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頑張りまっす!

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 はぁ…覚醒への道は遠いなぁ…。
 ボーディもヒントすらくれないし。
 剰え、モフレンダが閉じ込められていたクッソ高い山の洞窟に籠れ~なんて無茶言いやがるし…。
 はぁ…地道に毎日鍛錬に勤しむしか無いのかぁ。
 ローマは一日にして成らず! いや、これはちょっと違うかもしれないけど、そう言う事だ!
 長年の努力なしに成し遂げることはできないのだ!
 そして、すべての道はローマに通ずだ! ローマ繋がりで…。
 うん、日々の鍛錬は、いつか必ず頂点へと、空手の道を極めるのだ!
 うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
「トールさま、煩いです。叫んでいる暇があるのでしたら、さっさと山となっている書類にサインしてください!」
 熱く燃えていたら、マチルダに怒られました…とほほ。

 しかし何だねぇ。
 少し前に、型練習をしている時、確かに何かを掴んだ気がしたんだけどなあ。
 あれは夢か幻だったのかな?
 雲か幻~♪ だったら、破〇拳ポリマーだったんだけどなぁ~。
 いやぁ、実に惜しい!
 でもでも、この世界に転生した俺の身体は前世とは違って、はっきり言ってチートだ。
 みよ、この上腕二頭筋を! むふっ! ここまでの力こぶなんて、前世じゃ出なかったもんな。
 そしてこの無駄な体脂肪など一切ついていない、体脂肪率10%以下のマッスルボディ!
 エルフさん達をマッチョマッチョと言って来たけれど、俺だって立派なマッチョだ。
 いや、どっちかというと細マッチョかな?
 エルフさん達がボディービルダー系マッチョなら、俺はアスリート系のマッチョって感じ。
 うん、世間様ではあんま違いは理解されないかもしれない…。
 空手で大海とかあったら、体脂肪を必ずある程度はつける必要あったもんなぁ。
 特に腹回り。
 ここの脂肪を完全に落としちゃうと、蹴りとか突きのダメージがそのまんま腹筋に来ちゃうんだよね。
 衝撃を緩和させるクッションの為に、ちょっぴり脂肪を付ける必要があったんだぁ。
 見事に割れた腹筋を、わざわざ隠さなければならない悲しさ…家族にも分かってもらえなかったなぁ。
 いや、別にそんな事はどうでも良いか。
 とにかく、今はこの日々鍛えた筋肉だけが頼りだ!
 え、何に対する頼りかって? 
 そりゃぁ、覚醒へと至るため…ん? 覚醒って筋肉必要だっけ?
 ありゃ、俺…何かずれてる? あれ? あれ? あれれ~?

「トールさま。妄想はそろそろ終わって頂けませんか?」
「んぐっ!?」
 マチルダさんの目が…めっちゃ怖い…。
「さっきから、妙なポーズをとったり、お腹を撫で摩ったりと、奇妙奇天烈な事をされてますが、書類の山は一向に減っておりませんが、そこにあるのは絶対に本日中に決裁しなければならない書類なのですよ? よもやお忘れでは無いでしょうね?」
「わ、忘れておりません! すぐに取り掛かります!」
 マチルダからの、とっても背筋がぞくぞくする様な冷たい視線とお言葉を頂いた俺は、暑くもないのに汗をダラダラ流しながら、書類の山へと手を伸ばした。
「言っておきますが…予定をきちんと消化できなかった場合、昼も夜も食事抜きです。さらに、オールで朝まで私とミレーラとイネスとの熱い絡みが待っておりますので、しっかりと励んでください。今励まないのでしたら、夜励んで頂きます」
 ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
 マチルダの奴、恐ろしいダジャレをぶっ込んできやがった!
「が、頑張りまっす!」
「それは書類へのサインを? それとも夜の夫婦生活を?」
「………………………」
 下手な事を言ったら、ドツボに嵌りそうなので、お口にチャックして、一生懸命に書類と格闘いたしました。
 
 恐ろしや、ああ恐ろしや、恐ろしや…トール君、心の一句。 
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