上 下
1,239 / 1,457

ヒントのぉ…

しおりを挟む
「もすもす?」
『なんじゃ、その気が抜ける呼びかけは?』
 通信の呪法具でボーディに通信したら、いきなり怒らりた…。
「いや、この呼びかけは、とても伝統的な…『いいから、さっさと用件を言うのじゃ!』…あ、はい…」
 説明しようとしたら、またまた怒らりた…。

 まあ、気を取り直してっと。
「いやぁ、サラとリリアさん、結構長くそっち居るじゃんか。どうなってんのかなぁ~とか、元気してるのかなぁ~とか思ってさ」
 まあ、まずは聞いて然るべき事柄から会話を始めようか。
『おお、あ奴らなら元気じゃぞ? まあ、新しいボディの作成に少々手間取っておるから、今しばらくそちらには戻れぬかもしれんが、そこは勘弁せい』
 いや、別に戻って来なくても特に問題は無いんですけどね。
「あとさ、局長が別の世界を創ってるとかいうの…あれ、事態が急展開したりはしてないよね?」
『うむ、妾達も監視は行っておるが、あれからは進展しておらぬ様じゃぞ。まだ猶予は十分にある』
 よしよし、時間は十分にあると。
『じゃが、いつ事態が急転するかは不明なのじゃから、お主はさっさと覚醒せいよ?』
 うぐっ…俺が聞きたい事、先に言われたよ…。  
「あ~うん…まぁ、そのぉ…何だ…」
『何じゃ? 何が言いたいのじゃ?』
 くっそ! 言い出し難いじゃねーかよ!
「あ~うん…実は、ボーディに聞きたい事があってさ」
『ん、何じゃ? 妾が答えられる事ならば、答えてやるが?』
 そう言えば、以前悟りは自分で啓けとか言ってた気がするなぁ…。
「実はさ…覚醒とか悟りってどうすればいいん? こう…何ていうか、雑念が頭の中から離れんのよ」
『はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?』
 あ、めっちゃ呆れとる…。
「いや、ほら…これでも俺って一応は領主じゃんか。色々とやる事が毎日山積みなんよ。どっかの偉いお坊さんの様に、修行だけしてたら良い様な身分でも無いし…」
 俺、お坊さんに失礼なこと言ってるかも。

『ふむ…確かにそれはそうかもしれぬな。かと言って、貴様の覚醒への道など、妾達が手助けできるような物ではないぞ? 自らの力で至ってこその覚醒じゃし悟りなのじゃそ?』
 いや、言いたい事は分かってるよ。分かってて尚困ってるから聞いてんだよ。
「せめてさ…ヒントとか無い?」
『ヒントのぉ…』
「それじゃ、あの例のひよこ達と話しできないかな? あいつ等って、俺の異次元同位体で、すでに覚醒してんだよな?」
 ひよこに悟りを啓く方法を訊ねるて…ちょっと微妙に恥ずかしいけど…。
『無理じゃのぉ。あ奴らは、それぞれが自らの力で覚醒した者ばかりじゃ。それと起源を同じくする貴様に出来ない道理は無いと、そもそも一蹴されるだけじゃぞ? まあ、そもそもそう話も聞いてもおるしな』
 ちくそー! やっぱ駄目かぁ…。
『そうじゃのぉ…。どうしても雑事が多すぎて雑念が振り払えぬというのであれば…お主、ちょっとそっちの大陸にある、モフレンダのダンジョンにでも籠るかや?』
「モフレンダのダンジョン?」
 え~っと…こっちにあるモフレンダのダンジョンって、確か入り口を入ったら…確かこっそりとパンゲア大陸のダンジョンに繋がるゲートがあるだけなんじゃなかったか?
『そうじゃ。モフレンダが元々いたダンジョンがそのまま残っておる』
「ちょっと待て! 元々モフレンダがいたダンジョンって、あの恐怖のキノコ大王と戦った盆地のさんみゃの天辺にあった…」
 確か、誰も入れない程の山脈の天辺じゃ無かったか!?
『うむ、その通りじゃ。あそこはまだそのままの状態で残っておるでな。人影もない事じゃし、修行にはうってつけじゃぞ?』
 いや、そうは言っても…あそこって人が住める…いや、生きていけるの? 
 酸素、めっちゃ薄そうだし、高山病とかならない?

『ああ、雑事の心配かや?』
 いや、そんなもん、心配してねーよ! 最終手段、人魚さん召喚って手もあるし。代償が色々とアレだけど…。
『安心せい。頭脳労働に特化したコボルトを派遣してやろう』
「お、おぉ? 頭脳労働特化型コボルト!?」
 なんと!
『うむ、妾達もなかなか忙しくてのぉ。最近そっち方面の充実化の為に製作したのじゃよ。少々維持にはコストがかかるがの』
「コスト?」
『うむ。こ奴らの食料は、魔石なのじゃ。それも魔石の種類は問わぬで、一種の共食い状態にもなるがの』
 魔石持ちのモンスターの食事が魔石って…そりゃ共食いだわな。
「う、う~~~ん…ちょっとそれは…」
 流石に、そのコボルト達の食事風景を想像すると、何とも怖い絵面だよなぁ…。
『いや、無理にとは言わん。して、モフレンダのダンジョンを使うかや?』
「え~っと…ちょっと考えて返事するわ」
 どうすっかなぁ…。

『まあ、その返事はいつでも良いが、さっさと覚醒するのじゃぞ?』
「了解…。んじゃ、また連絡するわ」
 そう言って、俺は通信を切った。 

 確かに世俗から隔離された場所で集中して鍛錬を行えば、もしかしたらもしかするかもしれないけど…、嫁ーずが怖いよなぁ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。 俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。 神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。 希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。 そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。 俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。 予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・ だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・ いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。 神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。 それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。 この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。 なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。 きっと、楽しくなるだろう。 ※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。 ※残酷なシーンが普通に出てきます。 ※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。 ※ステータス画面とLvも出てきません。 ※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...