1,345 / 1,457
こんばんわ
しおりを挟む
夕食の席は、エド君に関して謎が謎を呼んでいる状況としては、意外なほどに賑やかだった。
何故なら、急遽父さんが雇い入れる事になった乳母さんが同席したからだ。
これは彼女に余計な不安を与えない為に、出来る限り普通通りにしようという、母さんの深い考えによるものだった。
狙い通り、オシンという乳母さん(フルネームは聞いた気もするけど忘れた)は、終始笑顔だった。
元々どこぞの貴族家の使用人をしていたらしく、結婚&出産を機に退職していたそうで、礼儀作法も家事関係もばっちりらしい。
よくもまあ、こんなに早く乳母となる女性を見つけて連れてきたもんだ。
ちなみにオシンというと、どうしてもNHKの大ヒット連続テレビ小説を思い出すのは、俺が昭和も生きた男だからだろうか?
いや…まぁ、全く発音が違うんだけど…。
そのオシンさんだが、生後10カ月の男の赤ちゃんを抱っこしている。
まあ、母乳が出るんだから赤ちゃんがいても不思議じゃない。
旦那さんの同意を得て、今日から泊まり込みでエド君の面倒を見てくれるそうだ。
さすがに乳母さんを一人だけってわけにも行かないので、引き続き乳母となってくれる人を探しているんだって。
少なくとも3人は雇いたいって言ってたから、あと2人…見つかるのかなぁ?
「わ、私…侯爵様のお邸で働けるだけでなく、まさか御子息の乳母になる事が出来るなんて…幸せです」
妙にやる気を漲らせているオシンさんは頼もしく感じたけど、やっぱ24時間ずっと彼女だけに面倒見させるわけにも行かないから、頑張って探して貰うしかないな。
さてさて、そんなこんなで賑やかな夕食が終ってティータイムに突入する前。
オシンさんには一旦体質してもらい、それ以外の全員の前で、
「カジマギーやリリアさんの言葉が正しいのだと仮定して、今から俺は少しだけエド君とサシで話をしようと思う。まあ、彼はまだ話せはしないだろうが、意思疎通の手段は色々とある。なので、俺がエド君の部屋から出て来るまで、誰も入って来ないで欲しい」
そう切り出すと、家族全員が自分も立ち会わせろと五月蠅かったが、きっちりとお断りさせていただいた。
「あ、もしもの為にナディアは着いて来て。アーデ、アーム、アーフェンは、いつでもナディアと連絡を取れるようにしておいてね」
これは、エド君に何か途轍もない能力が有ったりした時の為の用心。
これと言って能力を持たないチートな俺をナディアのに守ってもらいつつ、念話でアーデ達に連絡を取ってもらう為だ。
そういった説明も交えた俺の説得に全員が応じてくれたので、早速俺はナディアを伴ってエド君の部屋へと向かった。
エド君の部屋の中には、メイドさんが2人待機していた。
どうやら今の彼は寝ている様だが…怪しい。
あれって、狸寝入りなんじゃ無いかなぁ? だって微妙にこっちに意識向けてる感じがビンビン伝わってくる。
「あ~、君達。暫くの間席を外してくれたまえ」
俺の言葉に首を傾げながら顔を見合わす2人のメイドさんだったが、俺が父さんの息子であり伯爵位を持つ貴族だからだろう、小さく頷くと俺に向かって深々と礼をした後、そっと扉を開けて部屋を出て行った。
視線で入り口の扉が閉まり切るのを確認した俺は、ナディアにむかって、
「ナディア、結界を」
俺の言葉にナディアが「はい」と返事をし、両手を肩の高さで左右に広げた。
すると、この部屋の壁に沿って透明な何かが広がったのが感覚で分かる。
流石ナディアたん! この展開速度…なかなかやりおる!
「これで外に音は漏れない? 誰も入って来れない?」
確かめる様に訊ねると、
「はい、マスター。但し、換気用にごく小さな穴を何か所か開けておりますので、そこから音を拾われたり、ガスを流し込まれる可能性はありますが…」
「いや、それは気にしないでもいい。ナディアの事だから、聞き耳を立てられる様な場所には穴をあけて無いんだろう?」
多分、部屋の四隅とかに空気穴開けてるんだろうし。
そういや、前世でガキの頃に、プラスチックのパックにプスプス穴開けてクワガタ飼ってた事あったなぁ…俺って、今はあのクワガタと同じ立場だな。
「勿論です」
「だったら構わない」
鼻息荒くナディアが断言したんで、これ以上は言わない。
結構ドジな所も多いけど、こういう時のナディアは信用できるからね。
さて、準備は整った。
今まで狸寝入り決め込んでた(と思う)エド君も、何かを感じたのかお目々ぱっちりでモゾモゾと動いて周囲を見回している。
こんな状況でも無き叫ばないのは、もう中身が赤ん坊じゃない事がバレタので開き直ったからか?
「さて、エドワード君。どうも、こんばんわ。俺が君の兄のトールヴァルド・デ・アルテアンだ。今から君に質問をするので、正直に答えてもらおうか」
何故なら、急遽父さんが雇い入れる事になった乳母さんが同席したからだ。
これは彼女に余計な不安を与えない為に、出来る限り普通通りにしようという、母さんの深い考えによるものだった。
狙い通り、オシンという乳母さん(フルネームは聞いた気もするけど忘れた)は、終始笑顔だった。
元々どこぞの貴族家の使用人をしていたらしく、結婚&出産を機に退職していたそうで、礼儀作法も家事関係もばっちりらしい。
よくもまあ、こんなに早く乳母となる女性を見つけて連れてきたもんだ。
ちなみにオシンというと、どうしてもNHKの大ヒット連続テレビ小説を思い出すのは、俺が昭和も生きた男だからだろうか?
いや…まぁ、全く発音が違うんだけど…。
そのオシンさんだが、生後10カ月の男の赤ちゃんを抱っこしている。
まあ、母乳が出るんだから赤ちゃんがいても不思議じゃない。
旦那さんの同意を得て、今日から泊まり込みでエド君の面倒を見てくれるそうだ。
さすがに乳母さんを一人だけってわけにも行かないので、引き続き乳母となってくれる人を探しているんだって。
少なくとも3人は雇いたいって言ってたから、あと2人…見つかるのかなぁ?
「わ、私…侯爵様のお邸で働けるだけでなく、まさか御子息の乳母になる事が出来るなんて…幸せです」
妙にやる気を漲らせているオシンさんは頼もしく感じたけど、やっぱ24時間ずっと彼女だけに面倒見させるわけにも行かないから、頑張って探して貰うしかないな。
さてさて、そんなこんなで賑やかな夕食が終ってティータイムに突入する前。
オシンさんには一旦体質してもらい、それ以外の全員の前で、
「カジマギーやリリアさんの言葉が正しいのだと仮定して、今から俺は少しだけエド君とサシで話をしようと思う。まあ、彼はまだ話せはしないだろうが、意思疎通の手段は色々とある。なので、俺がエド君の部屋から出て来るまで、誰も入って来ないで欲しい」
そう切り出すと、家族全員が自分も立ち会わせろと五月蠅かったが、きっちりとお断りさせていただいた。
「あ、もしもの為にナディアは着いて来て。アーデ、アーム、アーフェンは、いつでもナディアと連絡を取れるようにしておいてね」
これは、エド君に何か途轍もない能力が有ったりした時の為の用心。
これと言って能力を持たないチートな俺をナディアのに守ってもらいつつ、念話でアーデ達に連絡を取ってもらう為だ。
そういった説明も交えた俺の説得に全員が応じてくれたので、早速俺はナディアを伴ってエド君の部屋へと向かった。
エド君の部屋の中には、メイドさんが2人待機していた。
どうやら今の彼は寝ている様だが…怪しい。
あれって、狸寝入りなんじゃ無いかなぁ? だって微妙にこっちに意識向けてる感じがビンビン伝わってくる。
「あ~、君達。暫くの間席を外してくれたまえ」
俺の言葉に首を傾げながら顔を見合わす2人のメイドさんだったが、俺が父さんの息子であり伯爵位を持つ貴族だからだろう、小さく頷くと俺に向かって深々と礼をした後、そっと扉を開けて部屋を出て行った。
視線で入り口の扉が閉まり切るのを確認した俺は、ナディアにむかって、
「ナディア、結界を」
俺の言葉にナディアが「はい」と返事をし、両手を肩の高さで左右に広げた。
すると、この部屋の壁に沿って透明な何かが広がったのが感覚で分かる。
流石ナディアたん! この展開速度…なかなかやりおる!
「これで外に音は漏れない? 誰も入って来れない?」
確かめる様に訊ねると、
「はい、マスター。但し、換気用にごく小さな穴を何か所か開けておりますので、そこから音を拾われたり、ガスを流し込まれる可能性はありますが…」
「いや、それは気にしないでもいい。ナディアの事だから、聞き耳を立てられる様な場所には穴をあけて無いんだろう?」
多分、部屋の四隅とかに空気穴開けてるんだろうし。
そういや、前世でガキの頃に、プラスチックのパックにプスプス穴開けてクワガタ飼ってた事あったなぁ…俺って、今はあのクワガタと同じ立場だな。
「勿論です」
「だったら構わない」
鼻息荒くナディアが断言したんで、これ以上は言わない。
結構ドジな所も多いけど、こういう時のナディアは信用できるからね。
さて、準備は整った。
今まで狸寝入り決め込んでた(と思う)エド君も、何かを感じたのかお目々ぱっちりでモゾモゾと動いて周囲を見回している。
こんな状況でも無き叫ばないのは、もう中身が赤ん坊じゃない事がバレタので開き直ったからか?
「さて、エドワード君。どうも、こんばんわ。俺が君の兄のトールヴァルド・デ・アルテアンだ。今から君に質問をするので、正直に答えてもらおうか」
1
お気に入りに追加
1,639
あなたにおすすめの小説
異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?
初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。
俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。
神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。
希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。
そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。
俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。
予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・
だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・
いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。
神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。
それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。
この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。
なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。
きっと、楽しくなるだろう。
※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。
※残酷なシーンが普通に出てきます。
※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。
※ステータス画面とLvも出てきません。
※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる