あの虹色の玉との関連性について注目したのも、素晴らしいの一言です」
ナディア、喜べ! メリルがお前の鋭い着眼点を絶賛してるぞ!
「しかし、根本的な部分を見落としていますね」
「えっ?」
「エドワード君の前世は…人なんでしょうか?」
メリルの衝撃的なこの発言に、居合わせた全員が、
『あっ!』
そう声をあげずには居られなかった。
「トールさまは、先程幼い子供でも住んでいる星が地球という名前で呼ばれている事を知っていると言われました。ならばトールさまの前世の名前を知っているというエドワード様の前世は、まずトールさまの前世と同じ国かと。で、あれば…尚更成人しているのに、星の名前を知らないという事は無いのではないでしょうか?」
「う、うん…」
「そうすると、星の名前を知らない大人…トールさまの周囲で、そんな方は前世でいらっしゃいましたか?」
「居なかったと思う…」
「ですよね。そうなると、星の名前など関係ない生活をしていた方…。そしてトールさまの前世に近しい存在…。それって、人では無いのではないでしょうか?」
その可能性は、完全に頭から抜けとったわ!
「もしかすると、エドワード君の中に入り込んだのは人ではない何か…まあ、可能性としては、トールさまの前世での飼育されていた動物か?」
飼育していた動物って事は、ペット?
前世は男だったって事は、オスのペットって事だよな。
しかも成人しているって事は、動物なら生後数年もすれば子供を産んだりできるって事だから…ちょと待てよ?
前世で関わった事があるはずの個人の名前は何故か思い出せないんだけど、今不意にとあるペットの名前を思い出したぞ?
それはオスの茶トラの猫で、名前はプチ。
俺の元に来た時は、本当に小さな猫だったんで、プチって名付けたんだ。
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それに、言われてみたら当たり前のことだけど、猫に地球なんて分かるはず無い。
おいおい…、これって、もしかしたらもしかするのか?
「まさか…エド君…いや、お前…プッちゃんなのか?」
「にゃ~ぅ」
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