上 下
1,334 / 1,457

悔しい事です…

しおりを挟む
 リリアさんの話を総合すると、要は管理局長が存在する世界ってのが、本当に最上位の世界かどうかっていう点が焦点なんだと思う。
 局長の立ち位置が、俺達やその他の次元を内包する世界の頂点にあれば、その外側に当たらな世界を構築する事が可能なのかもしれないが、もしも最上位の世界で無かった場合は、局長よりも上位に位置する存在が管理している事になるから、新たな世界とは言えない…っと。
 でも、どっちにしても局長は新たな世界を創り出そうとしている事に変わりない。
 んで、あの上空に見えた地球の幻は、俺が引き寄せたかもしれない幻であると…。
 この世界の皆さん、お騒がせして申し訳ない!
 
「元より貴方が生きていたあの地球…もっと言えば、地球の中の日本という国に関しては、そもそもその次元世界の特異点ともなりうる国でしたからねぇ…。あの様な事が起きてしまったのも仕方がない事かもしれませんね」
「えっと、リリアさん…それはどういう意味?」
 日本が特異点?
「あの日本という国は、全宇宙的に見ても文化面では飛びぬけて異常な進化をした国であるという事です。この辺りの事は、確かサラが説明していたと聞いてますが?」
 そう言えば、そんな事を昔サラに聞いた気がする。
「日本という国の持つ、異常なまでのハイカルチャーやポップカルチャーは、どの次元世界を見渡しても稀です。それは貴方が生きていた次元世界地球だけにとどまりません。あらゆる次元世界に存在する地球同等の惑星の中にある日本同等の国でも起こっている不可思議な現象です」
「え~っと…地球同等とか日本同等っていう事は、他の地球とか日本もあるの?」
「ええ、ありますよ」
 んな、あっさり…。
「そうですねぇ…貴方に分り易くファンタジー的な表現をするならば…並行世界とか並行宇宙とか並行時空とかでしょうか?」
 お、それなら分り易くなった!
「この宇宙は広い…と考えているのは、どの世界の知的生命体でもごく少数です」
「はぁ!? 宇宙って途轍もなく広いだろ?」
 いや、広いよな?
「そう考える人の方が少数だと言っているのです。貴方の元居た日本でも、宇宙は自分の物だと主張するような歌にまでなってますよ?」
「えっ?」
 そんな歌あったかなぁ…。
「確か…宇宙の海は俺〇海…とか何とか」 
「やめろ!」
 それはかなり危険だ…。
「機械の身体を貰えるというアンドロメダ銀河など、貴方が居た地球から250万光年も離れていたのに、銀河を走る9のゾロ目の機関車が精々数年程度で到着したのです。光の何倍の速度で駆け抜けたのかご存知ですか?」
「しるか! って、危険な話はやめろ!」
「クジラ座にあるM78星雲など、6000万光年も離れているのですよ? そこを一気に飛んでやって来た光の巨人は、どれだけ速いのか…」
「ヤメロって言ってんだろうが! ってか、どれも作り話じゃねーか!」
 アニメと特撮の話だろうが!
「え、全部リアルの話ですよ。サラから聞いてませんか? 地球に管理局員が派遣されていて、虚実交えて現実の話をうまく世間に広げていると」
 まて、待ってくれ…。
 銀河の鉄道も、ハーロ〇クもウル〇ラマンも、全部現実にあったってのか?
「俺はリアルで見た事も聞いた事も無いぞ!?」
「そりゃそうでしょう。貴方が生きていた次元の地球とは別の次元の地球の話ですから。反対に、貴方が生きていた日本の話は、別次元の日本で広まってます」
 …………俺の前世の日本の話?
「一番有名なのは、『離婚して孤独な大河芳樹だけど、異世界に転生しちゃった…どうしよう!?』ってラノベですね。アニメ化も実写化もされてますよ?」
「俺の話かよ!? ってラノベになってんの? え、アニメに実写化?」
 んな馬鹿な…。
「ええ、すでにシーズン17まで放映されてます」
 シーズン17って…、
「どんだけシリーズ化してんだよ! って、何で俺の話が広まってんの?」
「それはサラが記録した情報を元にした物語を私が執筆し、全ての次元世界の日本に派遣された局員に配布して、それを元にラノベとして流布したからです」
「………リリアさんって、確かラノベのコンテストに落選したって聞いたけど…」
「それは完全なフィクションの作品の事ですね。やはりリアルには敵いません。事実は小説よりも奇なりとは言いますが、実に悔しいで事ですがリアルなの男の数奇な運命を書き記した物語の方が、私のフィクションより数百倍は面白いという事が証明されてしまいました…」
 俺の人生って、面白いのか…そうか、そうなのか…。
「貴方程度の短しょ…もとい仮性包け…いえ、早ろ…いえいえ、ヤングコーンな男の一生の方が私のファンタジー小説よりも評価が高いのは、本当に本当に、マジ本当に悔しい事です…」
 お前がさっきから言ってんのは、俺の極一部分の事だけじゃねーか!
「お前、何気に俺の事を貶めて楽しんでるよな? そうだよな?」 
「いいえ、滅相もございません。貴方の様なヘタレは貶める程でもございません」
 絶対に楽しんでやがるよ、こいつ! 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。 俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。 神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。 希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。 そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。 俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。 予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・ だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・ いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。 神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。 それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。 この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。 なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。 きっと、楽しくなるだろう。 ※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。 ※残酷なシーンが普通に出てきます。 ※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。 ※ステータス画面とLvも出てきません。 ※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

処理中です...