上 下
1,309 / 1,457

洗濯の生地は重要です!

しおりを挟む
「順調にテスト項目を消化出来てる…後は127項目を残すだけ…」
 トールの邸の地下格納庫の改造は、一旦もふりんとカジマギーに任せ、モフレンダ達ダンジョンマスターはパンゲア大陸で自分の身体と巨大メイドロボのテストを兼ねた、サラとリリアの慣熟訓練の様子を見に戻って来た。
「うげぇ…まだそんなに項目が…?」
 モフレンダが呟いたテスト項目というのは、つまりは実戦配備前に行う最終的な試験であるが、あまりにも細かく多い項目にサラは少々飽きて来たようだ。
「まあ、そう言うな。実際、このロボたちはロールアウトしたとはいえ、まだまだ稼働試験は必要じゃ。何せ、最終決戦時に不具合で動けなくなったりしたら大変じゃからのぉ」
 そんなサラを励ます様に言葉を掛けたのはボーディ。
「そうですね。確かにいざという時に不具合が見つかったら目も当てられません。とはいえ、実際の戦闘になったら不具合は出るかもしれませんが…」
 これはリリアの言。
「設計と試験場で問題無くても、実際に動かしたら問題が出るっていうやつ?」
「ええ、その通りですサラ。例えば戦闘機でもそうですが、テスト飛行は気が遠くなる様な数を熟さねばなりませんし、それでも十さん配備された後に不具合は出るものです。なので、随時アップデートが必要なのは、このロボでも同じ事ですよ」
 リリアがそう解説をするが、それでもすでに何十時間もテストを繰り返しているサラからすると、面倒な事は面倒なのだ。
「ま、まぁ…まだ時間は多少あるかと思いますので、気長に頑張ってテストをしましょう」
 ちょっと焦りながら、なんとかこの場を収めてサラにテストを続けさせようと、モフリーナが宥める。

「へ~へ~、分かりましたよ…っと、ところで何であんなおかしな機能を付けたんです?」
「えっと、サラさんは何か気になる機能がありましたか?」
 一度は納得したサラであったが、気になる点をモフリーナに問いかけた。 
「感覚リンクシステムの、超敏感ビンビン・モードだよ!」
「あぁ~……アレですか……。モフレンダ、説明を」
 サラの叫びを聞いたモフリーナは、悦明をモフレンダに丸投げした。
「リリアの要求通りに付けただけ。いやならリンクを切ればいい」
 実に簡潔に纏めた説明である。
「切れねーんだよ! ってか、切り方知らねーんだよ!」
「教えてない」
 サラがキレないと切れた…いや、切れないとキレたのに対し、モフレンダの非情な一言。
「何で!?」
 サラがそう言うのも当然か?
「教えるなとリリアに言われた。現状は教師び〇びん物語…違った、超敏感ビンビン・モード固定」
「何かおかしな事言わなかったか? トシち〇んが出てたドラマの名前みたいなの聞こえたぞ?」
「気のせい」
 モフリーナの説明に喰いつくサラと、無表情で軽く躱すモフレンダ。
「気の…まあいいや。どうせ私にゃ選択の余地なんて無いんでしょうし!」
 とうとう、サラが拗ねた。
「そうです、選択の余地は無くとも、洗濯の生地は重要です! 何であのサボットのパンツの生地は、あんなにゴワゴワなのですか!? 私は断固シルク製もしくは総レース製を要求します」
「サボット? ちょっと略しすぎなんじゃね!? ってか、リリアは一体何を言ってんだ? ロボのパンツの生地なんて何でもいいだろーが!」
 とうとうロボットの名称がこんなに略されました。
「あれはパンツではない! スク水だ!」
 サラの悲痛(?)な叫びなど完全に無視したモフレンダが、リリアに告げる。 
「な…なんと!? まさか、メイド服の下がスク水とは斬新…これは1本とられました。なるほど、股間部分しかずらせなかったのはその為なんですね…」
「リリア、お前何言ってんの!?」
「流石だ。もうそこまで確認しているとは…」
「いや、モフレンダも何感心してんだよ!」
「ですがあの色は…まさか、白スク!?」
「まさか色まで確認済みとは、恐れ入ったぞ、リリア」
「あの幻の白スクなの!? って、何でそんなの着せてんだよ!」
「もしや胸部には…『さら』と書かれたゼッケンが?」
「勿論、付けてある。アイロン・シールで」
「それ…どこかで着た記憶が…って、何でそれをモフレンダが知ってんだよ!」
「ほう、なかなかこだわっておりますね」
「いやいや、それほどでも」
「サラちゃんの言葉は全部無視!?」
 自分の機体の話のはずなのに、完全に話に置いてけぼりのサラ。
 ついでに、モフリーナもボーディも初めて聞くロボのメイド服の下に驚愕。
「お前ら…揃いも揃って、アホばっかりかよ!」
 流石のサラも、完全無視となれば癇癪玉が破裂するのも当然…なのだが…。
「「お前にだけは言われたくない!」」
 リリアとモフレンダの息の揃った反撃の前に、あえなく撃沈したサラだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。 俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。 神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。 希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。 そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。 俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。 予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・ だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・ いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。 神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。 それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。 この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。 なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。 きっと、楽しくなるだろう。 ※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。 ※残酷なシーンが普通に出てきます。 ※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。 ※ステータス画面とLvも出てきません。 ※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...